欠陥マンション,建設業者のアンパイ義務 | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q マンションを購入しましたが,購入後に,ひび割れ・鉄筋の耐力低下などの欠陥を発見しました。
  売主はすでに破産しています。
  賠償を求めることはできないのでしょうか。

最近,震災でマンションの建築の欠陥が表面化した,というケースが増えています。

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A 建設業者に賠償を求めることができる可能性があります。

建設業者に建設を発注した人であれば,建設の欠陥について損害賠償などの請求ができます。
そして,その後,マンションが売却された場合,買主は売主に対して責任追及はできても,直接建設業者に欠陥について瑕疵担保責任などの追及はできないのが原則です。
瑕疵担保責任は契約当事者間に適用されるものだからです。

しかし,実際に,建設業者に手抜きなどがあった場合は,その結果として,現在の居住者が迷惑を被っていることは事実です。
ちょうど類似しているケースにおいて,居住者から建設業者への責任が認められた裁判例があります。末尾に引用します。

要は,余りにひどい場合はこのように,契約関係がなかった者同士でも直接の賠償請求ができるとしたものです。
専門的に言えば,「瑕疵担保契約ではなくて安全配慮義務を認めた」ということになります。
安全配慮義務というのは条文には書いていなくて,解釈上認められている特殊なものです。
業界的には「アンパイ義務」とか言います。安牌ではなく。

面白くないのでので,まとめに入ります。

「建物の基本的な安全性」が欠けていた場合は,後から購入した方(現在の居住者)から建設業者に賠償請求できる。

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<裁判例(抜粋)平成19年7月6日最高裁判所>
建物は,そこに居住する者,そこで働く者,そこを訪問する者等の様々な者によって利用されるとともに,当該建物の周辺には他の建物や道路等が存在しているから,建物は,これらの建物利用者や隣人,通行人等(以下,併せて「居住者等」という。)の生命,身体又は財産を危険にさらすことがないような安全性を備えていなければならず,このような安全性は,建物としての基本的な安全性というべきである。そうすると,建物の建築に携わる設計者,施工者及び工事監理者(以下,併せて「設計・施工者等」という。)は,建物の建築に当たり,契約関係にない居住者等に対する関係でも,当該建物に建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと解するのが相当である。そして,設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり,それにより居住者等の生命,身体又は財産が侵害された場合には,設計・施工者等は,不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り,これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負うというべきである。居住者等が当該建物の建築主からその譲渡を受けた者であっても異なるところはない。