- ジョン・ラセターとともにピクサーを共同設立し、
- ディズニー・アニメーションの再建をも託された
- エド・キャットムル氏が2年の歳月をかけて自らの
- ビジネスパーソンとしてのキャリアを振り返った
- 一冊です。
- 『トイ・ストーリー』 『ファインディング・ニモ』
- 『カールじいさんの空飛ぶ家』…。長編CGアニメーションを
- ことごとく大ヒットさせ、2005年にディズニー社によって買収され、
- その傘下となるも、彼らの持つクリエイティビティーは本家
- ディズニーをも上回り、不振にあえいでいた
- ディズニー・アニメーションの再建も、『塔の上のラプンツェル』や
- 『アナと雪の女王』の世界的な大ヒットによって
- 果たされるのです。
本書はその立役者の一人であり、アルヴィ・レイ・スミス。
- ジョン・ラセターらと共にピクサー・アニメーションスタジオ
- (以下ピクサー)を共同設立し、現在はピクサーの社長を勤めると
- 同時に、ディズニー・アニメーションの社長をも兼務する
- エド・キャットムル氏が、ジャーナリストのワイミー・エラス氏と共に、
- 2年の歳月をかけて自らの経営哲学をまとめたものであります。
キャットムル氏のことは以前、デイヴィッド・A・プライス著、
- 櫻井祐子翻訳による
- 『メイキング・オブ・ピクサー―創造力をつくった人々』(早川書房)を
- 読んでいたこともあり、その流れで本書を読んだわけでありますが、
- 質、量共に圧倒的なものがあり、とても読み応えが
- あるものでした。
キャットムル氏はもともと、アニメーターを志望していたそうですが、
- 絵が描けなかったので
「だったらCGなら!」
と言うことでユタ大学にてCGの博士号を取得しており、そのせいか、
- ピクサー作品のDVDに収録されている映像得点のひとつでメ
- イキングやインタビュー集があるわけですが、その中で淡々とした
- 口調で静かに自説を語る姿がとても印象的でありました。
そんな彼が、科学者ならではの冷静なまなざしと高度な
- 分析力を用いて、本書では自らの歩みを語り、そこには
- 世界最先端のクリエイティブ集団を2つも率いると言う重責であり、
- その過程の中でたっぷりとあった成功。失敗。苦悩。反省。
- そこから得た「気づき」がつづられておりました。
さらに、キャットムル氏がディズニー・アニメーションの指揮を
- 執るにあたって、『塔の上のラプンツェル』や『アナと雪の女王』が
- 世界的な大ヒットを記録したその裏には、澱んでいた社内体制を
- 大鉈をふるって刷新したからであるというくだりがあり、そこには
- 流石だなと、つくづく感じ入ってしまいました。
キャットムル氏は常日頃から
「私は自分よりも優秀な人間を雇う。」
とおっしゃっていて、氏と創業時から二人三脚で歩んできた
- ジョン・ラセター氏をはじめ、彼の周辺に集うのは個性と創造性に
- 溢れた人ばかりなのであります。
そして、本書を語る上で欠かせない存在は、ジョージ・ルーカスから
- ピクサーの前身となる会社を買い取り、自らの私財を
- なげうってまでピクサーを支えたことをはじめ、陰に陽に彼らと
- 深く関わってきた故・スティーブ・ジョブズ氏のことでありまして、
- 彼に対する深い思いは本書を読む人間を感動させることで
- ありましょう。
仮にピクサーやディズニーの映画をあまり見たことがない方でも、
- 本書は一読に値するものでしょう。個人的にはピクサー映画は
- 本編同様にメイキングやインタビュー集も見所が多いと思って
- おりますので、改めて一連の作品群を見直してみたくなりました。
- ピクサー流 創造するちから―小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法/エド・キャットムル 著
- ¥1,944
- Amazon.co.jp
←1クリックお願いします。