Q 不妊症、不育症、抗リン脂質抗体(アスピリン、ヘパリン療法)、耐糖能異常
なかなか妊娠しないので、大学病院の不育症外来でOGTT検査を受けた結果、耐糖能異常が判明し、1日2回のメトホルミン(メトグルコ、グリコラン)を服用することになりました。しかし、不妊治療クリニックで凍結胚移植を行った際に、医師にメトホルミン服用は続けた方がよいのか確認したところ、服用を中止するよう指示がありました。
2012.12.20「☆OHSSの予防:甘いものを控えましょう」の記事によれば、耐糖能異常による流産予防に、メトホルミンが有効とのことですが、移植後の服用は続けるべきでしょうか。
A 私はメトホルミンを続ける方がよいと考えています。ただ、医師によって意見が異なるかもしれません。なぜならば、メトホルミンは、最新のデータでは、流産防止効果や胎児異常減少効果と妊娠中の投薬の安全性が示されていますが、薬剤の添付文書では妊娠中の使用は未だに禁忌のままの記載となっているためです。
基本的に、薬剤の添付文書は新たな報告に基づく副作用の追加記載は頻繁に行われますが、新たな報告に基づく副作用の取り消しはまず行われません。国や製薬業者を守る立場で作成された文書と考えられ、処方する医師や患者さんといった使用者の立場に立つものではありません。あくまでも使用する場合は自己責任とみなされます。また、医師国家試験では「ドボン問題」というのがいくつかあって、それに不正解の方は他の設問が全問正解でも不合格になる仕組みがあります。その中で有名なのが「禁忌薬剤の使用」です。このような理由から、医師の対応がそれぞれ異なるのだと思います。
薬剤の使用も治療方針も全ては患者さんと医師の間の信頼関係の基に成り立つものであり、その基盤にはしっかりした最新のデータが重要であると考えています。そのような観点からも、私のブログ情報が役立ってくれればと思っています。