61.現場 | いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

2013年12月、最愛の妻をうつ病による自死で亡くしました。
結婚して1年1ヶ月、あまりにも短すぎました。
体に障害があったけど、懸命に生きていた妻。
妻の事を忘れない為、初めてブログを書きます。

警察数人と妻の実家に入った。


「現場はどの部屋ですか?」

警察官が聞いた。



お義父さんが言った。

「2階の、、、、娘の部屋です。」



みんなで階段を上がり、彼女の部屋に向かった。



部屋の前に着いた。



ドアは開いていて、部屋の中が見えた。



(ここがあみちゃんの部屋か、、、。)



私と付き合っている時も「今度遊びに行くから部屋に入れてよ」と言っても、


「物だらけで散らかってるからヤダ!」と言って、一回も入ったことがなかった。


結婚してからもそれは変わらなかった。



初めて部屋の中を見た。



(どこが散らかってるんだよ。綺麗に整頓してあるじゃないか、、。)


この時初めて部屋を見て、そんな事を考えていた。




「どこで実行したんですか?」

警察官が聞いた。



「そこの、、、、。クローゼットの中です、、、。」

お義父さんが、絞り出すように言った。



(こんな、、、こんな場所で死んじゃったのかよ、、、。こんな所で、、、、。)

私はやるせない気持ちで涙が止まらなかった。




「それで、どういう状態でした?」

警察官はどんどん聞いて行く。



「このクローゼットの中の、洋服を掛ける棒にこの紐を掛けて、、、。」


床には紐のようなものが、切り刻んで落ちていた。



洋服の腰紐みたいなものだった。



「それで、どうしたんですか?」

警察は容赦なく聞く。



「慌ててハサミを持ってきて、紐を切りました」



「そうですか。それでハサミというのは、、ああ、これですか。」


警察は床に転がっていたハサミに気が付いた。



「それで、どういう状態で紐を切りましたか?娘さんを持ち上げて切ったんですか?そのままで切ったんですか?」



「そんなの覚えとらんよ!無我夢中で!!」

お義父さんはたまらず答えた。




もう、、、もういいだろ、、、、。もう聞かないでやってくれよ。

もうそっとしておいてやってくれよ。


警察とのやり取りを廊下で聞いていて、そう思っていた。




「それで、身体の向きはどっちを向いてましたか?」



もう聞いてられなかった。






私は廊下を降りて、玄関を出た。




玄関の外の階段に座って、声を押し殺して泣いた。


(あんな場所で、、、、たった一人で、、、何でだよ、、、、何でそんな寂しく一人で逝っちゃったんだよ、、。)




しばらくて気が付いた。


そうだ、俺の両親に連絡しなきゃ、、、。



携帯を取り出して、母に電話をした。



「もしもし、、。俺だけど、、、、。落ち着いて聞いてくれよ。

あみちゃんが、、、首を吊って、、、、、死んじゃった、、。」



「うそーーー!嫌だよ!何でそんな事に??」


母は私から話を聞いた瞬間、驚いてすぐに泣いてしまった。



「あんた、今どこにいるの?」

しばらくして母が言った。



「あみちゃんの家だよ。警察と一緒にいる。まだ時間が掛りそうだから親父と一緒に病院に行っててくれ。

お義母さんがいるから、、、。」



何とか母にそう伝えて電話を切った。


何でこんな電話を掛けなきゃいけないんだ。

この状況は一体何なんだ!


全てを信じたくなかった。





家の中に戻った。





「遺書のようなものがないか探します」


警察がそう言って、家の中を探し回った。




しばらくして「遺書のようなものはありませんでした」と言った。




「それではこれで終わります。次はお二人のアパートを調べますので、ご主人ご案内をお願いします」



今からアパートに行くのか、、、。


早く妻に合わせてくれよ、、、、。



病院から移動して、もう2時間くらいたっていた。






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