「社長、新人の彼って妻子持ちじゃないですか。だったら、共稼ぎとは言っても扶養手当みたいなのは出るンですか?」、不意にそンなコトを言ってきたのは事務のおネーさん。おいおい、どうにもいきなりやな。そらそうよ、共稼ぎだってのは関係ねぇ、子供もいるのに出さないワケにゃいかねぇじゃん。たださ、こういうのって俺も初めてだし、ドレくらい出すべきなのかで悩ンでンだよ。まぁ、子供もまだ小さいし、こういうのって徐々に高くなってくモンなンじゃね？子供って段階的に金が掛かるようになンでしょ？
っていうか、いきなり踏み込ンだネタを持ってきたねぇ。何ンで？
「ええ、最近は私も将来を考えるようになりまして。子供は両方男の子だから、大人になったら家を出て独立するじゃないですか?そうなったら、私はどういう生活になるのかなって考えるようになりまして。ダンナと2人?あのダンナと?ソレってどうなのかなって。要するにですね、ダンナに対する不満がかなり大きいってコトなンですよ」。そうきましたか。
「分からないですよ?まだ分かンないですけど、将来を考えたら別れるって選択肢もあるのかなって。ホント、最近よく考えるンですよねぇ」。
そうですか、ソコまで関係が冷え込ンでましたか。あれ？でも確か、去年言ってなかったっけか？でも、この場じゃ言えねぇな…。「ああ、去年言ってた節目の結婚式は取りやめてますから。色々とすいません」。だよね。「もう10年以上税金を払ってなかったンですよ、その分を今払ってるワケですけど。そうするとですね、アッチの給料って今の私より少ないンですよね。ホントに払い切るのかどうかも分かンないし。独立して自分の店を持ちたいってコトでそうしたンですけど、独立資金だって全然貯まらないし、貯めるための努力もしないし。単純に貯めるのだったらバイトでもすればいいのに、って。要するに根性がないンですよ」。
…随分と辛らつやなぁ。だけどだよ、ソコはホラ、一緒に頑張って夢の実現的な、そういう話にさぁ。「いや、もうムリですね。っていうか、自分に甘いンですよ。そのコトだけの話じゃないンですよ、応援しても応援しても動かないンですから。そういうのが積み重なると、ホントに私はコレでいいのかなって思いますよ。最近もケンカばかりで、しかも話がかみ合わないですし。最近は別れるコトばっかり考えちゃいますね、冷え切ったなンてレベルじゃないと思いますよ」。
ソコで扶養手当、か。まぁまぁ、だけど出来ればモトサヤになればいいじゃん、あたしゃソッチに期待しますよ？単純に人件費が増えるってコトだけじゃなく、厄介ゴトが増えるのがヤだからさ。
…頼むぜ、マジで。