「構成」があった方が良い作品は完成し易い | 係争中

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大凡いびつな事だが

週間漫画では「構成」と云うものが作られない。

これは別に小池一夫氏の作品のみではないが

数多の作品の中で有終の美を飾れた漫画が

少ないと感じる読者も少なくは無いだろう。

小池一夫氏と云う限りで考えるならば

「首斬り朝」は大抵が読み切り。

「子連れ狼」以外は竜頭蛇尾が多い。

近年の打ち切りの連続は

まさに「構成」が無い故に起きている問題である。

打ち切りが当たり前の業界では

「構成」など考える事自体が

これまでは無駄だと思われてきた。

しかし実はその点に誤りがあると思う。

まず「構成」について論じよう。

「構成」とは何か?

作品を作る上での云わば地図である。

これは商品戦略そのものなのである。

「戦略」とは何か?

目標到達点に至るまでの過程である。

この目標到達点が低い場合

消費者すなわち読者は到達地の低さに失望する。

分かり易く云えば最低のオチだ。

オチが最低だと読者は時間や金銭を浪費させた作者に対し

決して良い感情を持たなくなる。

故に実は目標到達地を高く掲げる事が重要なのである。

この目標が「HOW?」=「どうやって?」である場合

読者の心を掴む事が難しい。

何故ならそれはただのマニュアルだからだ。

故に「WHY?」=「何故それなのか?」が

問われる商品でなければ成らない。

抽象的だが、これはビジネスの基本である。

そしてその目標に至るまでの過程の中に

どの地点で伏線を張りどこで回収するのかという

「地図」が必要なのである。

これを計算して「構成」すなわち地図を作り

それを基に商品・漫画作品を描く作家はほとんどいない。

となれば、元から「構成」がしっかりしている

新規コンテンツとの競争では当然不利になる。

すなわちオリジナルのゲーム媒体や映像媒体などには


全く手が出せないと云って良いだろう。


ただし例外的に以下のような戦略もある。


鳥山明氏が取った戦略の一つに

「細かい設定を設けない」と云うのがある。

「ドラゴンボール」の目標は至って単純であり

「七つの玉を集めれば何でも願いが叶う」である。

こちらはあえて目標を単純化して

徐々に枠組みを変えて行くニーズ対応型開発とも呼べる。

同じく尾田栄一郎氏の取ったイノベーションが

「悪魔の実」なのは有名だが


同時に「ONEPIECE」さえ見つかれば

いつでも打ち切り終了が出来るという点では

ONEPIECEも実に計算された作品である。

これらは「構成」を必要としない


架空の世界を前提にした物語ゆえに

設定自体にも不必要に力点を置く必要が無く

説明すら必要としない。

故に取るべき戦略は

目標の座標点が消費者のニーズに応じているか。

逆に単純化して消費者に応じるのか。

この二極に分かれるだろう。

ただし竜頭蛇尾と成らず

有終の美を飾る可能性が高いのは

言わずもがな「構成」ありきの作品である。

かなり端折って説明したが

基から構成の上に「世界観」を確立出来た作品は

概ね成功している。

結局「戦略性」を学ばなければ

その場凌ぎの発想頼りとなり

毎回締め切りの度に頭を抱える事になるのである。

故に「構成」ありきの作品創りこそが

新しい時代には求められるのでは無いだろうか?