コンフェデレーションズ・カップ戦記 (その4)
シュートに見る ジャパンの一分の差
2013.6.21Y.K
今回は,対ブラジル戦,及びイタリア戦を観て,この一分の差を手探りして,気付いた点を箇条書きで述べる.
1)シュート技術
何時もは,①事前に有利になる動作が下手である.②タイミングを逃す.③シュート動作が遅い.④シュートボールのスピードが彼らと違う.⑤コースがメッチャ悪い./の5つの弱点があった.
今回のイタリア戦では,先取点に繋がった岡崎のスピード,2点目の見事な遠藤FHセットの岡崎のヘッド,そして3点目の香川のクイック反転シュート,これらは,世界トップレベルである.素晴らしい出来だ.しかし,このシュート技術は,何時でも・どこでも・誰でも/ となっていはいない.今一である.それが,このゲームの3本のシュートの外れとなっている.
2)「ゲームの流れを読む力」
相手ディフェンス戦術を読んで,オフェンスン戦術・ポジショニングを選択すべきである.NHK現地解説者になっていた中田英寿氏が「ゲームの流れを読む力」の差を指摘していたが,これは慧眼である.
大事なことは,ゲームの流れの中で,オフサイド戦術のとり方を変化させ,それを読み取って,こちらの戦術を変えて行ったのかどうか.この具体例として上がる.イタリアの2点ビハンドのときのラインの上げ方,それに対応した戦術に切り替えていたのかどうか.相手の攻勢時と守備重視を明確に分けて採っていたが,そのどちらとも,それに対応したオフェンス戦術がある.それを意識してチームが採ったかどうか.
明らかに,イタリアは,過ってのカテナチオと言われたディフェンス力を落としたと見受けられるが,その思想とノウハウ,そして技術の財産は,ある.それを我々は学び取ってないし,その「細部に神宿る」という極意を我々は捉えてないのである.その一つとして,オフサイド戦術の巧みさ: 吉田のゴールが,オフサイドになった場面はその典型である.
3)相手ディフェンスのブロックシフト破り
相手ディフェンスがブロックシフトを採ったときの戦術が,やっとつかみえたかな.対ブラジル戦は全く悪い.これは,以前からの日本の弱点であった.今回のイタリア戦の後の宮沢ミチェルさんの解説でやっと「横→横で回していては,何もならない.大事なことは,縦に入れてチョン横→縦である」と指摘していた.解説者のこの指摘は,日本代表戦のゲームでの解説としては,実は初めてではないか,そう思える.
スペインのゲームを観る〈ブロック破りの戦術〉
スペインのゲームを観ると,「オオ~ッ これがブロック破りの戦術か」と悟りが開く.その極意を幾つか述べる.
※次の拙ブログをご覧頂きたい.
サッカー・ホッケー戦術・技術論の研究 2012.10.19付
サッカー国際親善試合 日本VSブラジル (2012.10/16)
0:4で完敗 日本 シュート形戦術の選択が間違っている
相手ブロックディフェンスを破って
シュート・ゴールを奪う 5ヶ条のプリンシプル
A: ブロック破りの最高の心得は
相手ディフェンスのブロックを破ってもいないのに,突っ込みドリブル・パスをして相手ボールで反転速攻されることである.
B: ブロック破りの最高の戦術は
ブロック体制をとられないうちに速攻で攻めることである.
C: 瞬間ランチェスターの法則:
局所エリァに一瞬の飛び込みで人数を投入せよ!
シュートポイントに設定したエリァには,1人ではなく,複数を飛び込ませる・動きでつくる:
ポストによる落としで,第2プレーヤーの飛び込みシュート
ポストによるシューティングエリァ・ポイントのクイックの変更
ワンツーリターンによる瞬間オーバーナンバーをつくる.
D: 一瞬を作る・一瞬を読む・一瞬を突く
現代サッカーのシュートがゴールとなる場面の6割は,ダイレクトプレーである.
このカップ戦内でも,その典型を上げると,
◆対日本戦イタリアの1点目ヘッディング
◆対イタリア戦ブラジルのネイマールによるボレーキック
◆そして準ボレーとなる,対イタリア戦日本の香川による〈反転落ちる間際ボレーシュート〉
★この解析データをコンフェデ・カップに限ってでも必ずとってほしい.日本の選手には,この認識がない・意識して重視してないプレーとなっていないか.
★そして,それに伴う技術がどうか.ミドルシュートでも,国際大会で日本がミドルでゴールした場面は見たことがない! フロントキックの技術で,①パワーと ②ボールの重心とキックポイントのズラシ ③スピン この3つの要素の判断がないのではなかろうか.ないというより,そこまで技術がないといっていいのだろう.日頃の所属リーグ戦での熟練が必要である.
タイミングの穴,スペースの穴,コースの穴をつくる.
そしてこのつくられた隙を見逃さないで突く感覚である.
E: 相手のブロックディフェンスを崩す方法の極意は NBAにあり
その極意は,USアメリカのバスケットボールNBAにある.特に,フィルジャックソン時代のマイケル・ジョーダンらがやっていたオフェンスには,密集戦でのシュートの極意が詰まっている.サッカー選手は是非ぜひ見て,練習実践で研究してほしい.幾つかの事例を紹介する.
E1: 高いレベルの相手ブロックを破るには,スリーメンオフェンスしかない.
E2: 相手ブロックには,こちらもスクリーンブロックを
E3: 変化・変化・変化,Change & Change そして更にもう一つ加えてChange
パスとドリブル: 横パス・横ドリブル,縦パス・縦ドリブルの使い方,その連結の妙
方向のチェンジ: 個人のプレーにおける方向のチェンジ:ターン等
入口のチェンジ: 表からだけでなく,バックドアという入り方あり.