最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

何処でも無い場所へ行き、何でも無い物を持ち帰れ。
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テーマ:
山大1-0貴川
二回の裏。一死走者無し。

真山先輩のビーンボールにも驚いたけど、僕は確実にフライをキャッチ出来た。
自分の力の伸び具合と、それを傍で見てきた秋成の存在にはもっと驚きだ。
相手打者は自分の凡退に驚いてるだろうけど…。

「ワンナウト!ワンナウト!」

「おい、バッター打ってこい!打ってこい!
追い込まれたら真山のチェンジアップは余計に打てねぇーぞ!」

ファーストの加賀谷先輩はまた次のバッターを挑発する様な野次を飛ばす。
でも、確かにカウントが不利になるほど、速球と弛いチェンジアップは見極めが難しいけど…。

「カン!!」

相手の六番バッターは本当に初球のストレートを思い切り振って来た!
三遊間を鋭くライナーで切り裂いたかと思った。

でも、長いリーチは本当に手が伸びた様に見え、弓なりに全身を反らして跳んだ、いや翔んだ彼の肢体は、信じられないほど美しかった。

ズザっという彼の胸のユニフォームがグランドの土をこする音を奏で、二塁塁審が黒いグラブに収まった打球を確認し、コールするまで時間が止まる。

「アウト」

……。

……。


「捕ったー!」

「またやりやがったぜ玉野ー!」

「またあのショートか!」

『ナイスキャッチ!!
ファインプレーをありがとう。』


秋成の横っ飛びのショートライナーでツーアウト!
観客席のウチの女生徒達も、練習してきたかの様な掛け声をここぞと披露する。
さっきの僕のプレーには何にもなかったのに、あの子達絶対に秋成しか見てないだろ!

秋成は相変わらず無言で無表情に立ち上がり、「捕って当然」のオーラを出していた。
でも、いつもの秋成らしくなく、捕ったボールを握ったままマウンドに近付き…。

「…ツーアウトです…。」

と、直接ボールを真山先輩に手渡した。
それは好守の勢いに乗ろうということかもしれない。

自分の特別な力をボールに憑依させたいかのような念に見えた。
でもそれは秋成だけじゃない。
僕も秋成と同じ気持ちだし、守ってる全員の気持ちだ。
ボールを受け取った真山先輩は

「任せろ!」

とだけ言い…。

「ストライク!バッターアウト!スリーアウトチェンジ!」

相手の七番バッターは外角低めにズバッと決まった速球を見逃し三振!山大付属から遂に三振を奪ったぞ!
そうか、真山-真喜志バッテリーは、ビーンボールだけじゃなくて、ボール球を有効に使う作戦だったんだ!続
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僕は高めのつり球に空振り三振した。
同点、または逆転のチャンスに凡退してしまった…。
三塁ランナーの秋成をホームに還せなかった…。

肩を落としベンチに戻る僕に、ネクストバッターサークルで待ち構えていた須永先輩が僕の背中を叩く。

「胸張れ!金城。
三振したお前が今出来ることは、ピッチャーの都倉を調子に乗せないことだ!
下向くな!『次は打ってやる!』くらいの気持ちで相手を睨み付けてみろ!」

須永先輩の言ってることはわかる。
気持ちで負けたら駄目だ。

ベンチは誰も僕を責めなかった。
マネージャーの東瀬は
「惜しいファールだったよ慎太郎!」

と言ってくれ、
エースの真山先輩は

「真喜志、金城の凡退が参考になった。次の回からのリードだが…。
都倉の真似はしたくないんだが…。」

「…真山、それだと球数が…。
いいのか?」

「力を出し惜しみして勝てる相手じゃねえだろ?
1点取られたし、うちはリリーフも充実してるだろ?」

真山先輩はまるで僕の三振から山大付属の攻略のヒントを掴んだみたいだった。

どういう組み立てをするのか気になったけど、先に秋成が僕に近付き、僕のグラブと帽子を渡してくれた。
秋成は僕の顔を見ずに先にベンチを出ようとした。
そしていつもの低く静かなトーンで…

「俺が仇を討つ…。」

と呟いていた。
****
二回の裏
相手は五番から。

真山先輩は相手ピッチャーから何のヒントを得たのか?
との疑問は最初の一球で明らかになった。

「危ない!」

両校ベンチとスタンドから悲鳴が上がる。
明らかに相手打者の頭を狙ったビーンボールだ。

相手のバッターは大きくのけ反り、当たりはしなかったが、場内は騒然となった。
帽子は取らず、ツバの部分を軽く触るだけで謝ったアピールをする真山先輩。
相手打者の怒りの形相がこっちにまで伝わりそうだ。
でも…。

「しまった!」

「セカン!イージー!イージー!」

打ち気にはやった相手は、弛いチェンジアップを打ち上げてしまって内野フライ。
まんまと作戦通り、ご愁傷様といいたけど、セカンドに飛んだこのボールを僕が捕らなきゃ意味がない。
落ち着け…ただの飛球だ…。

「慎、両手だ!右手を添えろ!」

僕の背中にショートの秋成の声が聞こえる。
この声を聞くだけで僕は落ち着けるんだ…。

「アウト!」

「ナイスキャッチ!セカン!」

平凡なフライだけど、僕は捕れた、捕れたよ
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真喜志先輩を敬遠したということは、相手バッテリーは僕のことを「こいつなら打ち取れる」と思ったからだ。
まだ最初の打席で、僕だけでなく、真喜志先輩もどんなバッティングをするか知らないクセに…!

腹立たしさをバットに込めたいけど、秋成の言う通り、頭はクールに…。
怒りは判断を鈍らせる、しっかり球を見極めないと…。

バッターボックスに向かおうとすると、ネクストバッターの須永先輩が…。

「金城、鍵はお前や俺みたいな左バッターだ!
バットの芯で打ち返した加賀谷も向井も左打者だ。
玉野だけは右でヒットを打ってるが…。」

「須永先輩、やっぱり都倉さんのツーシームは左の方が…。」

「あぁ、見極めやすいし、ツーシームが俺達の外角低めに決まってもそれほど脅威じゃない。
右打者なら内角低めに食い込んで打ちにくいだろうがな。
思い切っていけ、金城!
俺をセカンドからセンターに追いやったのは、守備力だけじゃないんだろう?」

「勿論です!」

「よし行ってこい!」

失うものはない、駄目で当然!

「ストライク!」

外角高めのストレートに振り遅れで1ストライク。
速い…!
ウチの真山先輩より明らかに速い!
練習でも本気の真山先輩のストレートを打てた試しがないのに…。
くそう…。今の高めはチャンスだった。
変化球が高めに入ると、タイミングさえ合えば長打になる。
だから相手は高めに投げる時は直球しかないはずだ。

配球の基本は
「対角線」

外角高めに投げたら、次は内角低め。
これが右打者なら直球かツーシームか悩む所だけど…。
左打者の内角低めにツーシームを投げたら、変化する分、真ん中に入る。
つまりそれは棒球になるから要求はしない。
と、なると…内角に来るのは絶対にストレート…ここだ!

「カキン!」

一球目と同じタイミングの速球が本当にインローに来た!
思い切り振り抜いた先は…。

「ファール!」

一塁線をライナーで破るかと思ったが惜しくもファール!
いける!僕でも出来るぞ。
バットを一握り短く持ち直す。速球に振り遅れない駄目だ。
けど、それは相手へのパフォーマンス。
外が届かないだろうと、ツーシームで更に遠く投げるから…。

「ボール」

やっぱり!左打者にはツーシームで勝負にこない。
四球目。

「ズバッ!」

内角でも伸びのあるインハイのボール球に三振。
しまった、左右の揺さぶりばかり気にして高低差にやられた悔しい!
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