建物買取請求権の排除~強行法規性~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q どんな場合に建物買取請求が使われるのですか。
  これは契約書に書いておいて禁止できないのですか。


誤解ありがち度 3(5段階)
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1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 借地契約終了と借地権譲渡・転貸の拒絶の時,です。
  建物買取請求権を禁止する特約は無効です。


【建物買取請求権の適用場面】
「建物買取請求」が行われるのは,どのような場面なのでしょうか。

→期間満了の場合と,借地権の譲渡・転貸について地主が拒否した場合です。

建物買取請求権が規定されているのは,借地期間満了の時だけではありません。
まとめると次の2つの場面です。
<建物買取請求権の行使が認められるケース>
・借地期間満了+更新されない+建物存在
 借地借家法13条,借地法4条2項
・借地権(土地賃借権)の譲渡・転貸について地主の承諾がない+建物存在
 借地借家法14条,借地法10条

[借地借家法]
(第三者の建物買取請求権)
第十四条  第三者が賃借権の目的である土地の上の建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を取得した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、その第三者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

[借地法]
第10条 第三者カ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ取得シタル場合ニ於テ賃貸人カ賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ承諾セサルトキハ賃貸人ニ対シ時価ヲ以テ建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得

【建物買取請求権の強行法規性】
最初から,土地賃貸借契約書に「建物買取請求は禁止する」と書いておけば,これを防げるのでしょうか。

→建物買取請求権を排除する特約は無効となります。

建物買取請求権は,借地人を保護する規定です。
確かに,建物建築というまとまった資金を使っているわけですから,「そのまま粗大ゴミになる」ということは勿体ないと考えられます。
逆に,地主からすれば,別に自分で設計したわけでもなく,特に欲しいわけでもないのに,結果的に「買わされる」ことになり,大きな負担です。
しかし,借地借家法の理念は「借地人の保護」です。
建物買取請求権は重要な権利としてガードが固くなっています。
具体的には,これを排除したり弱くするような「特約」が無効とされます(借地借家法16条,借地法11条)。
このような「ガード」のことを「強行法規」とか「強行規定」と呼んでいます。

[借地借家法]
(強行規定)
第十六条  第十条、第十三条及び第十四条の規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。

[借地法]
第11条 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ4ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス

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