「姉弟?」
1○9のイベントで一般参加型のバラエティー番組がロケに来てるそうだ。
施設内のカフェでウエイトレスに声をかけられた私達。
グラシャ=ラボラスに惹き付けられて声をかけたんだろうけど、正直悪い気はしない。
番組内で「ベストカップル」に選ばれたらそりゃ嬉しいし、賞金10万円も臨時収入として有難いけど…。
「テナントごとの推薦?
そりゃぁ参加するからには、勝利を君に捧げないとなあ?」
「そ、そんな私は紹介しただけで…その…勝利は彼女さんに捧げてくださいよ!」
「賞品は金だけかい?」
「いいえ、推薦した店からの副賞があります。
ウチの店からはコーヒー券なんで、是非とも参加してください。」
「そうか、そのコーヒー券を手にすりゃ、毎日君に会えるわけだ…。」
「いえ、そんな困ります…嬉しいんですけど…。」
あぁ、もう!隣に私が居ながら、カフェのウエイトレスにそんな態度取ったら誤解するでしょ!
あんたのその無自覚な過剰接触は、客と店員が入れ替わっても一緒なんかい!
若い娘見るといつもいつも!
でも…落ち着きなさい、私。
問題はそこじゃないわ。
今のグラシャ=ラボラスは、人間に化けてるわけじゃなく、私との契約悪魔として実体化してるってことだ。
(小声で)「ちょっと、テレビは流石にヤバいわよ!あんただけが映像に残らないってなったら、大混乱になるわよ!」
(小声で)「面白れえじゃねえか?
テレビカメラだけじゃなく、一般人達の写メや動画にも写らないってなったら、警察も動き出すかもなあ?
例えば既婚者の公安とかもな?」
「グラシャ=ラボラス、あんた王明さんを釣る為に!?」
探偵の中野さんも疑った、王明さんの人外説。
確かに騒ぎが耳に入るかも。
その時、「最初に断った姉弟」らしき二人が…。
「何よそれ~!
ちょっとお姉さん、コーヒー無料券の副賞なんて聞いてないわよ!
賞金には興味ないけど、コーヒーはタダで欲しいわ!
星明!今から私達は姉弟じゃなくてカップルよ!」
「姉さん、いくら人間の肉体でも、刑事がテレビ番組に無断で出るのは……。」
「いいのよ!これぐらいしなきゃ、あの能代って男は重い腰を上げないわ!
近藤くんを助ける為に手段を選んでられないの!
大魔王総統閣下が小さいこと拘らないの!」
その時、私達はお互いを見合わせ…。
「ウリエル様…!?」
「グラシャ=ラボラスさん?何でここに」