PINK FLOYD = ロジャー・ウォーターズ live @ M.S.G. | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

 先週、マディソン・スクェア・ガーデンで、
PINK FLOYDの元祖ヴォーカリスト&ベーシスト、
ロジャー・ウォーターズのライヴを観てきた。

ツアータイトルもずばり、
『THE DARK SIDE OF THE MOON LIVE』である。
ギネスブックにも載る(全世界で3000万枚近い
セールスを上げているのだ!)ロック史の金字塔的
モンスターアルバム『DARKSIDE-』(邦題『狂気』)
を、その名の通り全曲順番どおりにプレイするのである。

dark

僕はビートルズよりもローリングストーンズが好きで
ディープパープルよりもレッドツェッペリンが好きで
キングクリムゾンやELPよりもピンクフロイドを
愛するものだ。

小学6年生ぐらいから洋楽を聴き始めるようになり、
リアルタイムに最初に出会ったピンクフロイドの
アルバムは『鬱』であり、まあこれはほとんど聴か
なかったのだが、その後の『対』とライヴアルバム
『PULSE』で本格的にハマった。つまるところ
ロジャー・ウォーターズ脱退後のピンクフロイドばかり
愛聴していたわけなのだが、その後、後追いで『狂気』を
手にし、73年に産み落とされた(僕もその年に
産み落とされた)傑作アルバムに遅まきながら
打ち震えたものだ。

ピンクフロイドのライヴは結局一度も観ることが
できなかったが、ロジャー・ウォーターズの
しかも『狂気』丸々ライヴが観れるだけでも、
幸せなことじゃないか!!
ということで、さすが御大だけにチケット代は$160と
高額なわけだが、一番安い$39.5の二階席のチケットを
購入してキャパ22000のM.S.G.に向かった。

自分の座席はLimited Viewで観にくいと予め言われて
いたのだが、確かにステ-ジの真横から観る感じで
ステージ後方に設置された巨大スクリーンはほとんど
観えない。その代わり、ステージ上のロジャーはよく観えた。
距離的には武道館の2階席の中段で観る感じか。
ぎっしり埋まった周囲の客層は、やはり年配層が多い。
太っててベースボールキャップかぶってビール片手
というおっさんを多く見かけた。
それでも若いファンも結構目に付いたし、会社帰りの
サラリーマンやサラリーウーマン一人客もいて、
みんな煙草吸ったりマリファナ吸ったり酔っ払ったり
ハイになったり、陽気でにぎやかでピースフルな
雰囲気で心地よかった。

場内が暗転し、スクリーンには『スターゲイト』の最後
みたいな宇宙トラベルのデラックス版映像が流れている
のがなんとなく分かり、時計のティックタックと
ベルの音が場内に鳴り響いた。
メンバーが登場し、それぞれのポジションにつき、
ロジャー・ウォーターズがスポットライトに照らされて
その姿が明らかになった瞬間の歓声があまりにも
凄まじくてそこでいきなりテンションが上がった興奮した。
あの大歓声の声をエネルギー(燃料)に変えたら、
セスナ機ぐらいだったら太平洋を渡れるのでは
ないだろうか?よく分からないがそれぐらい場内の
ヴォルテージは一気に上がった!

今回のツアーのセットリストは、前半にピンクフロイドの
お馴染みの代表曲を畳み掛けるようにプレイし
(もちろんロジャー在籍時のアルバムの曲)、
インターミッションをはさんで『狂気』を全曲プレイ。
そしてアンコールで、また過去のヒット曲の
オンパレードで締めくくり。
構成的には、昨年のブライアン・ウィルソンの
『Smile』Tourと同じだ。

さて、ロジャー・ウォーターズの肝心のライヴと
サウンドだが、御年62歳な映画はシニア料金
ジェネレーションなロジャーだけに、声の衰えは
さすがにあった。
ベースやギターも一応手にしているし弾いている
素振りは観えるのだが、後方にもう一人ベーシストが
いてサポートしてるし、実は音出てねえんじゃねえか?
と訝ったりもした。が、震えた。感動すらした。
ぶわっと一気に感情が高まり彼らの世界にのめりこみ
心酔した。まだまだ、その動きは現役だった。
ロック史の偉大なる1ページと歴史を作り上げた男の
歌声とそのメロディは、驚異的な深みと説得力を持ち、
ある種魔法のような、神懸り的なものであった。
類稀な才能を持った、真の天才の一人なんだこの人は。
馬鹿みたいにそんなことを考えた。

『The Wall』アルバムから『In the Flesh』『Mother』
といきなり冒頭から飛ばしまくりで、
『WISH YOU WERE HERE』(あなたにここにいてほしい)
でいきなり第一次ピーク。これには感極まった。
泣くかと思った。

インターミッションの間に、興奮した僕は勝手に席移動。
2階の最前列に空席を見つけたので、そこから
食い入るように『狂気』のナンバーに酔いしれた。
かれこれ、5年以上耳にしていないアルバムだが、
ちゃんと全部覚えていた。
ここからピンクフロイドのドラマーのニック・メイスンが
ステージに登場し、ツインドラムに。
場内が再び異様に盛り上がった瞬間。

「I'll see you on the dark side moon」のサビで
お馴染み『Brain Damege』では、場内割れんばかりの
大合唱が起こり、みんな気持ち良さそうにダンスしていた。
それは、とても美しい光景だった。

アンコールで披露された『Another brick in the wall』
では、ニューヨークの地元小学生合唱団のコーラス隊
20人をステージに登場させてバンドと共に熱唱する
という演出で盛り上げ、オーディエンスは拳を突き上げて
合唱した。

ラストは、『Comfortably Numb』。
終わってしまうのが残念でならなかった。
時間をまったく感じさせないまったく隙のない
完全無欠なショーだった。
ロジャー・ウォーターズの姿を、瞼に焼き付けた。

映像に金かけてるわパイロはばんばん爆発するわ
レーザー光線は飛び交うし、豚も飛ぶしスペースマンも
飛ぶし、豪華で壮大なるスペクタクルなショーだった。

次はロジャーとデヴィッド・ギルモアが和解して、
ピンクフロイドが再結成してくださいよ!
なんてことを祈りたくなるが、その可能性はかなり
低いわけで、でもそれが実現しなくても、この日の
ライヴを観られただけで、もう、十分満足だ。

いやはや、本当に圧巻のライヴだった。


そして帰り道、あと数分でうちに到着するという
Astor Placeのスターバックス前を歩いているとき、
「しかしなんで『Dark Side of the Moon』の邦題は
いきなり『狂気』なんだ?それもあのアルバムのテーマの
一つだけど、それだけじゃないわけだし」
なんてことを考えていたら、ヴィンセント・ギャロと
すれ違った。

マイミクシィjuju嬢情報によると、彼はアナスイの
ファッション・ショーを見に行っていたようで
(NYは只今大絶賛ファッションウィーク中)、
その帰り道だったらしい。
とりあえず身長は俺とほとんど同じなんだなあ。
やはり顔がでかいんだなあ。
しかし、かっこいい帽子かぶってるなあ。いいなあ!
とか思った。

昔は、結構好きだったな。
『アリゾナ・ドリーム』とか『パルーカヴィル』とか
『フューネラル』とか。あの声と演技良かったよなあ。
『バッファロー66』以降、興味を持てなくなったけど
(あの映画は期待値が高すぎたこともあったが)。
音楽とか絵とか不動産で儲けてないで、
久々に、映画に出ればいいのに。

◆SETLIST

In the Flesh

Mother

Set the Controls For the Heart Of the Sun

Shine On You Crazy Diamond (1-3)

Have A Cigar

Wish You Were Here

Southhampton Dock

The Fletcher Memorial Home

Perfect Sense Parts 1 and 2

Leaving Beirut

Sheep

(15 minute break)


DARK SIDE OF THE MOON:


Speak To Me

Breathe

On The Run

Time

The Great Gig In The Sky

Money

Us And Them

Any Colour You Like

Brain Damage

Eclipse

■Encores

The Happiest Days of Our Lives

Another Brick In The Wall Pt. 2

Vera

Bring The Boys Back Home

Comfortably Numb