市川市文学ミュージアムにて | 家族紙芝居の○○一味(まるまるいちみ)

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(旧名:○○一座)

本来であれば来週に迫った紙芝居の告知を2つしたいのではありますが、どうしても心に響いたものがありまして、先にそちらを書いてしまいます。

 

先日、千葉県市川市にある市川市文学ミュージアムで開催されていました、『ちょっとこわ~い 市川不思議話展』へ行ってきました。

http://www.city.ichikawa.lg.jp/cul06/1111000259.html

 

市川は今は亡くなってしまいました祖父母が住んでいた場所で、子供のころからよくコルトンプラザに遊びに行っていました。

大人になってからもその感覚が抜けず、今も梅ゴンを連れてよく遊びに行っております。

 

そんな、大好きコルトンプラザの横に市川市文学ミュージアムというものがあるということを不覚にも今まで知らず、今回チラシを見て駆け付けたのであります。

 

 

市川ふしぎ話展は市川に伝わる民話から妖怪や昔話の絵、学校の怪談的な怖い話までさまざま展示されていました。

古いものから新しいものまで展示された作品はとても見ごたえがあり、日本人にとって不可思議な話というのが昔から染みついているであろうことを物語っていました。

二等親の桃太郎とかユーモア抜群の絵も目白押しでしたよ!

 

 

ふしぎ話展もとても面白かったのですが、しかし今回お伝えしたいのは常設展の方です。

市川にゆかりのある有名な方の展示がたくさんあったのですが、そこにありました一つの詩が頭から離れないのでお伝えさせてください。

宗左近さんの『走っている その夜14』という詩です。

 

東京大空襲のとき、お母さんを置いて火の中を逃げ惑う姿を読み上げたものです。

その、情景が浮かんでくるような緊迫感、恐怖、つらさがひしひしと伝わり、見入ってしまい、しばらくそこから動けなくなっていました。

一部抜粋してお伝えしたいと思います。

 

 

炎える母より『走っている その夜14』 宗左近著

 

走っている わたしは 走っている 走っていないで いることが できない

ずるずるずるずる ずるずるずる すりぬけて ずりおちて すべりさって

いったものは あれは あれは

 

すりぬけることからすりぬけて ずりおちることからずりおちて

すべりさることからすべりさって いったあの熱いものは

ぬるぬるとぬるぬるとひたすらぬるぬるしていた 

あれは わたしの掌のなかの母の掌なのか

母の掌のなかのわたしの掌なのか

 

(中略)

 

母よ あなたは 炎の一本道の上 つっぷして倒れている

夏蜜柑のような顔を もちあげてくる

枯れた夏蜜柑のような枝のような右手を かざしてくる

その右手をわたしにむかって 押しだしてくる 突きだしてくる

 

わたしよ わたしは赤い鉄板の上ではねている

一本の赤い釘となってはねている

はねながらすでに走っている

はねている走っている 走っているはねている

一本道の炎の上

 

母よ あなたはつっぷして倒れている

夏蜜柑のような顔を 炎えている

枯れた 夏蜜柑の枝のような右手を 炎えている

もはや もえている

炎の一本道

(一部抜粋)

 

実際はもう少し長くてご本人が朗読しているものを全部聞くと3分くらいと書かれていました。

どんどんどんどん追い込まれていく情景、どれほどパニックな状況だったのか、そしてどれほど自分を責め、つらい思いをしながらこれを書いたのか。

私は想像することしかできませんが、胸が締め付けられます。

 

 

3月10日は東京大空襲があった日です。10万人以上の人がなくなりました。

戦争はまだ歴史ではなくて手を伸ばせば触れられるくらい近いものなのに、知ろうとしないと知ることができなくなっています。

それは戦後必死に生きてきたからなのか、つらい記憶を封じ込めてしまったからなのか、今が平和だからなのか、授業できちんとならわないからなのかわかりません。

しかし私は忘れたころにまた起こると思っています。

 

私と源兵衛さんのおじいちゃんはたまたま同い年の93歳で今もとても元気に過ごしています。

おじいちゃんたちが20代の頃、戦争が起こりました。戦争時に大人であった最後の世代です。

「戦争は絶対にしてはいけない」とおじいちゃんは毎回私たちに言います。

 

私たちは想像することしかできません。いくら当時の写真をみても文献や体験談を読んでも実際に体験していない私たちは日常に流されてしまいます。

だからこそ勉強したいと思うし、実際に戦争体験者に触れられる最後の世代だからこそ梅ゴンや若い世代に伝えていかなければと思っています。

 

 

とても色々な刺激を受け、考えさせられた一日でした。

 

そして!たまたまなのですが、同じく市川市文学ミュージアムの次の展示で宗左近さんの展示会をやるようです。

常設展だけでも見ごたえがあるとは思いますが、ご興味ある方は是非。

http://www.city.ichikawa.lg.jp/cul06/1111000248.html

 

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市川市文学ミュージアム

〒272-0015
千葉県市川市鬼高1丁目1番4号 市川市生涯学習センター(メディアパーク市川)2階
電話:047-320-3334 FAX:047-320-3356

 

通常展示無料

企画展示イベントによって有料

http://www.city.ichikawa.lg.jp/cul06/litera.html