奇跡のりんご―自然の摂理から学ぶ農と教育 04 / 06 | ジュガール★ライフ Jugar Life

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Jugar[d] とはヒンディー語で創造的という意味。ここではインドでの生活や、アースシップ(Earthship), フェアトレード(Fair Trade)などのプロジェクトに関してつづっていきます。

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木村秋則:

そして、畑をやる人、家庭菜園をやる人は来て温度を測ってください、と言っています。私のことを穴掘り魔と呼ぶ人がいるわけです。50cm温度を測ってください、と。そしてわたし、全国の会場で同じ質問をします。

『山の土50cm穴掘りました。地表と50cm底では、温度差どれくらいあると思いますか?』これ学問に無いんです。ここは学校です。でも学問に無い学問なんです。みなさん、もしも良かったら計ってみてください。1℃あるかないか。

ところが、農家の人たちが畑としている土を50cm穴掘ると、10℃近い差があるんです。山の土と、畑の土との違いは10℃って言ったら大変な違いです。ですから、山の土のように温度差を無くしていくと、なんでもできる土が出来るわけです。なぜ温度が低いかというと、わたしは思うにはバクテリアの数が少ないんじゃないのかなと思うんです。はい次お願いします。



そして、やはり穴を掘りました。場所はドイツです。もうドイツのオーガニックは世界をリードしている程の、行き届いております。ところがわたし、ドイツのジャガイモを見て、わたしにこう言ったんです。『今に小さいジャガイモ、年々80年も肥料・農薬を止めてきたら、ジャガイモもこれくらいになりました。これが正しいと思っています。』それで、『あなたがたは間違っていませんか。』と言ったのです。

そして、穴を掘ったのです。5月の28日でした。ドイツは、温度は寒いと思ってズボン下履いて長袖の下にコールテンのワイシャツを着てるの。ドイツの方は、半そでなの。この時は長ズボンでしたけれども、この前まで半ズボンで、わたし汗をかいて一生懸命やっていたわけです。そしてその結果、ねずみ色がドイツの方、80年オーガニック農業でやって来ただけの土です。

わたしの畑はほとんど温度差が無いんです。80年肥料農薬を使っていない畑、もう10cmのところで、8℃くらいの温度差があった。ところが、ドイツの人も負けず嫌いな方で、『あなたの言うことはあまり信用しない』とそう言われたんです。それで、あなたがそういう指摘をするんであれば、あなたが植えてきて下さい、植えてみたらいかがですか。

それで、ドイツの畑、お借りしてジャガイモを植えました。この広い畑を手で植えたもんですから、腰痛くて、腰痛くて、やっと植えました。当然、とれたジャガイモは全然違う、大きなジャガイモがとれたわけです。同じ土で、ドイツの方がやったジャガイモはこんなジャガイモ。わたしがやったのはこんなジャガイモだった。その違いはどこにあったと思いますか?

わたし、温度が下がる10cmのところに芋を植えたんです。ところがドイツは機械ですから、20cmと10cmの間にジャガイモを植えていくわけです。温度が低いのでジャガイモの生育がままならなかったわけなんです。

だからわたし、早く終わりたいがために浅く植えたんじゃなくて、熱いところを利用したらジャガイモがどれほど生育し易いだろうと思って植えたわけです。これで比較にならない大きなジャガイモがとれたわけです。『木村の栽培はすごいな』と言われるようになったんです。そして去年、ドイツの方が日本にみえるようになりました。ただ言葉が通じないので、そこが困るんですけれども。



あの、今日は学校を利用するという形で、あえてこのスライドを使わせていただきます。若い人たちになぜこうなるのか、これを勉強して学術的に解明してもらいたいわけです。これは何を言っているのか今の一般的な畑の姿です。硬くて、根が通れない層があるんだよ。そこを壊さないと、野菜が思うように生きていけないんだ。

誰もが目に見えるところは、土の上なんです。目に見えないものは、大事なものは、土の中に隠れている。この土の中、誰も見ようとはしない。それで、温度を測ったわけです。この硬い層は、温度が低い。で、バクテリアの活動がほとんど低いために余計温度が低くなってしまう。作物の根はそこを通り越すことが出来ないのです。

みなさんもそうでしょ。冷たいものにあんまり手を触れたくないでしょ。植物の根もおんなじなんです。はける、だから根がゆるむんです。そして、この、ここを壊してやると、作物は肥料などいらないという世界に入るわけなんです。はい次お願いします。



去年1万2千人ほどわたしの畑に土を固めてくれました。固めないところのオオバコです。固めたところのオオバコです。タバコの大きさと比較してみてください。これほど違いが出たんです。ですから、いかに固い土が、雑草も嫌がる土に変るわけです。30年間、山の土を取り戻そうと思って、足跡がつくような土を作ったんですけれども、大勢の人がそれを元に戻したというような状況です。(笑) はい次お願いします。



そして、この穴、誰があけた穴だと思いますか?みなさん・・・虫ですか?実は、もしも、山へなんかへハイキングに行く時がありましたら、ぜひそこにある山の木の葉を見てください。穴が開いていたりする葉があるはずです。虫がいないのに穴が開いている。これは、わたしのりんごの葉っぱです。

自分が病気になった幹部を自らが落として病気を防いでいるわけです。そして、そういうことは考えられないと地元弘前大学が話して、実際それじゃ、この病気をりんごの葉っぱに塗って調査しましょうということになりました。はい次お願いします。



病気を塗ったんです。やはり、わたしの畑のりんごの葉は、患部を落としたんです。肥料・農薬使っているところは、落とすんじゃなくて、やはり枯れていきました。

ですから、自然の生態に近づいていくと、自分の体を自分が直していってるんじゃないのかなとわたし思うんです。同じことが人間にも起きてくると思うんです。ですから毎日の食事を大切にしようと、うったえているんですけれども。はい次お願いします。



そして、これはダニを食うダニ。ガブリダニといって大きさは1mm、大きくて1.5mm。すごく高級な身分の方で、朝日が昇ってきて、9時半ごろりんごの木に登場するわけです。そして、日が沈む前に3時半ごろ、お帰宅するわけですよ。まぁ~よく恵まれた虫であって、ぜいたくな虫です。この虫はダニを食べているんです。ですからダニが一匹もいないんです。はい次お願いします。



これは、アブラムシを食べる虫です。みなさんはてんとう虫がアブラムシを食べる良い虫、小学校の入学する時、誰もが習ったと思います。それじゃ、みなさんに質問したいと思います。てんとう虫、アブラムシを一日にどれくらい食べるでしょうか。お答えください。

だって、みなさん、アブラムシを食べるてんとう虫は良い虫だって言うんでしょ。じゃあ、何匹食べますかっていったら、『いや、アブラムシを100匹食べました』とか、やっぱり、そう、見てるから言えるんじゃないですか?見てなければ、良い虫、悪い虫、わからないじゃないですか。ね。実際は、5、6匹程度なんです。(笑) 

みなさん、ちょっと観察早まったんじゃないかなと思うんです。で、てんとう虫にご飯粒でのりを作って、てんとう虫飛んでいかないように、羽にご飯のリを塗って、そして、調べたんです。りんごがなっていないから、ただ、半日はしごに座って、じーっと、そのてんとう虫だけを見ているわけですよ。で、ご飯食べて、結局のりで羽が固定されているから飛んでいけないわけですよ。だからそこにだけいるわけ。

そうしたらどうなったか。てんとう虫の背中をアブラムシが平気で歩くようになった。普通自然界で、怖いものはそばにも行かないはずです。ですから、アブラムシはてんとう虫を怖いと思っていないんじゃないのかなと思うんです。幼虫は成虫よりも少し多く食べます。10匹食べる幼虫もありました。



じゃあ、この虫、手当たり次第食べる虫です。アブラムシが無くなるまで食べます。そして、無くなると移動します。この虫、何の幼虫だと思いますか?大きさは1mm程度です。大きくて2mmです。この前ちょうちょという答えが出てきました。ちょうちょだと、1mmのちょうちょってのは、どうかと。(笑)

これは、みなさんが一番嫌いな、仲間の、ものです。ハエ、アブの仲間の幼虫なんです。山では、嫌われ者のハエ、アブがすごい力を出している。アブラムシを食べている。そしてまた、アブラムシが発生すること自身(自体)がおかしいんです。

先ほどのタンポポを見たことを思い出してください。何も使わなければアブラムシが発生しないんです。家庭菜園やっておられる方、うちアブラムシで困っているというのは、土が悪いからなんです。虫を呼んでいるんです。

『木村にだまされて、アブラムシが今いっぱいで、何か農薬買ってちょうだい、あんた。』と、それご主人さんが奥さんに命令されて、農薬店へ走るわけですよ。そいじゃ、それが原因じゃないんです。土なんです。 はい次お願いします。



そして、野菜はわたし、豆を利用しているんです。そして、全国に“豆いっぱい運動”を起こしました。ところが、大阪から南の人たちは、すごく協力してくれました。なぜか北国に向かって、協力があまり無いんです。空き地があったら豆を植えましょうと言ってきたわけです。みなさん、味噌・醤油・豆腐、食べますね。その、原料のわずか10%だけより、国産もの無いんですよ。味噌・醤油・豆腐、日本の伝統と書かれています。輸入だけで作っているのも多いです。それで、日本の伝統食と言えますか。わたし、ですから、豆をみんなで空き地があったら植えましょうって言い出したわけです。

そして、大事なものは土の中に隠れている。大豆の根なんです。このつぶつぶが、地球を救うかもわからない大きな働きをしてくれるんです。根粒といいます。はい次お願いします。



そして、これは一般農家ですけれども、大豆を植え、そしたら、先ほどの固い層を壊すために小麦を植えています。小麦を植え、大豆を植え、その間に野菜を植えるんです。はい次お願いします。



そうすると、こういう姿になるわけなんです。肥料を一切使っておりません。農薬使っておりません。アブラムシが一匹もいないんです。はい次お願いします。



そして、肥料・農薬・除草剤、土壌改良しないで、にんじんがこれほどより大きくならなかったわけです。これにんじんと呼びますか?これ、この後腐っていくんですけれども。はい次お願いします。それが3年過ぎたら、こういうにんじんがまた取れるようになりました。はい次お願いします。




つづく
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