私が五年生になって初めて日曜学校に行った日、牧師の奥さんが
「皆さん、今日はとても悲しいお知らせをしなければなりません。」と云いました。
「佐藤先生が、亡くなられたのですよ。
先生は、天国に召されたのです。」
私はなんだかポーっと目の前が暗くなりました。
未だ若いあの先生が、天国に召されるなんて、神様はひどいと思いました。
牧師の奥さんが、
「皆さん、先生のためにお祈りをしましょう」と云いました。
奥さんのお祈りの声を聞き乍ら、私は
「お祈りなんかしたって、先生は帰って来ないんだ」と思いました。
先生、どうして死んだの?
私はもう、佐藤先生の居ない教会へなんか行かない。
聖書の勉強なんかしたくない。
私は、死んだ人は嫌いだ。もうたくさん。
妹の死、産まれたばかりの小さい弟の死、父の死、みんな冷たくなって、顔に白い布をかけられて、焼かれてしまうんだ。
先生、もう一度元気な姿を、
金ボタンのついた黒い学生服を着て、スラリとしたあの清潔そうな姿を見せてください。
私は、悲しいの。
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