被差別のグルメ (新潮新書) | 誇りを失った豚は、喰われるしかない。

誇りを失った豚は、喰われるしかない。

イエスはこれを聞いて言われた。
「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」
(マルコによる福音書2章17節)

作家、上原善広氏が自らのルーツである「路地」の

味である大阪のアブラカス、サイボシを皮切りに、

「そこ」でしか、食べられない食材や料理を紹介していく

一冊です。

ホンモノのソウルフードがここにあります。






本書はノンフィクション作家、上原善広氏が自らの


ルーツである「路地」の味である大阪のアブラカス、


サイボシ、ゴシドリなどを皮切りに差別されてきた


人びとが生きる場所でしか連綿と食されていない


知られざる料理と異色の食文化を紹介する一冊


であり、上原氏の同シリーズである


『被差別の食卓 (新潮新書)』(新潮社)の「国内版」で


あるということを本書の中で述懐しております。

アイヌの鹿肉、川魚、鍋料理。 北方少数民族の


魚皮でつくったデザート。沖縄の島々に伝わる


イラブ―、ソテツ。そして、在日韓国・朝鮮人から


広まった焼肉・・・。僕は北海道にルーツがあるので


(個人的に同思っているかについてはおいておいて


「事実」であることは表記しなければならぬ)、わりと


鹿肉は「ポピュラー」な食材だと思っていたのですが、


本書を読んでいると「深い」考察が記されていたり、


サハリンなどに現在住んでいる北方少数民族の


食生活の数々。


さらに僕にはほとんどなじみのない沖縄の島々に伝わる


イラブ―やソテツを使った料理はとても興味深く読めました。

そして、個人的にはすっかりと「ご無沙汰」になって


しまった焼肉も我々が「当たり前」だと思っていた


ことも深い解説や洞察が加えられており、最後まで


うならせられました。個人的な意見として、歌と料理は


抑圧された環境でこそ、多くの人々の心や舌鼓を


打つものだと改めて認識いたしました。






被差別のグルメ (新潮新書)/新潮社
¥799
Amazon.co.jp

人気ブログランキング ←1クリックお願いします。