原発事故・・司法の責任。伊方原発訴訟第一審。 | 旅するとんぼ玉~まあちゃんの備忘録。

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原発訴訟の原点ともいえる伊方原発訴訟に下された不当判決を、多くの人に知ってほしいと思うので・・

斉間満著「原発の来た町」より、いくつかの文章を紹介します。

■ 「辛酸入佳境」
伊方1号炉訴訟に非良心的なウソ偽りの判決

                        原発反対八幡浜市民の会 西園寺秋重

 1978年4月25日、松山地裁は、伊方原発1号炉の設置許可取り消しを求めていた住民の訴えを全面的に退ける判決を下した。

 当然のことを、繰り返し、くりかえし公正な裁判を訴えてきた。提訴以来、4年8ヶ月、原発の危険性について、条理をつくして訴えた原告の声には一顧だにせず、柏木裁判長は、国と四国電力の悪業を追認する判決を下してしまったのである。

 かつて、行政側や四電は、「原発は安全無害、放射能は一滴も出ない」とか、「出たくても出れない放射能」等の類のことを、あらゆる機会、あらゆる機能を利用、地元住民をあざむき、賛成へと導いてきた。
 一方、反対住民に対しては「無知な者が、特定なイデオロギーをもった者に踊らされているのだ」と決めつけてきた。
 しかし、住民達は、誰いうとなく、「原発がほんとうに安全なもんなら、電気を大分使う、大都会につくりゃあええ」と言い出した。

 この素朴ではあるが核心を突いた言葉に対し、政府も四電も、いまだに答えようとはしないのである。

 そして住民達は、専門用語こそ使わないが、見るもん聞くもん、すべてモノを科学的に考えるようになり、生活をとおして原発の危険性を見抜いてきたのである。

 住民でさえ困難のなかにも、よく理解してきたのに、柏木裁判長は、なにを調べ、なにを聞いていたのだろうか。
 住民があれほど問題にしている、中央構造線についても、まったく国側、四電の言いなり。
またECCS(緊急炉心冷却系)についても、「実験では失敗したが、本モンでは作動するから」と、国側、四電側の言いなりである。

「実験では成功したが、果たして本モンにも通用するだろうか」というのが、この世の常識であるが、柏木裁判長はこの常識さえもっていないらしい。

 藤田弁護士の説明では、裁判全体をとおして、この類のモノがいっぱいあると聞き、地方住民、あぜんとして声もでないほどである。

 こんどの判決について、国と四電、原発でもうけている者以外、納得できる者がいるだろうか。
地方住民はもちろん、国民多数に対しては、理解させようと努力もしない裁判は暴力裁判であり、やがて国民から裁判が見放されてゆくであろう。

 柏木裁判長は、証人や鑑定人に対し、良心に従って、ウソ偽りのないよう宣誓を求めながら、自らは非良心的なうそ偽りの判決を行い、国と四電の利益を擁護した。
しかしその代償は、裁判官の信用を著しく傷つけ、法を自らの土足で踏みにじったことである。

 わが八幡浜・西宇和地方で使う電力は、わずか5万2000キロワット。原発の1割にも満たないのである。範囲を愛媛県でみても、四国四県でみても、電力は大幅に余っている。
また、不足する見通しは全くないのである。
それにもかかわらず、わが地元へ原発をつくり、なぜ、地方住民に犠牲を強いるのだろうか。
しかも孫子の代まで禍根を残すことを。

 この判決、言いようのないほど口惜しい。

「辛酸入佳境」

 正義の闘いは、勝利に至る道程が長く苦しいものほど、最後に得る喜びは大きいものであることを信じ、闘う以外にない。(「はんげんぱつ新聞」1978年5月号より)

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この後、住民側は高松高等裁判所に控訴。

高松高裁での経緯は次に紹介します。


これは以前に書いた記事です。↓
「伊方原発訴訟を忘れるな」

そして第二審へ ↓
されど「げどう・がんご」に屈せず 伊方原発訴訟第二審にも不当判決。