遅い夏休みをもらいました⑧ | 松村マサル子の日常に訊け!

松村マサル子の日常に訊け!

役者・松村マサル子の日常で起こったことや感じたことを綴ります

3日目 13:00
恐らくはこの黒船祭りのメインってポジションにあるンじゃねぇかな。パレードも延々続く露天なんざあくまで露払いの位置なのさ。もっと"黒船"を身近に感じさせるイベント内イベント、等身大で分かりやすい黒船襲来と開国をアピール出来るパフォーマンス、ソレが寸劇なンだよ。この駅前のポスターを見てそう思ったね。
流れ、芝居の偉大さと使いやすさ、そういったモノも実感した俺だよ。演劇人としては嬉しい限り、周りがそう認識してるって現実が嬉しいね。芝居ってな、そうでなきゃいけないンだよ。
とは言え、何しろこの炎天下。何も野外特設ステージで演らせなくてもいいンじゃね?出演者はもちろん、こンな天気でじっと座ってるの観客だってキツいぜ?アタクシですか?ええ、市民体育館の軒先に座っての観劇ですわ。
いやいや、別に暑さから逃げたワケじゃないッスよ。劇場で言うトコの客席最後尾から腕組みして舞台を睨み付けるような感じ?芝居全体を俯瞰して観させてもらったってだけッスよ。小劇場じゃよくやるコトッスよ。別に日陰なンて…。
ま、そンなこたぁどうでもいい。とにかく本番だよ。
まずはストーリーテラーとして、地元のお寺さんの住職さん、若しくは後継者候補が登場してコトのあらましを説明。何ンでも、下田にゃ開国交渉のアメリカ団の宿泊地があったそうで、ソレ用にあてがわれたのが由緒正しい古くからのお寺だったそうで。彼は、そのお寺さんの子孫だってのね。
なるほど、当然コトの顛末は詳しいだろ、この役回りにピッタリ。しかもベシャリが上手いンだよ、まさにピッタリ。お経読ませとくのがもったいねぇぜ。おっと、不信心なコトを。
事前にパンフ代わりの説明書を1枚配ってもらったけど、まぁまぁ、芝居の流れとしては教科書に載ってる通りかな。
途中途中でプチ吉本チックなギャグを挟ンだり、この若い住職を巻き込ンだり、極力客を飽きさせないような工夫が見られる。なるほど、芝居としても成立させようって腹だ。いいコトですよ、エンターテイメントにしようよ、その調子で頑張れよ。
なンだけど、如何せん、史実に基づいた歴史劇。何しろ交渉ゴトだからね、腰に帯びてるとは言ってもハデな剣殺陣を見せるワケにもいかねぇし。残念ながら、どう頑張っても地味になっちまうわね。
もう何年も素振りもしてない身とは言え、昔は和モノ芝居で斬ったり斬られたりしてた俺だ、演出目線でどうにかしたいって気になっちまうぜ。もっとエンターテイメントに出来ねぇかなって。
ま、力量としては埼玉北西部地方とあんま変わンない地域劇団が中心、コレばかりはどうしょうもないわな。逆に野外の炎天下を活かすって手もあるとは思うンだけどなぁ。いや、部外者の勝手な意見だけど。
だけどせめてさ、裏に回ればバックステージが見えるような環境が考えて欲しいな。ソレ言ったら、衣装のままでうろつくのもヤだけど。ウン、コレが地方劇団の意識だよ、深谷も含めて。
だけどアレよ、全体が楽しンでるならこンなモンは大きなお世話な意見であって。この祭りが何年やってるか分かンないけど、この再現芝居はもう何年も続けてるらしいンだよね。ってコトはだよ、下田市民の皆さんは受け入れているってコトじゃん?コレでもいいってコトじゃん。
そうだよね、そうでなかったらキャパ100人くらいのあの座席に座ってらンねぇモンな。30分程度の舞台とは言え。
シロート芝居ながら、まさか旅の途中で芝居に触れられるとは思ってなかったからね。俺としては思わぬ収穫。最終日も午後に入って、さぁて、そろそろ帰るとしますかね。でも、しつこいと思われるのは重々承知。明日ファイナルを書きます。てへぺろ。