オーブン使いこなし《レシピ通り作ってもうまくいかない場合の対処法①》 | 型にはまったお菓子なお茶の時間

型にはまったお菓子なお茶の時間

主に日々のお茶のお供を記録しているブログです。
レシピの配合はあくまでも「個人的な作りやすさ」と「私好みの味に合わせたもの」になっていますので、レシピそのものよりも、作業する際の理由やポイント自体がお役に立てましたら嬉しく思います!

“焼き色は良いのに、ケーキの中央がいつも生焼け”
“タルト台がうまく焼けない”
“マドレーヌのおへそができない”
など、
『レシピ通りに作ったのに、同じ温度で焼いているのに失敗する、うまく焼けていない』
と言った話を、私のレシピでも他の人のレシピでも、お菓子作りをする人と話した時に、耳にすることがよくあります。

お菓子によっても色々と原因は考えられますが、大きく分けると材料や生地の作り方か、オーブンのクセや使い方。
実はレシピ通りだと思っていても、よくも悪くも実際はそうではないと言う場合がたくさんあります。
今回は家庭用の電気オーブンを使う場合に絞ってまとめてみました。

色々試してみてもやっぱりうまくいかないレシピは、今の(この“今の”と言うことが私に多々ありました…)自分に合わないと言う可能性もあるかもしれないのですが、オーブンの使い方を研究してみるだけでうまくいくかもしれなかったら、試してみる価値はありますよね。
長年お菓子を作り続けてこられた方なら、もう習得されていることばかりかとは思いますが、うまくいかないお菓子がある場合に思い当たる節がある方のお役にたてれば嬉しく思います。


●お菓子作りにおける材料の働きや作業の意味/型の材質別の特徴や向くお菓子一覧はこちら
 →http://ameblo.jp/lovable-kitchen/entry-12128501443.html

(最終更新日 2017.3.15)


◆天板は手早く入れる
そこ2~3万円のものから、ガス、電気、10万円近くする上位機種、仕事でも家でも学校(調理実習など)でも、いくつかのオーブンを使って焼いてきましたが、オーブンの種類によっても、また同じオーブンで同じ温度に設定していてもオーブンに入れる際の気温や開けている時間が数秒違うだけでその後の庫内温度が全然違うということがよくありました。
先日も、どうしてもマドレーヌの“へそ”がうまくできなくてと言う友人の作り方を見せてもらう機会があり、私が持参した温度計で計ってみると、開けた瞬間に10度、入れるまでに温度が30度も下がっていたんです。
マドレーヌのおへそは高温で焼かないとできないため、考えられる原因はこの温度差だったのでした。
彼女はあけてから入れるまでに手間取っていて、扉を開けてから天板を入れるまでが5秒以上。
30度も下がってしまったのには、気温が低い日だったというのもあるかもしれません。
上に乗せた生地や型がずれないように、かつ手早く入れられるように、予熱する前に少し練習して感覚をつかんでもらい、更に温度が下がりやすいオーブンだったこともあるので予熱は10度高めに設定して、天板を入れたあとに予定の温度に戻して焼いてもらったところ、おへそもばっちり。
この“天板を早く入れる”のはオーブンを使ううえで基本中の基本です。


◆途中で取り出して作業する時の注意
そして、
『オーブンに入れてから、途中で一度取り出して作業をし、更に追加で焼く』
と言った作り方のお菓子、例えば一度焼いて切り分けて焼くビスコッティや、タルトストーン(重石)を乗せて焼いたら、重石を外してから続けて焼くといったタルトの土台など、実はその作業をしている間にオーブンを放っておくと、どんどん温度が下がります。
私も最初の頃はその状態で焼いていて、焼き色がつくのにえらく時間がかかった思い出が…
(タルトの土台に関して言いますと、その後もフィリングを詰めて焼くか、一度で火を通してしまうのかによってもどれくらい焼き色をつけるかの条件が変わってきますが)
実際に私がそういうオーブンを使っていた時には、タルトの場合ミトンをしていても火傷が怖くてタルトストーンを出すのに手間取っていたのも温度が下がっていた理由のひとつではありましたが、作業の間に新たに予熱しなおすか、作業が終わったのに予熱が終わっていない場合は予熱中でも天板を入れて、予熱しながら焼いていました。
もちろん予熱中から入れておくことで焼き時間は変わってきますが、実はどんなレシピでも、温度や時間があてにならないことは多々ありますので、何より大事なのは自分のオーブンのクセを知って、焼き色や触った感じなどでお菓子の状態を見極めることです。
お菓子作り講師をしていた友人も話していて、私も今の仕事で実感したことなのですが、ガスでも電気でも、全く同じ機種のオーブンをいくつか並べて同じものを同じ温度で焼いても、焼き上がりのムラの場所や焼け具合が違うということは珍しくありません。


《オーブンの段・クセ別対処方》
 お菓子作りには、3段あるオーブンなら下段や中段、2段のオーブンなら主に下段を使います。
 3段あるオーブンの場合、さっと短時間で焼くクッキーや、一気に熱を通して膨らませたいシューやマドレーヌなどは中段で、じっくり長い時間焼くパウンドケーキやチーズケーキなどは下段が目安。
 また、自分の家庭用のオーブンについてくるレシピ集を見ても、そのオーブンでどのお菓子をどの段で焼けば良いのかの目安になります。
 そして、2段同時に使えるオーブンならば、1段で焼く時よりも焼き時間はやや長めになります。
 それから予熱中に天板を入れておくかどうかによっても焼け方が変わる場合があります。
 それらを踏まえて、クセ別に対処方をまとめてみました。


☆上火が強く、表面が焦げやすいのに、中が生やけと言うことが多い
 …焦げそうになったらアルミホイルで覆い、時間通り火を通すか、温度を下げて焼き時間を長めにしてみる

☆下火が強く、上面がちょうどよい焼き色でも、底が焦げたり固くなりやすい
 …天板を二枚重ねて下火の通りを柔らかくする、予熱中は天板を中に入れておかない、中段があるオーブンならば下段ではなく中段で焼いてみる、それらでもまだ強ければ段ボールにアルミを巻いて型の下に敷く

☆下段に入れても、下火が弱い
 …お菓子によって可能ならば予熱中から天板を入れておいたり、付属の天板は使わずに庫内で3~4つセルクルで脚を作った上に、アルミパンチの天板(アルミは熱伝導率が良く、焼き色がつきにくいシリコン製の型でも生地に焼き色がつきやすくなるほど)を乗せ、その上に生地を乗せて焼く

☆オーブンの温度が下がりやすい、扉をあけてから入れるまでに手間取りやすい
 …予熱時に予定よりも10~20度ほど上げておいて、ケーキを入れた後に元の温度に戻す

☆一旦取り出してはみたものの生だったので追加で焼きたい
 …取り出して数分であっても庫内オーブンが下がっているため予熱が必要で、でもその予熱の間に生地が中まで冷めてしまっては中央まで熱が届くのが遅くなり、上面だけに熱が通り過ぎて固くなってしまいがちなので、それを踏まえて色々試してみること。何はともあれ生地が熱いうちでないと難しい

☆場所により焼きムラがある
 …奥はきれいに焼けるのに、手前が生焼け、またはその逆など、場所によりムラはできるものなので、オーブンに入れてから予定の焼き時間の半分から3分の2過ぎたあたりで天板の手前が奥にくるように返す(この場合も温度が下がらないよう手早く、何秒も扉をあけておかないよう注意)