7時頃に伺うと、俺が入れるかどうか訊ねるより先に、入り口から顔をのぞかせた俺に、中の店員さんが腕で大きなバッテンを作って申し訳なさそうに顔を顰めた。
だから俺もなにも言わず、悲しそうな顔をしてペコリと頭を下げると外に出た。
それから、なかなか美味しい安くて、たいてい断られる事の無い居酒屋に行った。
案の定、カウンター席につく事ができ、そこで適当に呑み喰いをしたのだけれど、それほど腹が膨れぬのとは反比例、俺の心中では欲求が膨れるばかりだった。
その店を出ると、ダメ元でもう一回行ってみようという気になっていた。
これで入れなかったら今日の所はもう帰ろう。そんな覚悟で伺ったのが良かったのかもしれない。
あきらめの境地ってのは、時として人を幸運へと導いてくれる。
つまりな、
つまり、
ネバーギブアップ!
もし、なにかに挫折しそうになり、「もう俺はだめだ。諦めた!」なんて嘆いている人が近くにいたら、この話をしてあげて欲しい。
簡潔に言えば、一度断られて入れなかった居酒屋に、他の居酒屋で時間を潰し、もう一回チャレンジする事で入る事が出来たっていう話を。
最後の結論も忘れずに伝えて欲しい。
来て良かった。
意外に、「そうかもしれないな、よし!まだまだだ!もう一回挑戦してみよう!」なんてことになるかもしれない。
世の中、時間さえ経てば、なんとかなることも、結構ある。
問題は、その間の時間をどう過ごすかってことなんだ。