奇跡のりんこ―自然の摂理から学ぶ農と教育 03 / 06 | ジュガール★ライフ Jugar Life

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Jugar[d] とはヒンディー語で創造的という意味。ここではインドでの生活や、アースシップ(Earthship), フェアトレード(Fair Trade)などのプロジェクトに関してつづっていきます。

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木村 秋則:

そして、この大気圏局が発表したことをまとめてみました。地球をとりまくこの二酸化炭素、これがどんどん増えていくために温暖化が起きている。そして、以前、エアコンとかに使われてきたフロンガスの抑制というものに国際的に取り組んでいるわけです。そして、そろそろ10年以上も過ぎたので、大気圏の壊れた穴が修復されていたのか、そう思って、はい調査していた所、地球がすっぽり出入りするほどの穴に、逆に大きくなっていた。

この原因として、先ほども言いましたとおり、農家の人たちが使う、肥料・農薬・除草剤が拍車をかけているんだ。工場ばっかしではなかったんだ。その為にどんどん、どんどん、有害な紫外線が入ってきたり、あるいは異常気象が起きて、今日は半ズボン、次の日はセーターという日が来ないとも言えないような変な天気になっているわけです。

わたしの住む東北地方は去年、梅雨のあけないまま、秋が来て雪が降ったわけです。東京に住んでいる人はなんてしあわせだろうなぁ、と。雪かきをしなくてもいいなぁ、と。そう思ったわけです。正月の3日、何をしていたかというと、1日3回雪投げをしていました。今年は何か、雪が多いような感じがしております。

ですから、この農家の人たちが使う肥料・農薬・除草剤が、悪だとはわたしは言いません。それによって、確かにこの日本人の食が潤ってきました。農家の人たちは、除草剤を使うことによって、重労働から開放されたわけです。ですから、大きな日本の経済の発展の立役者であったんですけれども、農家の人たちがあまりにも使いすぎるんじゃないのかなと、わたし思うんです。はい次お願いします。



そして、これはわたしに聞かせた言葉です。りんごがなっていない時に、どうしたらなるだろう。全然答えが無いわけです。でも、家族には嘘して、去年より良く見えないか?こんなことを、嘘して、洗脳していたんです(笑) でまた、そういわれると、人間の目っていうのは、そう言われたように見えるんです(笑)そして、でも答えのないわたしにとって見ると、すごく板ばさみでした。

ましてやわたし、養子の分際でこんな栽培をしたものですから、世間の風当たりというものはとても常識を超えています。バカ、気違い、阿呆。これは、まだ良いほうです。その上をご存知ですか?ろくでなし、あります。その上をご存知ですか?みなさん知ってないでしょ。

わたし、指を指されて言われたんですから。・・・“どんぱち”。これは方言です。正しくは・・・“ほうはち”。仏教の八正見、正しい八つの行いという、それを忘れた者。ほうは、忘れるの忘です。それがなまって、どうなまったのか、どんぱちという(笑)似てなくも無いような感じなんですけれども。

わたし、この“どんぱち”と言われてきたんです。それほど異端児に見えたんでしょう。まだ、異端児扱いではありますけれども少しずつ変ってきております。それでは次お願いします。


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“答えはかならずある”と書かれたスライドに、

●常識にとらわれない ●バカになれ ●温故知新 ●活かして生きる 

 と書いてありました。

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そして、バカになれ。必ずどこかに答えはあるはずだ。バカになれ。そしたら、なにかこのバカになれは、バカという言葉は、行動用語ではないみたいで、それをあえて使ってもらったこの実際です。バカになったら何か答えがあるんじゃないのか。そう思うんです。

それから、古い時代に、おじいちゃんおばあちゃんの時代に、使われていた、あるいは言われていた、そのなかに使えるものはないか、古いものを全部捨てて、新しいものが全てが良いという考えじゃなくて、古いときには、もう良いことがあったんじゃないのかなと思った(・・・語尾聞き取れず)。

そして、じゃあ何をすればいいのか、土のにおいをかいで歩きました。山行って、ロープが外れて死にそこねたわたしです。そして、あちこち土のにおいをかいで歩いたわけです。見本はそのどんぐりの木の根元の土でした。そのにおい、と同じにおいを求めたわけです。はい次お願いします。



そして、みなさんがよく見かける田んぼです。何気ないタンポポですけれども、これは道路に生えていたタンポポです。やはり、砂利の上ですから、すごく痩せたタンポポですけれども、農薬をかけていないにもかかわらず、虫がいないんです。はい次お願いします。



これは、とく農家といわれる畑のタンポポです。肥料たっぷり、農薬たっぷりです。タバコの大きさと比較してみてください。いかに小さいかおわかりかと思います。そして、この花の裏をひっくり返してみると、気持ちが悪いほどアブラムシがついています。農薬を散布しているにもかかわらず、なぜ虫がいるんでしょうか。はい次お願いします。



わたしの畑のタンポポです。タバコの大きさから比較して、め、ちぇーてーから、なんか、ぴやるだいくるかもわからない。(方言)タバコが登場しています(笑)あはは。茎の長さは、5、6十センチ(5、6センチの間違いと思われる)あるんです。なにも施していません。そして花の裏には、葉にも、虫一匹いないんです。

なぜ農薬を使うと虫が来るんでしょうか。みなさんの考えでは、無農薬にしたら虫が来て困るよ。誰でもが思います。そのために農薬があるんですから。そして、そのタンポポの花が、山のタンポポと同じくらいになったら、必ずりんごは実ってくれるだろうと思ったのです。

答えはその通りでした。そして、女房を連れて、『このタンポポを見てごらん、山のタンポポと同じだろう?来年必ず、花が咲いてくれるから』そう女房に言いました。でも、半信半疑の顔でした。はい次お願いします。



そして、りんご、実ったんですけれども、花が咲いたんですけれども、わたしの頭の中には、いや、咲くだろうという確信と、だめだろうという二人がいて、だめだろうということに結論傾いて、田んぼへ行く準備をしていたわけです。

そうしたら、向かいの畑の人が、『木村、花咲いたぞ』って、咲いてくれたわけですけれども、この畑に行ったとき、花を直接見れないんです。となりの畑の小屋からそっと覗きました。きっとみなさんにも同じような経験があると思います。恐る恐る見たわけです。今まで10年も花咲いてないもんですから、信じられないんです、この目が。そういう時もありました。ですから、その思いはわたし、今何も変っておりません。



そして、このグラフは、わたし30年も肥料・農薬使っていないわけです。じゃあ、さぞかし土が痩せているだろう、とそう思うでしょ。この青いグラフは肥料を使っている人の土です。赤いグラフはわたしの畑のグラフです。実に3倍近い肥料分が不思議にあるわけです。何も施していない畑が、不思議に栄養分が多いわけです。

そして、調べたのは、地元弘前大学の杉山先生ですけれども、わたしの畑の土が、白神、今世界文化遺産に登録されている白神の土とおんなじ状況だと言うんです。30年という長い年月をかけて土が変っていったんです。この立役者たちは、雑草と、土の中のバクテリアたちなんです。この地球を支えているのは、雑草とバクテリアだということを、みなさんもう一度認識してください。



そう見ると家庭菜園やっている方はよく経験あると思うんですけれども、雑草を見ると憎っくき敵なんです。また、生えてきた!つい3日ほど前に抜いたのにまた生えてきた。雑草は生えてくるけれども、播いた種の野菜は成長が悪い。また虫が来た。とか、そういう苦情ばっかり言っていると、雑草も野菜も耳あると思うんです。(笑) 

みなさんね、あのベランダの花に、『ああ、きれいだね』『長く咲いてちょうだい』と言えば長く咲く、みなさん聞いたことあると思うんです。人間や動物たちに耳あるんじゃなくて、みんな耳あるんじゃないのかなと、わたし思うんです。是非とも、この家庭菜園をやっている方がいたら、あるいは知っている人に家庭菜園をやっている人がいたら、『やさしい言葉をかければいいよ』というような気持ちを、自分の子供や家族と同じ扱いをしたらどれほど野菜たちは喜んでいるんでしょう。

わたし、そう思うんです。今の日本人に欠けたところは、そこじゃないのかなと思うんです。人間が一番偉くて、あとのものはみんな人間の部下なんだという。そうじゃなくて、人間は、わたしね、りんご一個、米一粒実らないんです。



わたし、農家の人たちに、米農家に行ったときにこーんな話をしました。『みなさんの仕事はなんですか?』『米作りです。』まさにその通りです。『米は誰が作りますか?』100人いた農家の人たち、『私です。』と答えたわけです。

『本当ですか?』『米を作るのは稲だよ』『みなさんじゃないでしょ』『みなさん、この会場へ何で来ましたか?』『いやぁ、車で来ました。』『みなさん、その車は誰が買った来てくれた車ですか?』そう言ったら初めてわかったんです。『米だ』と。『じゃあみなさん私に、米作りと言ったことは正しいですか。』しーんとなりました。

『わたし、ここまで来るのに、車で来たけれども、だれも田んぼに人の姿がみえない。収穫が終わったからいいんだ、とみなさんそう思っているでしょ。田んぼの土は、家の主人は冷たいなぁと思ってるんじゃないの?この先の宴会を行わないで、そのお酒を田んぼに飲ませてください。』こんな話をしたわけです。



そして、当然ながら宴会は中止です。(笑)そこに出たお酒、人間の腹に入るお酒が田んぼにいって、ありがとうのお酒に変ったんです。農家の人たち、土に対する愛情をもっと持ってもらいたいなと、そう思ったわけです。

そして帰るときに、車を止めて高い所から見ていました。最初はパラパラの百姓たちが大勢で、やはり田んぼに、お酒を杯で飲ませている姿があったわけです。言われて初めて気がついたんじゃないかなと思うんです。ですから、わたし最初にりんご手伝い業といったわけなんです。はい次お願いします。



そして、お米をやっている人たち、土は農業の経済の1年に1回の収穫、長いんですけれども、土も変っていくのにだいぶ年数もかかるわけです。すごく良いことなんだけれども、ただわたしの栽培、米野菜の場合は最低3年はかかるんです。

そのために1年は前年度の肥料分があって、ああ正しいな、木村の言ったことは確かだな。2年目、だんだん少なくなってきた財布がちょっと軽いな。3年目、なんかだまされたような気がするなと。やめようかなと。考えるんです。

そして、この頃農家の人たち、隠れて肥料を施したいような気持ちになるんです。そして、薬箱の中から胃薬ばかりがすぐ無くなっていく年なんです。ところが不思議に今度年を重ねるごとに増えていくんです。なぜ増えていくのかわからない。誰もが通る道なんです。はい次お願いします。



つづく
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