あまりに別次元の雰囲気を醸し出すグラシャ=ラボラスに、町行く女性達は遠くから見てるだけだった。
かく言う私も、ちゃんと約束してるのに、彼に声をかけれずに居た。
遂に一人の女子学生が、携帯を手に彼に声をかけた。
思わず魔力を解放して聴力をMAXにした私。
べ、別に信じてないわけじゃないんだからね!
「やめときな。
真に良い男は写真に残らねぇんだよ。
お嬢ちゃんももう少し大きくなったらわかるさ…。
それに良い女は無許可で撮影しないだろうしな…。」
「…はい…。
ありがとうございました。
お話出来ただけで良かったです…。」
「じゃあな…。
おう!真利子。ここだ!早いな。」
ちょっと!遠くから私を呼ばないでよ!恥ずかしいよ…。
うわぁ、周りの女の子の「チッ!」って舌打ちが怖いよ…。
いや、でも王明さんの奥さんの仕返しの方が怖そうだけどさ…。
その時、近付くグラシャ=ラボラスを、無断で写メした別の女の子が…。
「キャー!!何で写らないの?
故障?心霊写真!?」
「ふん、悪魔が写真に残るわけないだろう?
バカな女も居るもんだ。
悪ぃ、真利子。
取りあえず中に入ろうぜ。」
「うん…。」
町を歩くと人が寄ってきそうなので、私達は待ち合わせ場所近くの1○9に入ることにした。(伏せ字の意味ないでしょ!)
****
「すまねぇ、都心の繁華街がこんな騒がしいと知ってりゃ、時間ギリギリに来たのにな。」
「ううん、グラシャ=ラボラスのせいじゃないよ…。」
ビルの上位階にあるカフェ。
町を展望出来る景色で人気だが、コーヒーも評判の店だ。
「能代については、知り合いの天狗の坊主が、妖怪仲間に情報を集めてもらってる。
ネットに詳しくねぇと、今の時代はやってけねぇな。」
「ネットに詳しい天狗さんて、まさか『妖グルサイト』の蔵間社長?」
「何でえ、あの坊主有名なのか?」
「うん、友達の美夜ちゃんも、妖グルに会社のHP載せてから、凄く依頼が増えたってさ!」
「なるほど…。」
****
彼との何気ないお喋りがずっと続いてほしいと思った時、ウエイトレスが私達に話かけてきた。
「お客様、本日下の階でTVのイベントがありまして、一般カップルのラブラブコンテストがあるのですがいかがですか?
カウンター席のお客様にも声かけしたのですが、姉弟ということで弟さんが固辞されまして…。テナントごとの推薦で、賞金も出ますよ?」続