- 魔女と呼ばれた少女 [DVD]/ラシェル・ムワンザ,セルジュ・カニンダ,アラン・バスティアン
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でも、ホラーより、ある意味キツイよ。
紛争が続くコンゴ。
12歳のコモナの村は反政府軍(多分)に襲われ、
コモナは自らの手で両親を射殺する羽目に。
そのまま戦場に連れて行かれたコモナは、銃を持たされ一端の戦士になって行く。
泣くことすら許されない、厳しすぎる世界。
銃が親であり、子であり…と刷り込まる、そんな世界でコモナは生きていく。
ある樹液を飲んだら、お化けが視えて(白塗りの人、小麦粉塗りたくったようなお化け)、
「ここは危険」
と教えてくれる。
コモナが逃げて、みんな助かった。
これ以来コモナは魔女と呼ばれて、少々ステータスが上がる。
しかしコモナは、気付いていた。
いずれ自分の上にも死が訪れるであろうことを。
そんなコモナに、マジシャンと呼ばれるアルビノの少年がアプローチをかけてくる。
マジシャンの必死の求愛に、コモナもメロリン。
ふたりは手に手をとって、部隊から逃走。
マジシャンの肉親「肉屋のおじさん」のもとに身を寄せるふたり。
若い二人は「殺すこと、殺される恐怖のない生活」を知る。
だが、ゲリラ部隊に見つかり、マジシャンは殺されコモナは連れ戻される。
コモナはゲリラの隊長の女にされ、妊娠してしまう。
隊長を憎むコモナは、果物の種に刃物?を仕込み、
それを体内に入れ、隊長を迎え入れる。
「ぎゃー、俺様のジョニーが!!」
アタフタする隊長を放置してバイバイキーン!
激しい腹痛を起こしながら息も絶え絶えになり、肉屋のおじさんのもとに辿り着くコモナ。
しかし、銃を奪われ、拠り所をなくし、毎度見えるお化けに精神を消耗したコモナは、
肉屋のおじさんの家を、自ら出て行くことに。
殺した父と母を、お墓に埋めてあげたい。
目的地・ふるさと。
だが、その途中でコモナは産気づき、一人で子供を産み落とす。
たった14歳の嬢ちゃんが、一人衛生環境も整っていない場所で、お産!!!
生まれた赤ん坊を連れ、故郷に帰るが、
そこは荒れ果てており、両親の骨もどれがどれかわからない。
コモナは両親の遺品をみつけ、それを砂に埋める。
両親のお化けは、消えていく。
赤ん坊を抱いたコモナが道を歩いていると、
車がやってきて「乗って行きな」と言ってくれる。
荷台に乗っているおばさんが、赤ん坊(マジシャンと名付けられた)を抱っこしてくれ、
コモナは束の間の深い眠りに落ちていく…。
おしまい
オバケさんが真っ白で、このまま油に入れたらカラッと揚がりそう…(違うわっ!!)
12~14という、少女期を、こんな環境で過ごさねばならんって、
なんかもう耐えられない。
うちは息子ですが、オンナノコの親御さんはどういう感想を持つのか、知りたいです。
『ハウス・オブ・エンジェルズ』→■
↑この「ハウス~」でも思ったんですが、守られるべき存在がこういう目に合うのは、
ちょっときつい…。
コモナとマジシャンが愛を育んでいく所は、微笑ましかった。
肉屋のおじさんが、肉を扱うのにナタを使わねばならんのだけど、
それが身内を殺された時の映像がフラッシュバックを誘発して吐いてしまうかもしれないので、
仕事の時は横にバケツを置いてある…。
さらっと言ってるけど、それってむちゃくちゃ辛いやん!!!
それにしても、コモナが自分の体の中に異物を入れ男に一矢報いる…。
暴力で支配されている女は、そういう手段を取るしか方法がないのか…これも悲しい。
異物のせいで、激しい腹痛に襲われ、死にかけて、
ようやく取り出してもらったそれは血に塗れてる。
お腹にいる子は、憎い男の子供だけれど、
愛したあなたの生まれ変わりだと信じてる、
神様に祈ってる、この子を嫌いにならないように、
あなたに似ているように。
ああ、ああ、14歳にして、この達観と悲しみと、そして希望。
美人ちゃんが出ているわけではない。
激しいアクションがあるわけでもない。
おばけさんは、白塗り。
それでも、この映画は、観るに値すると思うのです。
どこかファンタジックで、緊迫感や嫌悪感が余り出てこないけれど、
その分、ある種の感性を持つ人には、非常に重い作品になると思うから。
この後、コモナが幸せに生きていく保証はどこにもない。
むしろ茨の道を歩くことになるのでしょう。
人は幸せになるために生まれてくる。
ならば、コモナやマジシャンが与えられた幸せは、
なんとちっぽけなものなのでしょう。
大上段に構えて反戦や少年兵反対!を謳いあげる説教臭い作品より、
余程考えさせられる…。
そこがいいんじゃない!
コモナが一人出産するシーンは、鉄人28号の梅小路綾子さんを彷彿させました(知らんか?)ポチ
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