「宇宙戦艦ヤマト2202」コンサート2019 Blu-ray発売記念フィルムコンサート
「えー、月曜日の夜にぃ?」それが、このイベントの日程を知った私の最初の反応である。地方の勤め人であればほぼ絶対無理な日程。しかも、夜9時から11時過ぎということで、新幹線でも飛行機でも日帰りは不可能。つまり、一泊しなければならない。まして、一度は生の演奏を聴いたコンサートである。つまり、内容は知っているのである。万難を排して行くべきかどうか、立ち止まって考えた。ヤマトのいわゆるヤマトークナイトは、興味深い登壇者の時も大体平日の夜で実は、悔し涙に暮れる日の方が多かった私。いつも仕事や家庭を第一に考えて、「我慢する」という選択も多々してきた。しかし、このコンサートは、実は当時体調が悪く、生死の境の体を引きずって参加したものである。それゆえに、苦しい思い出の方が多く、しっかりと楽しめていないのだ。友人たちにもどや顔しかできなかった。だからこそ、このコンサートのBlu-ray版の上映会にはいかねばならないと思った。割と早い時期から日程と宿を確保し、仕事もしわ寄せが最小限になるように調整した。体調も平準化し、普通に参加できそうだ。2月3日月曜日の午後4時くらいまで、職場で仕事をして、夜9時のコンサートに間に合うように新幹線に乗る。仕事はフレックスタイムではないので、午後4時くらいにでるのも許可を得て事務所を脱出。新宿に着くと、もうとっぷり日は暮れて夜になっている。東口から徒歩5分の新宿ピカデリー。今は、ヤマトとアンドロメダの巨大模型も展示されていない。今日イベントがあるという目に見える証は上映予定表だけである。そうだ、私は、ただ、このためだけに上京してきたのだ。ただ、映画グッズのコーナーに行くと、アクリルフィギュアとポスター、2020年度のヤマトクルー発行のカレンダーが販売されていた。いずれも既に購入しているものであった。入場が始まると、さすがに上映館前では美しい展示があった。ヤマトクルーの先行販売でゲットしたチケットは、E19。前から5番目の真ん中というありがたいベスト席であった。画面はこんな感じで観られる。客席はそれほど確認してはいないが、かなり埋まっていたと思う。やがて、予告編も何もなしにいきなり本編映像の上映開始。このことは事前にアナウンスがされていて知っていた。コンサートの様子は、いま改めて、個々にレポートするまでもない。ここでは、Blu-ray版の上映会としての感想をコメントすべきであろう。まず、既に体験していたはずのコンサートであっても、きちんと編集され、雑音もおそらく除去されている映像でみると、これは全く新鮮である。特に、大スクリーンで観ていると、宮川彬良さんのピアノを弾く指先とか、バイオリンを弾く山本さんの眉間の皺とか、大アップで観ることができる。宮川彬良さんの付けている蝶ネクタイがやわらかい布ではなく、もう少し堅めの素材の何かであるようなことまでわかる。実際のコンサートでは、どこに座っても、演者の指先まで観ることはできないのだから、これは全くの新しい体験だと思う。しかも、演奏に合わせてここぞというときにアップにされるのだから、とても見やすい。コンサート当日、体調を崩していて、息も絶え絶えだった私にとっては、個々の演者の凄さも改めて感じることができた。コンサート当日は、その場にいるだけでいっぱいいっぱいだったが、このBlu-ray上映会においては、例えば、ありましのさんや山寺宏一さん、上原綾香さんの圧倒的な声量に感動したし、クリムゾンタイドのかっこよさにもしびれた。当日の音楽の素晴らしさをやっと回収できた気持ちである。個人的にありましのさんの二曲や、上原綾香さんのGREAT HARMONEYの歌詞もかみしめながら聞いているとおっさん(私)の目にも涙が・・・。少し笑ってしまったところは、上原綾香さんの顔が上向きになってアップになったとき、鼻の穴がみえてしまい、鼻毛がでてるかどうか、思わず確認してしまった。さすが、芸能人、鼻毛は出ていなかった。ヤマトのBGM群のところは、コンサート当日、体調不良に悶絶しつつも、「来てよかった」と思っていたが、Blu-ray上映会で、個々のプレイヤーの試合に臨むかのような真剣な表情を観ると、これは一つの勝負だったのだなと思う。上映会後のトークショー。小林治氏の司会。これはヤマトファンにとって安定安心の司会である。登壇者は宮川彬良さん、中村繪里子さん。コンサートには三つポイントがあり、一つは中村繪里子さんと平原まことさんがフルートで「遥かなる大海を渡る」を吹くところ。中村さんの吹奏楽歴があると聞いて宮川さんからオファーがあった。中村さんは一年と3か月しか吹奏楽のキャリアは無かったが、宮川さんに委ねるつもりで練習に励んだとのこと。平原さんの方もフルートは苦手だったとのこと。今ひとつのポイントは、平原親子の共演。コンサートの中でも触れられたが、完璧な形のグレートハーモニーの歌唱が完成された。そして、最後にもう一つ何かをと悩んで設定されたポイントが、山寺さんに大いなる愛のボーカルをしてもらうことだったとのこと。オーケストラの編成でなくても、オリジナルに近い感じでBGM群を再現しようとするにあたって、「引き算ではなく足し算の発想で行く」という話も面白かった。そして、終盤になり、西崎彰司さん登壇。「ソノトキキミト」というコンサート名や、宮川彬良さんのトークの魅力を打ち出していこうという方向性を提案したとのお話。冗談めかして、「宮川彬良さんなら2時間トークショーでもいける」とおっしゃって、そこで客がシーンとしてたので「受けないなあ」と自虐。でも、これは西崎さんの話が詰まらないということではなくて、聴いてる方がいろんな裏話を聞き漏らさないように集中していたせいです。我々客が硬かった。そして、最後に、福井晴敏さん登壇。ヤマト2202の総集編についての情報提供。1945年から始まるドキュメンタリータッチで真田さん視点でのフィルムになるとか。新規書下ろし場面もあるとか。2205については、次の冬公開で「短期決戦」になるとか。いろいろ楽しみである。そして、西崎彰司さんが、「交響組曲宇宙戦艦ヤマト2199&2202」のコンサートをやります、と宣言。最後に、宮川彬良さんの決意表明のような締めの挨拶があって、イベントは終了した。ヤマトの旅はまだ終わらない。新たなる旅立ちがすぐそこに控えているのである。