松田まなぶのビデオレター、第21回は「日本人のチャレンジ精神を復活させるには?」、「真」3本の矢 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

中国が「一帯一路」や「新型の大国関係」でユーラシア大陸から太平洋にわたる広大な地域で「中国が主宰する国際秩序」を形成しつつあるこんにち、日本はそのパーツとして組み込まれるのか、あるいは、独立自尊の国として独自の存在を構築できるのかが問われています。

その際、基本にあるのは、日本は国際社会に何を生み出す国になるのかであり、さらにその基本にあるのは、独自の何かを生み出す日本自身の国力です。人口減少社会の中で「国力倍増」をどう達成するのか。

一つは、国家の繁栄基盤をアジア太平洋に拡大すること。TPPはその手段の一つです。

もう一つは、日本に眠る潜在パワーを引き出すことです。質の高い「ものづくり」力、カネでは世界最大の対外純資産国、ヒトでは勤労と協調に喜びを感じる国民、マーケットでは口うるさい消費者とジャパンクールを生み出す質の高い巨大市場、技術では中小零細企業に埋もれる技術シーズ、色々な強みがあります。

それを付加価値にして、一人当たり生産性を高め、国際社会に売り出すための「チャレンジ」が何よりも重要です。

 松田まなぶのビデオレター、第21回「日本人のチャレンジ精神を復活させるには?」チャンネル桜、11月4日放映。

こちらをクリックすると、今回の松田まなぶの動画を見ることができます。



どうも、バブル崩壊以降、日本人のチャレンジが萎えていると言われます。バブルの時は「赤信号、みんなで渡れば恐くない」。それがパブル崩壊後は、「青信号、みんな渡らないから自分も渡らない」になりました。国民に夢を与え、奮い立たせる政策こそが、いまの日本に求められる最大の経済政策だと思います。

安倍政権はアベノミクス「新3本の矢」を打ち出しました。東京五輪の2020年に向けて、第1に、GDP600兆円を目指す「希望を生み出す強い経済」。第2に、出生率1.8目指す「夢を紡ぐ子育て支援」。第3に、介護離職ゼロを目指す「安心につながる社会保障」。早速、これは「矢」ではなく「的」だ、大事なのは的を射るための具体的な「矢」の中身だ、などと批判されているようです。



加藤勝信大臣は、これら3つの矢に共通するテーマを「一億総活躍社会」で説明しています。つまり、基本思想は「チャレンジ」にあり、06~07年の第一次安倍政権のときも「再チャレンジ」を掲げていた通り、安倍総理の一貫した理念はこの点にあるということです。高齢者も女性も身障者も…一億国民の誰もがチャレンジできる社会を創る。

私も、「自らの夢を持ち、夢に向けて挑戦する人を応援する社会」を理念に掲げ、そのために、人々の挑戦を妨げる軛にも化した「戦後システム」を組み替えて、日本の全体システムを時代にふさわしい持続可能なものに再設計することを提案してきました。この点では共通です。

かつて安倍総理が唱えた言葉に「戦後レジームからの脱却」がありました。それは何も、安全保障や憲法9条改正などに限られたものではなく、むしろ、人々が安心してチャレンジできるような国家システムへと「新しい国づくり」を進めるという文脈で捉えても良いように思います。日本の国柄を踏まえた国づくりのあり方や国益の再定義に向けた国民的論議を経て、国民が自ら投票で自国の憲法を選択する。それこそが本物の「自主憲法制定」になります。

では、何が人々のチャレンジを妨げるのか。経済政策はそこに目を向けなければなりません。私は、それはズバリ、「不確実性」だと考えます。リスクと違って確率計算ができない漠然たる将来不安。それは市場経済では処理できません。だからこそ、政府が必要なのではないでしょうか。ケインズ経済学の本質も「不確実性」の問題に焦点を当てたことにあります。不確実性が大きいとき、人々はリスクテイクをせず、投資や消費でおカネを支出するのではなく、貨幣や金融資産を持つことのほうを選好する。ケインズは、これを「流動性選好」と呼び、経済停滞の原因だとしました。この状態ではおカネも回りません。

方策は、政府が民間のリスクをシェアして不確実性を軽減すること。伝統的なケインズ政策である財政出動も、中央銀行が民間から金融資産を購入する非伝統的な金融政策である量的拡大策も、一定のリスクシェアリング効果があります。元々のアベノミクスも、これら2つは「矢」として放ちました。期待された効果が実体経済に及んでいないのは、もう一つの第3の矢の成長戦略が不確実性の問題に正面から向き合っていないからだと思います。

そこで、私、松田まなぶは、アベノミクス「新3本の矢」を実効あらしめるために、「真」3本の矢を提唱しています。第1に、「日本のこれからのストーリー…未来を描く」。第2に、「人々のチャレンジを促す仕組み…国や社会のシステム再設計」。第3に、「万般にわたるセーフティーネット」。

これぞ「戦後レジーム」から脱却する「新しい国づくり」です。