ロマンポルノ3.5本立て | 映画、その支配の虚しい栄光

映画、その支配の虚しい栄光

または、われわれはなぜ映画館にいるのか。

または、雨降りだからミステリーでも読もうかな、と。

または、人にはそれぞれ言い分があるのです…。

「犯す!」(1976/日活/71分)
監督/長谷部安春、脚本/松岡清治、撮影/山崎善弘、美術/徳田博、音楽/穂口雄右
出演/八城夏子、蟹江敬三、岡本麗、山科ゆり、三川裕之、高橋明、谷ナオミ、二條朱実

八城夏子がエレベーターで犯される前後の丁寧な描写、書庫の奥へ奥へと暗闇が伸びていくイメージ。しかし、その後の展開が観念的でノリきれず。八城夏子はとてもいいんだけど。

「花弁のしずく」(1972/日活/71分)
監督/田中登、脚本/久保田圭司、撮影/山崎善弘、音楽/鏑木創
出演:中川梨絵、白川和子、三田村元、牧恵子、大泉隆二、葵三津子、雪丘恵介、長弘

爆睡。映画のせい、かもしれない。

「大人のオモチャ ダッチワイフレポート」(1975/日活/73分)
監督/曽根中生、脚本/大和屋竺、撮影/森勝、音楽/多摩零
出演/益富信孝、ひろみ麻耶、丘奈保美、藤ひろ子、扇アリサ、織田俊彦、粟津號、長弘

判断停止。大和屋だなーと。益富信孝はとてもいいんだけど。

「赤線最後の日 昭和33年3月31日」(1974/日活/64分)
監督/白鳥信一、脚本/武末勝、撮影/山崎敏郎、美術/柳生一夫、音楽/鏑木創
出演/宮下順子、中島葵、芹明香、風間杜夫、ひろみ麻耶、榎木兵衛、高山千草

宮下順子からみの展開が通俗的なメロドラマになってるのがいかにもつらい。高橋明と風間杜夫をすれ違わせるとか、そういう整った落ちをつける暇があるなら、もっと宮下順子との関係をちゃんと描けよ、と。折角ポルノなのに勿体ない。

とはいえ、けっこう楽しめた。妙に下品なのが他社の赤線モノにはない魅力で、実はラストの中島葵にちょっと泣いたのだ。でも、前田陽一の「にっぽんぱらだいす」があり、あるいは「赤線玉ノ井・ぬけられます」がある中で、やっぱ、これは駄目だよなぁ、と。
そういうメロドラマにぐりぐり食い込むのが、やはり愛しの芹明香で、彼女だけは若尾文子に拮抗していて、紫のパンツ(つうかズロース)がやけに素晴らしいのであった。