私は幽体離脱の基本手順を
そのまま続けた。
太陽叢チャクラが、細かく早く振動し始め
その振動は頭頂部へ向け架け昇っていった。
そのまま私は振動とともに出発した。
(続く)
意識の闇から暗黒の宇宙へと浮上した。
私の前に、地球を回る大きなコズミック
ホイールが見える。
回転するリングを何本ものスポークで支える
典型的な宇宙ステーションだった。
リングの中心にある鋭い細く長いアンテナは
一方が地球を向き、反対側は無限の宇宙を
指していた。
私が知る限り彼等はこれを地球環境
コントローラーとして使っていた。
彼等とは銀河惑星連合のことなのだが。
この装置は我々の次元ではハープと呼ばれている。
我々のレベルでは兵器として認識されているのだ。
ステーションは軌道から外れ、自由に動き始めた。
そして地球の上空を転がり始めた。
「申し開きよ~」
と言うオムネクの声が聞こえる。
(申し開き、とは何のことだろう?)
「今いくつです」
「!………‥‥………‥‥」
「随分失礼なことを聞いているのよ」
「あなたは!」
体脱直後で私はまだ意識が
はっきりしていないようだった。
挨拶もせずいきなり、おかしなことを
聞いてしまった。
「年齢は重要な要素ですよ」
と私はなおも食い下がった。
私は心の何処かで、オムネクはもしかしたら
もうこの世にはいないのではないかと
考えたようだった。
それで金星人も年齢を気にするのかと
思ったのだ。
「あなたもあいつらみたいに私を
モルモットだと思っているのでしょう」
「そんなつもりはないのですが」
メン・イン・ブラックはこれまで
オムネクを監視してきた。
拉致して人体実験したいのだ。
「ここは何処ですか」
「どうしてこんな所にいるのです」
「地球の第二波動の修復作業を
しているのよ」
「ハァ~~?」
「さっぱり何のことやら‥‥‥‥」
「コーザル体とか、そういうのは
知っているでしょう」
「あ~、それならわかります」
「第二波動はエーテル体のことよ」
「では第三はアストラル体のことですか」
「そういうこと」
「あれが見えるでしょう」
足下には地球があった。
ここは通常の人工衛星の通り道より、
少し高いところだった。
オムネクが指した方向には、オレンジと
朱に染まった地平線があった。
とても美しく見えたが、彼女は違う!
というような目をしている。
少し苛立っているような感じだ。
「その手前に青いところがあって……‥‥」
「その輪郭に黒い影が見えるでしょう」
影というのか、確かに黒いモヤモヤ
した焦点を定めにくい部分があった。
私の視覚不良かと思ったがオムネクにも
同じように見えているようだった。
網膜剥離するとこんな風に見えるかも
しれないと思った。
「微妙ですね」
「モウマクハクリね」
「ま~悪くない表現ね」
彼女は私の考えていることがわかるようだった。
私は地球の体調の見方をわかってないらしい。
「それではあれを見て」
と言ってオムネクは大袈裟に
両腕を大きく回して地平線の
別の方角を指した。
そこは南極か北極だった。
極地の手前に極を囲むように
くっきりと黒い影があった。
「エーテルが壊れてるのよ」
「どうしてです」
「環境汚染よ」
「しょうがないですね」
「70億もいるんだから」
「宇宙人の科学でパッと直せるんでしょう」
「パ~っとやってくださいよ」
だからいくら汚しても問題ないと
私は言いたかった。
「これはネ~」
「技術の問題ではないのよ」
「地球のエーテル体はあなた方
人間の心を映しているの」
「大気汚染のことではないのですか」
「大気汚染の元はあんたの
そのパー頭なんだ~」
(続く)
マサト