幻の都 Ⅱ孤独の水の面に映る 幻の都 水にさえ揺らぐ 生命の淡い青さに滲んで 懐かしい傷の疼きにも 無邪気でささやかな悪意にも 偶然に重なった視線を運命にまで意味づけてしまうような あの魔法が息づき そこには かつて若者だった者たちの青い残像 叶わなかった思いと 自分を泣いた夜に見たブルームーンが揺れる 映し出される 過ぎ去った遠い影たち もう一度捕まえようとして水面を掴む指先から 揺らぎながら逃げてゆく 青い幻の都 PHOTO 山本てつや