コンフェデレーションズ・カップ戦記(その3

1対1のコンタクトプレーで 世界を抜きん出る技がある

この1対1のコンタクトプレーで,世界で抜きん出ないことには,現代の激しく高度な競り合いとなっているゲームで勝てない.〈1対1のコンタクトプレーのオフェンス〉では,既に最も進化させたプレーは,ブラジルサッカーであろう.その典型は〈ジンガ〉である.そこには,①ボールで踊るといいうことと,②マリーシアの個人プレー版が凝縮し,この2要素が結びついて,このスタイルとなったものであろう.

それで,サッカーを一途にやっておられる方は,全くご存じないだろうが,世界で抜きん出る技が日本には,ある!

それは,日本の中世において発達した古武術である. 相手FWジャッケリーニや,ネイマールの1対2の間抜きプレー,あるいは,日本の香川の対イタリア戦での反転シュートには,日本の古武術と通低したものがある.それを現代に生かした古武術家甲野善紀流の柔術・武術がいる.そこに,世界を抜きん出る技の核心がある.そこに1対1のコンタクトプレーにおける極意を感じとることができる

★先ずは,ビジュアルで実際に見てほしい.

  □NHK特集『2011.11.10爆問学問 古武術で体革命』をオンデマンドでどうぞ.
甲野善紀(古武術) 62歳の細身の男が、柔道金メダリストを軽々と?!
今回は、古武術のすごさ、奥深さを体感する。合気道から手裏剣まで古の武術を学び、独自の身体操作術を追究してきた武術家・甲野善紀。元巨人軍の桑田真澄投手を指導したり、日本古来の省エネの歩き方「ナンバ歩き」を紹介したことでも知られる。
その甲野が、バルセロナオリンピック金メダリストの柔道家・吉田秀彦と対決。禁断の異業種格闘技が実現する。爆笑問題が目の当たりにしたのは、小さな力で相手を崩し、ひっくり返す、「虎ひしぎ」「平蜘蛛返し」など、仰天の秘技のオンパレード。なぜこんなことが可能なのか?
甲野の技を最先端のロボット工学で分析すると、「常識では考えられない身体の使い方」をしていた。重いものを持ち上げるとき、普通はぐっと足を踏ん張るはずなのに、甲野はむしろ「浮いて」いたのだ。体全体の力をうまく連動させて、相手と一緒に飛び上がるようにして持ち上げていたのである。それは「蹴らない、ねじらない、ためない、うならない」という、今日の常識とされている近代スポーツ理論とは全く異なる身体の使い方なのだ。
介護や荷物運びなど日常の動作を劇的に楽にする技や、指の形ひとつで緊張を解く方法など、驚きの技の数々を伝授。これを見れば今日からあなたの身体も変わる!

  □このDVD版

  古の武術を知れば動きが変わるカラダが変わる―NHK人間講座

  『古の武術に学ぶ』の甲野善紀・34の技をDVD120分収録! (MC mook) [ムック]

サムライジャパンは,伊達にサムライであるのではない.こうした日本における戦闘技術文化を生かして,対人プレーの技術において,世界比較で抜群にすることである.対イタリア戦の4失点全てに共通して関わるディフェンスの最も核心の問題がここにある.

 〈1対1のコンタクトプレー〉で現代の世界水準を超えるために,是非,古武術家甲野善紀氏の為せる技を見てほしい.その武術思想は,現代のサッカーの対人近接プレーの新たな境地に引き上げるだろう.「こんなのって役に立つの?」と思われる人もおられるだろうが,この重要性に気付いて近代スポーツのバスケットボールに実際に生かしておられる指導者がいる.その高校は,超一流の大学進学校であるにも関わらず,都大会優勝全国大会出場も果たしている.大変な実績である.

 これが不思議と,サッカーの1対1プレーに妙に生かされるのだ.世界に抜きん出るための個人のディフェンス力を構築・習得するためには,必要である. 

 文献としては,次のものをお勧めしたい.選手自身が,サッカーという一つの競技において,1対1の接触プレー技術・フィギアーを獲得・習熟して,実践で発揮すべきことである.

 □ 河野善紀 共著 『古武術の発見』 光文社 1993年

  甲野さんの著作でたくさんさんある中で,これ辺りが一番,入門的に読みやすいだろう.相手の攻撃的な動きを逆手にとって,イトモ簡単に相手を倒してしまう.この不思議な技に驚嘆する.サッカーにおいて,このような技の境地に到達すれば,世界のトップに成れよう.少なくとも,ナショナルメンバーを筆頭にして,Jリーガーは挑戦すべきである.

 □ 甲野善紀・前田英樹 『剣の思想』 青土社 2001年

  思想的にも高度にして,本格的な日本武術の探求書である.対人コンタクトスポーツの画期を為さんとするならば,読んで思索することをお勧めしたい.ドウカナ.

 ナショナルの課題は,その国のサッカーの課題

ナショナルというのは,その国のサッカーのトップを世界に表現することである.ナショナルの到達したレベルというのは,その国のレベルをそこまで引き上げることになるということである.ナショナルが未熟なのは,その国のレベルが,今まだ未熟なのだ.ナショナルの課題は,その国のサッカーの課題なのだ. ナショナルメンバーというのは,そういう使命をもっている.

 サッカー評論家の金子達仁氏がスポーツ紙で主張する「1年後の未来図より 代表に呼ばれない危機感を」は,大変鋭いが,選手個人への厳しい励まし:精進を求めることとしてはいいだろうが,問題は何かを技術的な問題と個人戦術判断力の問題において,明確に指摘してあげるべきである.それも,何が問題なのかを指摘するだけでなく,そのトレーニングの指針もあわせて示すべきである.

日本のサッカーという文化が,発祥イングランドから地球を回って,極東の国日本において,花開いた日である/ という日は何時であろうか.それを期待している