SLOWDIVE at Village Underground London 5/19/2014 | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

シューゲイザーとグランジ。


同時期に派生した二大ロックジャンルが誕生した

1990年代初頭、僕はシアトルの潮流から

完全にアメリカ発のグランジ/オルタナに傾倒しており、

シューゲイザーで当時愛聴していたのは、Lushぐらい。


Rideはなんとなく聴いていたが、

マイブラもスロウダイヴも、手に取るのは数年後のこと。

そしてその後、グランジと同じレベルでシューゲイザーは僕の中で

不動のフェイバリットジャンルとなった。


シューゲイザーの代表的なアルバムを選べと言われたら、

マイブラの「Loveless」とスロウダイヴの「Souvlaki」と即答できる。

透明感溢れるロマンティシズムとドラマティックで抜群のメロディが

支配する「Sovlaki」は、今でも繰り返し愛聴する名盤である。


1994年に解散し、20年ぶりに復活したSLOWDIVE。

このイギリスでの復活ライヴを観るべく渡英したわけだが、

期待を大きく上回る素晴らしいショウだった。

本当に、心から行ってよかったと思う。





会場は、ラフトレード・イーストの近くの老舗、

ヴィレッジ・アンダーグラウンド。

キャパ1000程度のコヤだが、ステージの横幅が狭く、

高さもあまりない。そのわりには、天井は高い。

ステージに向かって右側のバーの前のスペースが妙に広い

(そこからではステージは見えない)という不思議な構造。

音質は大丈夫なんだろうか……?

と一瞬疑問に感じたが、まったく問題なかった。

もっとラウドでも良かったぐらい。


開場1時間前に会場に到着したが、すでに50人以上のファンが

列を作っており、ちょっと遅かったか……と思いつつも、

最終的にはレイチェル側の前から三列目に陣取ることができた。


前座はYounghasband。

Sonic Cathdral所属のシューゲイザーバンドだが、

メロディアスで骨太で、これがなかなか良い。


そして、21:10。

遂に、Slowdiveがステージに降臨した。

左にヴォーカル&ギターのニール、真ん中にベースのニック、

ギター&ヴォーカルのレイチェル、ギターのクリスチャンという布陣。

髭をたくわえたニールは、Neutral Milk Hotelのジェフ・マンガムを

少し彷彿とさせる。


オープニングナンバーは、「Slowdive」。

その後も、「Avalyn」と初期のナンバーが続く、スロウな立ち上がり。

5曲目にレイチェルが幽玄に歌い上げる「Machine Gun」。

しかし、ヴォーカルが小さい。音程を変えずに歌ってくれたのは

ありがたかったが。それでも生であの曲を初めて聴けて感動。

そのままアルバムと同じく「40 Days」になだれこみ、

ぐわっと胸をつかまれる。


その後、名曲「When The Sun Hits」が披露され、ボルテージがさらに高まるが、

なぜかすぐ後方でモッシュが始まり、巻き込まれるという最悪の事態に。

さらに、あまりにも繰り返し聴きすぎた愛する曲だけに、

ライヴで聴くと少し違和感があったのも事実。

だが、その後の「She Calls」と「Golden Hair」のスロウに感情を

爆発させるナンバーの連打に、やられる。

激しく打ち寄せる甘美な轟音の波に心の琴線が激しく音を立て、

ぎゅわんぎゅわんと胸をしめつけられ涙するという

マイブラやマジースターの時以上の昇天ぶりだった。


その後、アンコールでは「Pygmalion」から「Rutti」が、

そして最後には「Alison」がプレイされ、ここでも涙。

トータル90分のライヴだった。


熟練したソツのない確かなプレイは、20年ぶりに復活したバンドとは到底思えず、

長年のキャリアを誇る現役バンドのよう。

新作の製作も予定しているとのこと。


まずは年内にもう一度、彼らのライヴを観たい。