私は、子供はかけそばを食べるものだと思っていたので、「かけがいいわ」と云うと兄は、注文を取りに来たお姉さんに「天ぷらそば二つ」と頼んでしまいました。


大きなえびのてんぷらが、二つものったおそばが来ました。


丼も、かけの時とは違って、花柄のきれいな丼でした。


兄は、ねぎを入れて、唐辛子まで入れてスルスルとおいしそうに食べ始めました。


私も負けずに食べました。


カラっと揚がった天ぷらのおいしい事、うちでは天ぷらと云えば、にんじん、サツマイモ、桜エビにねぎのかき揚げなので、大きな一尾のえびがおいしくて、おつゆもみんな飲みました。


兄は、「もう一つ何か食べよう」と云いました。


「もう、おなか一杯よ」と私が云うと、「僕はまだいっぱいにならない」と云って、もりそばを注文して食べました。


兄は、お金を拂うとき、五円札を出しました。お釣りをもらって外に出ると、私に五十銭くれて、「これでリボンでも買うといいよ。」と云いました。


私は、びっくりして「こんなにたくさんいいわよ。おそばもごちそうになったし」と云うと


「遠慮しないで、取っておけよ。また、明日から郵便局で働けば、金が入るから。」と云うので、


私は「そう、どうもありがとう」と、受け取りました。


「お兄さん、夜の電報配達怖くない?」と聞くと「お墓のそばを通る時なんか、少し怖いさ。


自転車をぶっ飛ばして、通るんだ。だけど、犬は一番苦手だよ。大きなお屋敷のデカイ犬が一番嫌だよ。」と云っていました。


そんな苦労をしてもらったお金で、私におごってくれたり、お小遣いをくれたり何だか兄がかわいそうに思いました。


私は、もらったお金で、マリを二つ買いたいと思いました。




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