遅い夏休みをもらいました⑥ | 松村マサル子の日常に訊け!

松村マサル子の日常に訊け!

役者・松村マサル子の日常で起こったことや感じたことを綴ります

2日目 14:30
昼寝したり山道を歩いたり、平地を遠回りして歩いて帰ったり。そうこうしてるうちに時間が過ぎててさ、すっかりメシを食うタイミングを逸しちまったのね。そりゃそうだ、辿り着いた海岸にゃ何もねぇし、帰りの山ン中に何かあるハズもねぇし。
スタート地点の方の海岸に戻ったらこンな時間、だけど軽く腹に入れたいンだよね。そうね、この場所らしいモノを入れときましょか。
調布に住ンでたその昔、夏になるとやたらと多摩川に行ってたのよ。日焼けしにさ、ギューッと食い込むような競泳用の海パンを仕込ンで。
で、京王多摩川駅前の飲み屋で締めるってのが定番コース。京王閣競輪のトイ面の。コレがホントに昔ながらの造りでさ、木造で開けっ広げの。風が吹くとタバコの灰が飛ぶような。季節のせいもあったろうけど、ヤケに海の家っぽい空気でね。場所柄なんざ関係なく、アソコは好きだったなぁ。今でもあンだろうな、今も競輪ジャンキーを相手にしてンだろうな。
だけどだ、コレがホントの海の家だわな。いや、"に近い店"ってトコか。そういうのって畳かゴザじゃなきゃいけないし、テーブルばっかじゃダメだろ。まぁ、今の俺はコレがいいンだけどさ。
ビール2本、ソレにバカデカい「サザエでございま~す」と「人形は顔がハマグリですね」。美味いねぇ、つくづく美味いね。っていうか、このハマグリネタってドレくらいの人が分かるのかな?ひょうきん族を見てた人でも覚えてるモンかなぁ。別にいいけど。
だけどナンですよ。海岸の目の前で、わずかばかりの波の音を聞いて、手元に軽く汗かいたビール。少し塩気の強い貝の焼き物。あ~、幸せやなぁ。疲れが抜けてないからしゃーねーけど、どうせだったらココで寝っ転べられりゃいいのに。宿じゃ段取りに追われて全然休ませちゃくンねぇからなぁ。
まぁまぁ、コレは夜への繋ぎだからさ、そンなにがっつりいくワケにもいかンて。今日は地元の飲み屋に行く予定なンだし。
近所のコンビニで店員のおばちゃんに聞いたよ、この辺りでいい店を推薦してって。こういうのも一期一会ですわ。
で、推薦してくれたのがこの店。テラスもあるけど、あくまで内側中心の店。そうね、ソコまで入ってる風でもないし。ぶらりと入った1人飲みの男はカウンター、そンなモンでいい、変に気ィ使われたら困る。地元の常連さんをメインに対応してくれてりゃソレでいい。
ムダにキレイな刺盛り、だけど凄っげぇ鮮度がよくってね。やっぱ下田って土地柄の恩恵?港に近いとこういう鮮度に?「いやぁ、その日の水揚げによりますよ。よくない時は沼津まで行きますからね」。なるほど、ソコはこだわりですな、だからこその味ですな。
ってな感じで土地の人とのコミュニケーションを取ってたンだけど、何か調子がおかしい。やたらと酔いが回る。変だな、こンなモンしか飲ンでねぇのに。
そっか、やっぱ俺、疲れてンのね。全然癒されてないのね。っていうかさぁ、1日で一気にこンだけ赤くなってたらフツーに疲れンだろ。ましてや昨夜だって自分ペースでやらせてもらってねぇし。むしろイラついたし。
せっかくだけどね、もったいないとは思うけどね、ココは帰るしかないね。普段だったら21時過ぎって時間じゃありえねぇけど、ココは早寝させてもらいましょうかね。マジもったいないけど。
だけど何気に見上げたら結構星がキレイ。海と山に囲まれたシチュエーションがこういうモノを形成するのね。ま、高校ン時に行った軽井沢ホドじゃないけどさ。あン時は演劇部で苦しンでたから余計にそう見えたのかな。いや、下田の空もよかったですよ?マジで。