66、葬式(その1)

一週間経って葬式の日が来ました。

父の死に顔は少しも変わっていませんでした。

棺の中は一週間もつようにと、薬の袋がいっぱい詰めてありました。

顔の処は、ガラス張りになっていて、いつまでも来た人達に顔を見せてあげられるようになっていました。

みんな、父の顔を見て

「とても安らかなお顔で、お元気の時と少しも変わらない」と云っていました。

出棺の前の一番嫌な時が来ました。

父の死に顔にさよならをして、石で棺のふたに釘を打つのです。

いい頃を見計らって、葬儀屋さんが「では、お別れを」と云うと母と姉とおばさんが声を上げて泣きました。

妹の時もそうだったように葬儀屋さんが「では、そろそろ」と云いました。