女子寮の大浴場で展開された作戦会議。
普段なら対立を繰り返している三好真理亜と山際佳澄も、自分と自分の大切な者の色恋の為に協力を誓った。
「とにかく、このままでは理事長と修道院長が二度と赤尾さんを呼ばないということで意見が一致してしまいます。
そうなれば本当に永遠の別れです。
まだ話のわかる修道院長を味方につけて、私の作戦を三好さん達が実行してくだされば必ず上手く行きます!」
「かなりの自信ね…。
文化祭に呼ぶって、主賓の司祭様のお付き以外の方法ってことよね?」
「勿論です。理事長の耳に入れば、司祭様は違う人を伴うだけでしょう。
ですから、赤尾さんは『文化祭の催し物の協力者』として学院に毎日来てもらうのです。」
「参加者…?確かに毎年、吹奏楽部やダンス部はOGが数名駆けつけて一緒に演技や演奏をするけど…。
赤尾さんが女子校生と合同で何かをするなんて…。」
「勿論、これはお嬢様も協力してこそです。それは私が命がけで説得を…。」
「剣崎のお嬢様も…?
そっかぁ、あの子も佳澄ちゃんも演劇部だから…。」
「はい、演劇部は毎年、文化祭で『キリストの復活劇』をします。
お嬢様が主役のイエスを演じるのですが、そこに赤尾さんも出演させます!」
「演目が『キリストの復活劇』なら教会関係者の赤尾さんとの合作も理由になるわ!」
「へ~、山際さんって、あの剣崎のお嬢様にくっついてるだけかと思ったら、そんな凄いアイデアが浮かぶなんて思ってなかったわ!
」
真理亜と山際の話に入ってきた山際。
聞きなれた真理亜の声を頼りに近づいてきたが、聞きなれぬ山際の声に一瞬はたじろいたが、赤尾の名前が挙がった所ですがさず入ってきた。
「五月、これで私の潔白を信じてくれるかしら?
私は貴女に上手く行ってほしいと思ってるだけよ。」
「ごめんね、真理亜…疑っちゃって…。
ねぇ、山際さん…。恥ずかしいわがままはわかってるけど…。
お願い!その演劇に端役でいいから私も出して!
私、聖歌隊だから歌には少し自信が…。
赤尾さんと同じ舞台に立ちたいよ…。」
「わかりました。それも含めてお嬢様と…。」
「待って、佳澄ちゃん。
その演劇のアイデア最高よ。
でも、五月だけじゃなく、私も出るわ!
メインキャストは赤尾さん、五月、私の三人でやるわ!
で、『傲慢なお嬢様』には裏方をやってもらうわ!
この意味わかるわよね?」
「それは名案です!」
続