ゆる農記『3』 拝啓、梅原真様 2023年6月号 | 迷子の大人たち 3

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~ニワトリノニワ 非公認ブログ~ 
テキトー経営者のエー加減農業日記(昔は) 最近 っぽくなくなってきた。意外とマヂメ?更生した?

子供は未来を明るくするのか?
 
少子化対策云々を議論する前に本質的な議論が欠けている。家庭に子供が居れば居ない場合にくらべて様々な経験が積めることは確かである。
 
しかし子供を自分のアバターのように着せ替えするような親が多いし、本当は子育てなんか興味はなく気分次第で子供の存在を疎ましく思うような虐待親のなんと多いことか。当の子供からすれば良い両親に恵まれ幸せを実感しているなんて例はかなりレアだろう。
 
従って子を望み、その子が産まれた場合には子供は親の未来を明るくするだろうが、子供にとっては必ずしもその未来は明るくはないのである。いい迷惑である。
 
多子を望むならまず親の教育。世界に不幸な子供、ひいては不幸な人間ばかりが増産されて行く・・・
 
 
さて、今回のは6月10日に書いたものです。
 

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梅原デザイン事務所  梅原 真 様 

 

いつも有り難うございます。

 

年初から吹いていた「異次元の少子化対策」とやらの内容をようやく政府が発表しました。少子化についてはここで何度も触れたので少々煩いかも知れませんが、やはり度々議論せねばならない問題だと思うのです。世界の人口が増え続け日本の人口が減少に向かい始めた今だからこそ。

 

政府は未だ安易に金を撒けば子供が生まれると思っているのか、2030年までに現在の約二倍の10兆円に増やそうとしています。だが少子化対策のために子供のいる家庭に金をばら撒くのは明らかに間違っている。何故なら出生数と最も因果があるのは婚姻数であり、その婚姻数は若者の所得と強い因果関係があるからです。

 

つまりお金がないから子供を産まない、のではない。給与の高い安定した職に就けず金がないから結婚しない、よって子供が生まれないのです。従って少子化対策を効率的に進めるには未婚対策に予算を充てるか、或いは未婚者の出産に予算を充てるかすれば良いことは誰の目にも明らかです。

 

未婚の原因は若者に金がないから、ということは雇用対策が必要です。雇用対策を進めるにはサラリーマンの約7割を占める中小企業への支援が最も重要ですが中小企業対策費用はたったの1118億円(22年度)です。かたや業績絶好調である大企業、に対する法人税が未だ大幅に減税されたままだというのに。

 

ここから透けて見えるのは大企業や大企業が主体をなす業界団体は政治献金などで政党に大いに貢献してくれるから、という薄暗い癒着です。

 

即ち今回の少子化対策の本音は、貧乏な若者を救うべく中小企業の給与水準を引き上げるのが最も効果的な未婚対策ひいては少子化対策に繋がることは明確であるが、そんなことをしても票に結びつく訳でも政治献金が増える訳でもなく政治家にとって大したメリットは考えられない。

 

従って、現時点で給料が高いため婚姻率が高く、既に子供のいる家庭を築いている大企業に勤める若者に二人目三人目を産んでもらうべく子供が生まれたら手厚い補助をする方が大企業のご機嫌を損ねずに済むというものだ、というところか。日本ではベーシックインカムの議論が進まない訳です。

 

そもそも生活するのに金が必要という社会は幸せなのか?私が一国の長なら最低限食べるのに金の要らない社会を目指す。タダで家庭に食材を配る案に加えて公営の無料食堂を全国に設置、というのはどうだろうか。ともかく基本的に食費はタダ、という安心感は少子化対策ばかりでなく社会を良い方向へ変えはしないだろうか。

 

しかし本音では。

 

私は少子化対策なんてクソ喰らえと思っている。そもそもまず少子化の是非についての議論がないのが問題です。少子化の何が悪いのか。世界では人口増加が危ぶまれているのに何故か少子化の是非が問われない。確かに日本では高度経済成長期に整備した社会インフラを維持するには税収減に繋がる少子化を危惧するのは当然、と己の政治生命にしか関心のない職業政治家は言うでしょう。

 

では食糧の問題は?日本の食料自給率はたったの38%(カロリーベース)しかない。世界中で食糧確保のために農地化され消失している毎分東京ドーム約2.4個分の森林の問題は?生態系への悪影響は?政治家にはマクロな視点が欠けている。

 

食糧問題に関して我らが畜産の話。採卵養鶏における飼料自給率(ほとんどが輸入飼料)を加味した自給率(国産率)はたったの10%程。最近卵価の高騰で輸入飼料の問題が注目されているらしいがもう一つの問題である鳥インフルエンザによる殺処分のことは余り問題視されていないように思う。

 

何が問題か、って一羽感染したら全羽殺処分にする対策の是非である。

 

2004年から流行し始めた高病原性鳥インフルエンザが20年も経つのに未だ収束しないのは全羽殺処分という対策にあるのは明確でしょう。殺しちゃうから免疫もできない。ウイルスも共存する方向に進化できない。にも関わらず未だ殺処分という対策が変わらないのはパンデミックを一時的に避けるためでもあるが、風評被害による鶏卵業界全体への不信を嫌うからであると言われている。

 

しかし鳥インフルエンザやその他病気に罹患した鶏肉を食べても卵を食べても人体への影響はないというのは常識である。こんな風評被害対策によって昨年冬からの感染で全国で1700万羽も殺処分されている。一羽当り生涯産卵数を300個として現在の卵価平均一個30円でザッと1500億円以上の損失である。

 

こういった経済的損失や食糧廃棄の問題、何よりいつまでもパンデミックに怯えながら営まねばならない畜産の問題、の方がよほど重大だと思うのだが。

 

新型コロナで分かったようにパンデミックは必ず収束する。それは人類を殺処分しなかったからです。もし鳥インフルエンザで殺処分を行わなかったら鶏に免疫ができ、更にウイルスも弱毒化する方に必ず向かう。その他のウイルスによる病気についても同様なのです。

 

ニワトリノニワは先んじて来たるべき悪夢を経験している。うちは日本で一番過密じゃない部類の養鶏場ではあるが放し飼いという健康的な飼育方法を過信してワクチンを積極的にやって来なかったせいである。正義ぶっても仕方ない。放し飼いでも野生に比べれば過密に違いないのだ。

 

それは人類も同じ。人類も家畜もパンデミックからは逃れられないのではないだろうか。今この対策を誤ると未来にはもっと大変なことが起こりかねない。

 

即ち、過密を避けるため飼育羽数を極端に減らすか、パンデミックで殺処分を行わないか。人類にとって少子化が本当の意味で不幸なのか今一度よく考えてみた方が良い。

 

 

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