72.火葬 | いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

2013年12月、最愛の妻をうつ病による自死で亡くしました。
結婚して1年1ヶ月、あまりにも短すぎました。
体に障害があったけど、懸命に生きていた妻。
妻の事を忘れない為、初めてブログを書きます。

火葬場は葬儀場のすぐ隣にある。


斎場から渡り廊下を、私を先頭に親族達と歩いて行く。




祖父や親族で経験しているが、火葬場の雰囲気は何とも言えない雰囲気だ。



生きていた時の姿と、本当に最後のお別れの場所だから。


今までの沢山の花に囲まれていた斎場とはガラリと変わって、コンクリートに囲まれた部屋に無機質な火葬炉が並ぶ。



これから焼かれるという、現実が突きつけられる。




部屋の真ん中にお棺が運ばれ、蓋が外される。



最後のお別れだ。



私から先頭に、小さな花を入れる。


妻の頭をなでる。


ずっとなでていたいが、後がつかえるので仕方なく順番を譲った。



親族が皆順番にお別れをしている間、片時もお棺の横に立ってずっと妻の姿を目に焼き付けた。


最後の人がお別れをした後、たまらずもう一度妻の前に行った。




眠るようにお棺に横たわる妻の頭を、ずっとなでる。


僕らが付き合ってから、彼女は頭をなでられることが好きだったのに、もうできなくなる。



私がボーッとテレビを見ていると、私の手をつかんで、妻は自分の頭に手を持っていって私の手を使って頭をなでるしぐさもよくしていた。


そんな時は妻を横に抱き寄せて、頭をなでてあげながら一緒にテレビを見ていたものだ。




もう、本当に最後だ、、、。


出来る事なら、持って帰りたいくらいだった。


結構長い時間なでていたと思うが、そろそろ終わらないと、、、。



断腸の想いで、頭をなでる手を離した。


妻の顔をじっと見つめた。




「また、いつか会おうな。」




そう妻に語り掛け、頭をポンポンと優しく2回タッチした。




私が妻から離れると、係員は待っていたかのようにお棺の蓋を閉じた。




そのまま火葬炉にゆっくりと入れていく。



そしてボタンが押されると、ゆっくりと火葬炉の扉が下に降りていく。




「ああっ、あみちゃんが焼かれてしまう。」

心の中は、そんな言葉で一杯になった。



ずっとまばたきもせず、扉が下に降りるまでお棺をみていた。


それと同時に、係員から「最後のお見送りです」と言うような事をいった。



私は手を合わせて呟いていた。




「俺と出会ってくれて、ありがとう。

俺と結婚してくれて、ありがとう。

俺を愛してくれて、本当にありがとう」



泣きながら何度もつぶやいた。



完全に扉が降り切ると、ボイラーがお棺を焼く「ゴーッ」という音が聞こえた。







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