「リディアちゃん、ロイの気持ちを解ろうとする方が無理だよ。
あいつが誰かの婚姻なんかに興味あるわけないじゃない!」
「そうだな…。」
考古学バカのロイは、議会や裁判そっちのけで発掘に没頭したり、図書室に籠ったり…。
どうせ私がもう一度修道女を志そうが、ハイネ殿下と添い遂げようが、あいつには
「興味ない」
なのだろうな…。
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10数年前
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「しんろーロイは、とめる時も、やめる時も、愛し、うやまい、いつくしみあうことを誓いますか?」
「うん…。」
「新婦エマは…。」
「ちかいま~す!」
「では、誓いのキスを」
「は~い!」
「ロイ!なんで僕ばかり牧師役なんだよ!
次はリディアと僕が結婚式するんだよ!」
「じゃぁ、私が牧師やる!」
「エマ、女が牧師っておかしいだろ?修道女だろう?」
「ううん、女の神父はいないけど、牧師は女でもなれるんだよ!」
「リディアのお母さんは元修道女だからやっぱり詳しいな。」
「ううん…私もよくわかんない。服が白か黒かくらいよね。
ねぇ、ロイ。じゃぁ次は私と…。」
「なぁー、リディア…。」
「なあに?私じゃ嫌?エマの方がいい?」
「なあ…。『止めるとも辞める時も』って意味一緒じゃね?」
「ううん…私もわかんない。」
「しっかりおばさんに質問しとけよ。」
「うん…。」
『あっ、ジオン兄ちゃんだー!!』
「おぉ~!何だまた皆で結婚式ごっこやってたのか?
兵隊ごっこやお店さんごっこは長続きしねぇんだな…。」
「ねぇ、ジオン兄ちゃん、外国のお話聞かせて~!」
「あぁロイ、リーセ王国は珍しい道具や食べ物でいっぱいだ。
ハイネ王子もしっかり私の話をお聞きください。
王子もゆくゆくはリーセ王国の姫君と…。」
(「結婚式ごっこ」、または「お嫁さんごっこ」か…。だが今の私にとって、殿下の指環を受け取る方が遥かに『ごっこ』だ)
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(旅好きのジオン兄さんが今では外務大臣。
兄さんが一番昔のままか…(笑)。
まさか…。)
「そうだエマ!ハイネ殿下が私に指環を贈るなどやはりただの悪戯だ!
リーセ王国のミネルバ王女と殿下の婚約は、ジオン兄…いや、キャラガー外務大臣が秘密裏に交渉していたはずだ!」
「ごめん、私は外国の事はよくわかんないけど…。ロイは一々自分の考えを誰かにに明かさないけど、ジオン兄さんはわざと自分を隠す節があるよね。」(続)