第十二話 「intertwine」



まるを止めようと応接室のドアを開けると


そこには誰も居なかった


この部屋を出て小次郎が目覚めるまで20分くらいだ


そんなに早く話し合いが終わるとは思えない


当然、まると比美加さんが意見を戦わせているだろうと思ったけれど


一体どうしたというんだろう?


ボクはあたりを見回した


すると、今さっきまで人のいた気配を感じる


ジュースもお菓子もそのままで、みんなが居なくなるだろうか?


ボクは他の部屋を見回したけれど


黒子の姿も見えない


何かあったに違いない


ボクは応接室にある観葉植物の記憶を見せてもらうことにした


すると、恐るべき事実が見えてきた


突然三人現れたかと思うと、次の瞬間みんなが消えた


「一体何が見えるんだ?」


小次郎には植物の心は感じない


だから、ボクは植物から感じとった記憶のイメージを小次郎に送った


たちまち小次郎の顔色が変る


「モンスター達だっっ奴等が何故ここに・・・」


まるたちは、モンスターと呼ばれる兵士達に連れて行かれたらしい


「そうか、俺が気を失ったばかりに・・・」


小次郎が言うには、彼らは能力者が能力を使うと探知出来るらしい


しかし、テレパシーを使えるものがシールドを張ると


それを回避できる


だから、彼の仲間は必ずテレパシストと行動するらしい


これは、モンスターたちも同じで


それだけテレパス(テレパシスト、テレパシーを使える能力者)は貴重らしい


「でも何故僕たちは見つからなかったの?」


ボクがそういうと、小次郎は呆れ顔になった


「君の能力のお陰だと思う」


「ボクは自分の能力を封印しているんだよ」


そういうと、彼は驚きの顔を見せた


「では、まだ本気で能力を使っていないと言うの?」


ボクが頷くと小次郎の顔色がまた変った


「シールドを無意識に張り巡らしているのではないとすると、もしかして君も特異体質なのかもしれない」


「特異体質?」


「能力者の力を弾いてしまう体質の人が時々いるんだけれど、殆どの場合、そういう体質の人は能力者ではない、そして無神論者で科学万能を信じる人に多い、能力者でこんな体質は、見た事も聞いた事も無い君が初めてだ」


その特異体質という存在が近くに居るだけで


能力者の力は歪められたり、充分に発揮できなくなる事だってあるらしい


「でも悠里は全然平気だったよ」


「悠里は特別なんだよ、彼の力は生命力を扱うものだから、能力者の力の根源に大きな影響を及ぼすことが出来る、それだけじゃない、人の命を生かす事も奪う事も出来る」


ボクは何度か、悠里が動物や人の命を救ったことを思い出した


てっきりそれが悠里の能力だと思い込んでいたけれど


その逆も出来るんだとしたら


そして悠里がその事を自覚したとしたら


彼が必死で能力を封印しようとしていた気持ちを解かる気がする


人に能力を知られる事以上に


自分が他の命を奪はないか恐かったのかもしれない


だから、能力を研究し続け自分の能力をコントロール出来るように


何年も訓練し続けたんだ


「そんな事より、みんなを助け出さないと」


小次郎は首を横に振った


「奴等に捕まれば、命はない、能力者ではないと解かれば口封じされるに決まっている」


みんなが・・・・消されてしまう?


まるも黒子も比美加さんも・・・


「ダメだ、口封じなんてさせない、それに悠里がこのことを知れば、どうなるか判らない、比美加さんは、悠里にとってかけがえの無い大切な人なんだから」


「それは本当か?」


小次郎の声ではなかった


声のほうへ視線を移すと


三人そこにいた


二人は見覚えがある


一人はテレポートの少年岸谷誠司で、


一人は悠里を小次郎と一緒に連れて行った霧島太一


もう一人の女の子は小次郎の話だとテレパスになる


「もし悠里の大切な人だとすれば、助け出すか」


霧島太一はチラリと女の子を見た


鋭い目をしていて


きれいなログヘアーは腰あたりまで真っ直ぐ伸びている


黒子とは違った感じのキレイな顔立ちは


ボクをずっと睨んだままだ


「小夜、この子は敵じゃない、大丈夫だ」


「こいつは危険だわ、だって全然心が読めないもの」


「悠里と同じ特別な力を持っているんだよ」


三人の意識が全然違う方へ向けられているのが感じられた


子供の頃は人が沢山いるところは苦手だった


植物や動物達の心はとても純粋で喜怒哀楽がハッキリしているから


とても心地良い波動が感じられるけれど


人間の心は複雑過ぎて気分が悪くなる


とくに、全然違う方向を指している心が交錯する場所は


自分の居場所すら判らない状態になった


こういう時悠里が教えてくれたように


流れに逆らわず、意識の流れを交わしながら


風に揺らぐ柳のように自分を見失わなければ


風の流れが読めるようになる


小夜と呼ばれた子は悠里への想いが強いようだ


だから、比美加さんを見捨てる選択をしそうだ


霧島太一は、悠里の事を思いつつ今回の全容を把握しようとしている


岸谷誠司は、判断を太一に任せている


「モンスターたちと事を構えると我々の仲間も壊滅させられてしまう可能性が高いよ」


小夜と呼ばれた子が言うと太一は少し傾いた


このままでは、みんなを見捨てる事に決められてしまう


「もし比美加を見捨てるような事があれば、君たちの信頼は失われる」


「隠せば問題ない」


「隠せる自信があるの?悠里は頭がよいからね、ほんの少しの矛盾でも感じたら直ぐに答えまで辿り着いてしまう」


「その通りだ、悠里の凄さは能力の特異性だけではない、彼の頭脳もずば抜けている」


小次郎が助け舟をだしてくれた


どうやら、彼らにも悠里の推理力の凄さは知れ渡っているようだ


本人はひたすら隠してきた力なのに


なんだか悠里を利用しているみたいで辛いけれど


今はみんなを助け出したい


「俺では判断がつかない、祥子様に聞いてみよう」


祥子という名前を太一が言った途端に、


みんなの気持ちが安堵に満ちた


彼らの心の基となっている人物らしい


「しかし、こいつを連れて行くのは反対だ」


小夜という女の子は、ボクに脅威を感じているのだろうか


「心配ない、この子はボクを助けてくれた、詳しい話は祥子様に報告するけれど、断じて敵ではない、俺が保障するよ」


小次郎はボクの事を信頼してくれている


不思議だがそれはとても嬉しい


「小次郎お前は人が良すぎる、心が読めない相手を信頼できるのか?」


「この子はシールドで心を閉ざしているのではないんだ、特異体質だと思う」


途端に小夜の顔色が変った


彼女だけではない太一も岸谷誠司も驚きの目でボクを見つめる


「しかし、能力者で特異体質なんてのは考えられない、我々の力と特異体質は相殺される関係になる」


「ああ俺にもサッパリだ」


小次郎が頭を掻くと小夜がボクに近づいて来た


「相反する力を一つの固体の中で存在しているなんて、矛盾だわ」


「そう、それだ、俺もその矛盾がこの子にはぴったりくる」


小夜と小次郎の思考の方向が重なった


矛盾とはとても心痛い表現だけれど


何故か否定出来ない


ボクは、植物たちの気持ちを感じ取りながら、彼らを食べている


彼らへの愛情を感じながら


彼らの命を犠牲にして生きているのだから


あの時両親の涙が無かったら


ボクはこの世にはいなかった


人間が沢山の命を犠牲にしてまで生きている価値があるのか


未だに判らないけれど


ボクは生きる事を選択した


感謝して命を頂くという価値観は学んだけれど


それはあくまで、人間の側の考えだ


殺されて食べられるものたちは感謝されたいと思っている訳ではない


いや、止めよう今のボクでは食物連鎖の答えは見つけられない


悠里なら答えられるだろうか?


このまま、彼らに着いて行って悠里に会う事も出来る


だけど、まるたちをこのままにはしておけない


「悠里には会いたいけれど、ボクはみんなをこのままにはしておけないから、モンスターたちを追う」


「まて、それは困る、君が特別な力を持っていてしかも特別体質となれば、悠里と同じく彼らに君の存在を知られるわけにはいかない」


「そんの事は知らない、ボクはみんなを助けたいだけだ」


太一は決して悪意から言っているのではない事は感じ取れる


だけど・・・


「俺はこの子の力になる」


「小次郎、お人好しもいい加減にしたらどうなの?」


小夜は冷淡に小次郎ではなくボクを見た


まるで、比美加さんのようだ・・・・


あっ、ボクはまさかとは思ったけれど


「ボクと悠里は、男同士の固い友情に結ばれている」


案の定か?ボクはそんなに女子に見えるのか?


小夜の顔が驚きに変わった


「そっそうね、悠里の親友を邪険に扱うのは気が引けるわ」


小次郎はショックを受けている感じだし


太一と岸谷誠司は信じられないといった目でボクを見ている


って事は、みんなボクを女子だと思っていたって事?



「とにかく時間はとらせない、それに祥子様なら、モンスターの居場所を見つけ出せるかもしれない」


祥子様と呼ばれた人は、そんなに凄い能力をもっているのだろうか?


ボク一人で、モンスターたちを捜すよりも


彼らが協力してくれる可能性があるなら


それに賭けてみる方が確立は高くなる


それに彼らのアジトには悠里がいる


ボクは彼らについて行く事にした



つづく


第十一話 「リリーン・ピゼット少佐のリポート」


初めから読む


もっと初めから読む



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なんか途中でぶった切ってしまいました(--。。


というか・・・


やってしまったって感じですΣ(@@。。


本来なら小次郎たちとその組織のコンタクトがあってから


モンスター達に対峙する予定だったのですが


ふと、小次郎が気を失い、岸谷誠司がテレポートしたら


ほんの僅かな力でも、モンスターたちが察知しない筈はない


岸谷誠司がアジトに帰り報告してみんなを連れてくる前に


モンスターたちがみんなの前に現れるのではないか・・・


書きながら頭に過ぎった瞬間に


そのような展開に書いてしまいました(--。。


話的にもややこしい事になりますΣ(・ω・ノ)ノ!


最悪な展開ですね、これではモンスターたちとの全面戦争になりかねない


私って決められたレールの上を歩くのが苦手で


だから、お話を作るのは好きなのですが


プロットのまま話を進めて行くと


こういった悪い癖が出てしまうのですね(--。。


自分の作ったプロットにそっぽ向いてしまう・・・・


ちょこっとプロット組み直ししなきゃなのです(--。。


如何に行き当たりバッタリといっても


大まかなプロットは組んでいるのですよ~


その根幹的所で変更があるとパニックですヽ((◎д◎ ))ゝ


いやいや、このまま前人未到のまま書いてみても


面白いかもです(>▽<。。)ノ))



ただパー


話が完全崩壊してしまう可能性はめっちゃ高いのですけどねΣ(@@。。


ええい、プロットなんて目安で一つの可能性に過ぎない


いくつものプロットが木の枝のように分かれているから


何処かに辿れつけるでしょう(>▽<。。)ノ))


いっその事


目を閉じて三回まわってボーリングのボールを投げるように


どのような経路で何処に進んで行くか判らない状態の書き方も


たまにはよいかもですヾ(@^(∞)^@)ノ・・・・・orz



まる☆