その使者は、余りにも突然にやって来た。
「わたくし、××××の〇〇と申します」
えっ、××××って、あの××××?、なんで、今さら‥。
××××とは、私がまだこの業界に骨を埋める前に、てか、まだ埋めてないわい、縁起でもない。
格闘術から武器の扱い、情報戦の戦い方、しいてはアルコール摂取による人体への影響まで、それこそ体全体に叩き込まれた極秘の特務養成機関の名称。
どこからか、素性が漏れた‥。
「プリティウルフさんですよね」
げっ、私のコードネームまで、知られてる‥。
確か面識は無いと思うのだが、取り合えずコーヒーでもお出しして、探りを入れてみる。
ピンチの割には、のんびりしてる。
「えっ、全国のOBの追跡調査ですか?」
トップシークレットのはずの、全国に身を潜めているエージャント達の極秘資料までお餅だ、いや、お持ちだ。
それならば、逆に利用させてもらおう。
情報戦とは、いかに先手を取るかにかかっている、と養成機関では教え込まれた。
イカに手があるのだろうか?
あれは、足じゃないのか?
「あの△△△さんは、どうされてました?」
「あ、彼は、引退したよ」
「えっ!」
あの凄腕でやり手のシティボーイ、ちなみにコードネームは、プレリュードスワン。
残念でならない。
聞けば、半数ほどのエージェントとは、まだ連絡が着いていない模様。
このご時勢ですからね、ここ10年ほどで、戦い方も様変わりしてるし。
絶えず第一線で戦い続けるには、それ相応の覚悟と精神力が要求されるらしい。
私は、ずっと身を潜めてきたので。
ただ、ここぞという時には、昔取った金づる、いや、違った、昔取った杵柄、身を呈して前に出るしかない。
そう、プリティウルフとして。
みんな頑張ってるかなぁ?
明日は明日の風が吹くのだけど、その環境で出来ることを、今、見つけねば‥。
ほんと、おったまげた。
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