LONDON DAYS: Part 2 | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

20日(火)


この日はうっすら曇り空。

朝から、美術館と博物館をハシゴ。


まずは、ナショナル・ミュージアム。

モネやらデガやらロートレックやら、魅惑的な絵画が少なくないが、

遠足だか社会見学の子どもが多くて、大変!

一般入場客は少なかったのですが。

ここもしかし入場無料なので、文句は言えない。


その後、10分ほど歩いて、大英博物館へ。

ここも巨大で、さらに大混雑。

一通り全部見て回ったが、NYのメトロポリタン美術館のほうが充実しているかな。

アフリカとエジプトあたりの展示は興味深かったですが。


その後、ハイストリート・ケンジントンのシネコンで、

イギリス映画を二本ハシゴ。

今日はマチネなので、一本7ポンドで鑑賞できる。


一本目は、マイケル・ファスベンダーが変なマスクをかぶった

バンドのロードムービー『Frank』。

うだつのあがらないミュージシャン志望の青年(『スター・ウォーズ エピソード7』

に出演するドーナル・グリーソン)の目を通して描いた、

風変わりな音楽映画。

ファスベンダー演じるフランクのキテレツさがネット上でbuzzを呼び、

最後はサウスバイサウスウェストに招待され、ライヴを披露しますが、

問題を抱えたバンドだけに色んな軋轢が発生します。

クレイジーだけどあんまり笑えず、最後はしんみり悲しくなる

ちょっとブラックで不思議な映画。

Auoluxのカーラが本職同様、ドラマーで出演していて嬉しい。


二本目は、4月のNY滞在時に見逃してた、

トム・ハーディ主演の『Locke』。

車を走らせるハーディが社内電話で話しまくるだけのワンシチュエイションドラマ。

一度だけ寝た不倫相手が妊娠し、出産する病院にひた走るハーディは、

仕事でも大きなトラブルに見舞われ人生大ピンチ。

という、ハーディ・ファンのみに作られた作品。

もっと緊迫感溢れるサスペンス調の作品かと思いきや、全然だったよ?


その後、02ブッシュエンパイアでEmbraceのSOLD OUTライヴ。

8年ぶりだかに復活したバンドだが、昔聴いていたこともあったけど、

今はさっぱり。有名な会場も体験したかったし、観てみることに。

ライヴ自体は、シンガロング度が異常に高い、さすがフットボールで

フーリガンな国(違う)だなあと、びっくり。

キャパ2000の豪華な内装の場内は、恐らく昔は舞台小屋だったのだろう。

ステージは低かったです。 


21日(水)


朝6時に起床し、7時0分のユーロスターに乗ってパリへ向かう。

初めてのフランス。

電車に乗り込む前に、サンドイッチを買い込み朝食を済ませ、

列車に乗ると、かなりの混みよう。

しかし、軽く寝ていたらあっという間に到着。2時間強でパリ。

新幹線で東京から大阪にいく感覚である。


日帰りでスケジュールがタイトなので、急いで地下鉄に乗って

まずはノートルダム大聖堂に向かう。

ロンドンは快晴だったがパリは雨!

ホテルを出る直前に折り畳み傘を置いてきたのが悔やまれる。

が、雨が小降りになった。ラッキー。


大迫力の大聖像を正面から眺め、その後『ビフォア・サンセット』

でお馴染みの書店、

シェイクスピア&カンパニーに足を運ぶ。

長年の歴史の空気が蓄積されたなんとも味わい深い店内。

狭くて暗くてしかし心地よい空間。

ここに住みたい……と思わせる魅力的な書店でした。


そして、急いでオルセー美術館に向かう。

歩いていたら、雨が激しくなってきた!

なんとか20分近く歩き、美術館に到着。しかし長蛇の列ができている・・・!

なんてこった。でも、行くと決めたからには行く。

金属探知機とセキュリティ通って、ようやくチケットを購入。

と思ったら、逆サイドにも同じような入口があった模様!しかも超空いている!

誰か教えてよ!!!


オルセーは、モネの絵画がいっぱい。巨大な作品や、

『風立ちぬ』のモチーフになった絵画まで

あと、ルノワールとかロートレックも。

ゴッホ展も開催中で、凄い点数が展示されていた。

美術館の作りとデザインも近未来的で面白い。

これがフランスの美術館かあ、と感服。


1時間半ほどで美術館を出て、今度は『ミッドナイト・イン・パリ』の

ラストでオーウェン・ウィルソンとレア・セドゥーが出会う

アレクサンドル三世橋へ向かう。

地図上では近そうだったけど、意外と遠い!

セーヌ川沿いを早歩き。

ようやく20分ほどかかって、到着。おお、ここが……。

でも、夜来ないとよくわからんですね。


エッフェル塔も見えたし、さあ次はジュリアンとの待ち合わせ場所の

聖マイケル噴水に向かわねば!

しかし遠いなあ!

途中から走って、それでも30分以上かかった!

まさかパリで走ることになるとは。


『屋敷女』『リヴィッド』の監督、ジュリアン・モーリーと

感激の再会を果たし、街をガイドしてもらう。

街中には歴史的建造物が思わぬところに残存していて、

非常に興味深い。

パリで初めての、当時としては進歩的だった水道設備の跡とか。

18世紀の建物とか。

ロンドン以上に歴史の重みを感じる街である。


その後、パリを代表する刺激的な映画ショップ「METALUNA STORE」で

DVDやVHSテープを物色したり、レコード屋やおもちゃ屋を見て周る。

そういえばこの日ジュリアンは、以前プレゼントをあげた御礼として

貴重な『狼男アメリカン』と『DUNE』のフランス版VHSをプレゼント

してくれたのでした!感謝感激!


その後、ノートルダムがあるシテ島やその周辺のヒップなエリアを散策し、

先週ディカプリオも立ち寄った有名店ベルティヨンで

ブラッドオレンジ味の極上のジェラートを食べ、

夕立の豪雨が降ってきたのでテントの下で雨宿りし、

最後は国立近代美術館(狂ったデザインの外観に驚愕)の

目の前のカフェでディナー。

メニューはフランス語なのでジュリアンに英語で訳してもらう。

ジュリアンはもちろん、ルイ・レテリエやサヴィエ・ジャン、パスカル・ロジェら

フランス人監督たちの近況など刺激的な話をたっぷり聞き、

ディナーに美味な巨大カツレツを食べ(もっと違う料理が出てくると予想していた)、

最高に美味い白ワインを飲み、至福のひと時を過ごす。

ジュリアンに地下鉄の駅まで付き添ってもらい、ここでお別れ。寂しい。


駅でイギリスへの入国手続きをして、電車を待つ。外は雨。

帰りの電車もかなりの混雑ぶり。

慌ただしい滞在だったけど、パリを初体験できたし、

ジュリアンと心温まる時間を過ごせて、本当に行って良かった。


ロンドンに着くと、ちょっと肌寒いけど、雨は降っていなかった。


さあ、ロンドン滞在も、あと三日。