幻の都 Ⅱ | 思い草へ              

思い草へ              

               ・ 




    

孤独の水の面に映る 幻の都

水にさえ揺らぐ 生命の淡い青さに滲んで



懐かしい傷の疼きにも

無邪気でささやかな悪意にも

偶然に重なった視線を運命にまで意味づけてしまうような 

あの魔法が息づき



そこには かつて若者だった者たちの青い残像
叶わなかった思いと

自分を泣いた夜に見たブルームーンが揺れる



映し出される 過ぎ去った遠い影たち

もう一度捕まえようとして水面を掴む指先から 

揺らぎながら逃げてゆく 

青い幻の都




思い草へ                                 今ここから思うこと PHOTO 山本てつや