この頃、二つのマリを片手で変わりばんこにつくのが、流行していました。


「いちれつ だんぱん はれつして 

          

         日露戦争始まった。


  さっさと逃げるはロシアの兵
 

         死んでも尽くすは日本の兵」


あまり小さいマリでは、思うようにつけないので、大きいのがほしいと思っていました。


時々、おばあさんの肩を百たたいて。二銭もらうお金を、貯金箱に貯めたのが十二銭くらいあるはずだけど、大きいマリは一つ三十銭もするので、まだまだ変えないと思っていました。


でも今、兄に五十銭もらったので、明日は日曜学校から帰ったら、猿町のおもちゃ屋へ行こう。


「きれいに色を縫って、絵を描いてあるマリは、悪いマリをごまかしてあるので、白いマリを買った方がよか。」


と、おばあさんが云っているので、私は、白い無地のマリを買おうと思いました。


兄は、門の前まで送ってくれました。


「うちへ入らないの」と私が云うと、「今日はこれから少し、勉強をするから帰るよ」と云って、駆けだして帰って行きました。



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