「篠山さん、三好さん。キ、キスシーンの話は結論を急がないとして、どうしても聞きたいことがあるんだ。」
「は、はい!なんでしょう?」
(キター!憧れの赤尾さんからの質問タイム!はい、何でも聞いてください!
趣味から休日の過ごし方から、好きな食べ物や私の「聖・艦隊」や私が愛する「大尉様」も…。
あっ、でも勲章の数だけは聞かないで…。篠山五月の心はいつでも鬼軍曹に従順な訓練生でありますから…。)
以上、五月の心の声。
「その髪なんだけど…。」
(え?赤尾さんもやっぱりロングが好きですか?それともバッサリショートカットが好きかな…?)
「ユダを銀髪にするなんて斬新だね?
ヨーロッパの宗教画のユダはどれも赤毛で書かれていて『赤毛は不吉の象徴』って言われてるのに…。」
赤尾の質問は伝道師して普通だった。
古来から踏襲された常識に従ったものだった。
「赤尾先生、これはユダが主人公とかじゃなくある種、聖バーバラの伝統なんです。
みんなカヲル君が好きなんです。」
「カヲル?まさかエヴァンゲリオンの渚カヲル君?
確かに銀髪だよね?」
「先生もエヴァ知ってるんだ、嬉しい~!」
「聖バーバラの伝統として、渚カヲル君をユダに重ねて銀髪のカツラで演じるのが伝統ですわ。
でも、ユダを主役にするなど前代未聞ですわ!良くも悪くも、この庶民のアイデアは聖バーバラの歴史に残りますわ!」
(ああもう!剣崎さん入ってこないで!)
「僕もゆくゆくは司祭、司教を目指すものとして、新約聖書をモチーフにしたエヴァンゲリオンというアニメは一応観たけど…。」
「そこからは私が…。
聖バーバラに入学する女生徒は殆ど、学院のブランド、偏差値、純白ワンピース目当てです。
『神様の為に』入学する子なんて数えるほど…。
だから一般の勉強は出来ても、キリスト教の勉強は退屈なんです。
それで聖バーバラには裏の伝統として、難しい聖書の内容を人気アニメで理解しようって動きが生まれたんです。」
(あぁ、真理亜ったらまた大事な所を!)
「なるほど…。ユダ=カヲル君か。伝道師として勉強し過ぎると一般視聴者の視点を忘れるな…。」
「『最後の使徒の僕は終わりであり、始まりであり…。』みたいなカヲル君のセリフは12で一周する意味、そしてイエス自身を加えると不吉な13になりますから。」(続く)