【すれ違い完結編】告白!オマエのことスッゲー好きだ!想いが通じた日(ハリー編) | Sweet Sweet Love Story(恋愛小説&ときメモGS夢小説&詩)

Sweet Sweet Love Story(恋愛小説&ときメモGS夢小説&詩)

詩や恋愛小説とか書いてます。ときメモGSシリーズの夢小説・・・特にハリーこと針谷幸之進くんを中心に書いてます。
いくつになっても恋愛続行☆毎日ワクワク過ごすために☆

お待たせしました。

ハリーと主人公のハッピーラブラブ告白編を自分なりの演出で書いてみようと思います。

ゲーム本編では、卒業式にエンディングですが・・・ やはり高校時代カップルのハリーがみたいので

ここで告白タイムを書いてみようかと(^^)

ずっと暖めてきたこのストーリー。

そのために切ない「すれ違い編」を色々と書いてきました。

な、もんでラストを読む前にぜひ「すれ違い編」から読んでいただければな・・・と思っております。


そして

この告白編には、有名な歌が2曲出てきます。

もしよろしければ、歌のワンフレーズが出始めた時に本当にその曲をBGMとして聴きながら

読んでいただければ・・・ 感情移入・・・物語に入り込めるのでは?と思います。

ぜひ主人公になりきってお楽しみください。一緒に泣いちゃって下さいね(笑)


今回は 瑛も志波くんも登場しま~す!


では 前置き長くなりましたが・・・

私の大好きなハリー ラストめっちゃカッコよくいかせていただきます。

こんなハリーがいたらぜってぇ~ つきあっちゃうから(^^)



前回のお話 → <1>すれ違い 真咲先輩の優しさ編(ハリー&真咲先輩編)
           <2>すれ違い 西本はるひの思い編(ハリー編)
           <3>すれ違い 真咲先輩の思い編(ハリー編)
           <4>すれ違い 天地&ハリーの思い編(ハリー編)
           <5>すれちがい 大喧嘩編(ハリー編)
           <6>すれ違い 真咲先輩の告白&はるひの告白編(ハリー編)

 

 

 

 

ラストは超~長編でごめんなさい。 今回もネタバレのセリフは満載なのでご注意下さい。

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ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリーヘッドフォン笑顔 ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリー振り向き


「それがオレのポリシーだかんな!」

ハリーが目の前で笑う。

ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリー青いノースリーブ

そう、あれは夏休みが始まって間もない頃のことだ。

いつものようにバイト帰りにハリーと一緒にお茶してた時の事。

バンドのステージで歌う曲について話していた。

「ハリーは、有名アーティストの曲とかってやらないの?」

「はぁ?オレ様はオリジナル専門なの!」

「どうして? みんな結構やってて盛り上がってるじゃん。」

「そりゃあな。有名な曲だし・・・みんな知ってるからな。」

「だったら、1曲や2曲くらいやってもいいんじゃないの?」

「ダメ!」

「え?なんでぇ?」

「ぜってぇ ダメ!」

「なんでよ!」

「それがオレのポリシーだからだ!」

「はぁ?ポリシーって! 変なの!」

目を合わせて思わず笑う。

「ははっ!・・・・・本当はな、有名になるまでは全部オリジナルでやろうって決めてんだ。」

「ハリー・・・。」

「人の曲を歌っちまったら・・・なんかそれから先に伸びねーような気がして・・・。

 人の曲をどんなにうまく歌ってもそれは自分のもんじゃねーような気がする・・・・。」

「そんなことないよ。」

「え?」

「ハリーだったら、どんな曲を歌ってもちゃんと自分のものにしちゃうと思う。

だから有名アーティストがカバーアルバムとか出すんだよ。

ハリーの声で聞きたいってみんなが思うとおもうんだ!」

「オマエ・・・。」

「曲が持ついい部分をハリーはハリー色で新たに伸ばしてくれると思うんだけどな。」

「・・・サンキュ!」

「ふふ。じゃ、次回のイベントで歌って!」

「それはダメ!」

「えーーーー!じゃあ いいや!ハリーがひどいことしたら罰として歌ってもらう!」

「はぁ?オレ様がひでーことなんかするわけねーじゃん!」

「わかんないじゃん!」

「ぜってぇ しねーよ!だから歌わねー! それがオレのポリシーだかんな!」

「もう!」

あの日二人で笑いあったことが何故だか頭に浮かんできた。

イベントまであと三日か・・・。

もう私には関係のないことだ。

市民祭りの日は真咲先輩と一緒に回ろうって決めた。

先輩のデートの誘い・・・受けることにした。

それは・・・先輩の気持ちに答えることになるのかな・・・?




「で?」

「うーん。今回は相当まずそうかも。」

「ったく!針谷も小波も意地っ張りだし。はぁ・・・。」

瑛くんがため息をつく。

「とくかくハリーのイベントの日、絶対一緒に行こうよ。

私、ようこちゃん誘うから。」

「わかった・・・。おれも針谷の方をそれとなく探っておく。」

かおちゃんと瑛くんが教室の隅で市民祭りの日の計画を練っていた。

その日の放課後。

「針谷。」

「あ?なんだ、佐伯。」

教室でぼーっとしていたハリーを瑛くんが捕まえた。

「もうすぐだな、ステージ。」

「あぁ。」

「おれも、その・・・、見せてもらうから。」

「オウ!サンキュー。」

「あいつも・・・。」

「あ?」

「・・・小波も連れていくから。」

「・・・いい。」

「え?」

「誘わなくていい。」

「なんで?」

「アイツが自分の意思で来るんだったらいいけど

誰かに誘われたから仕方なく来るんだったら・・・いい。」

「おまえ、素直じゃないぞ?」

「うっせー!おまえに言われたくない!」

「・・・なぁ。」

「あ?」

「本当に大切なモノって言うのはさ、案外すぐ目の前にあるんだよな。」

「佐伯・・・。」

「ほんのちょっとのボタンの掛け違いが、いつの間にか大きな大きなズレになって

気づいたら取り返しがつかないことになるってことがある。」

「・・・。」

「まだ・・・間に合うんじゃないのか?」
「佐伯。」

「素直になれよ。」

「ん・・・。」

「おまえにとって本当に大切なモノはそんな簡単に手放せるモノだったのか?」

「・・・。」

「思ってることちゃんと伝えろよ。それからでも遅くないだろ。」

「・・・あぁ。」

「じゃ、イベント・・・がんばれ。」

瑛くんはそっと手をあげると教室から出て行った。


「どうだった?」

廊下で待つかおちゃんが瑛くんに歩み寄る。

「・・・あとは針谷次第ってとこかな?」

「そっか・・・。」

「おまえのほうこそどうだったんだ?」
「うーん・・・。それが・・・。」
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「ねぇ、ようこちゃん!市民祭りの日のことなんだけどさ。」

かおちゃんが私の机にやってきた。

「私・・・。先輩に告白された・・・。」

「え?」

驚くかおちゃんを見上げる。

「・・・・・返事は急がなくてもいいって・・・。」

「えー!! ど、どうするの?」

「・・・わからない。」

「わからないって・・・・・・ だって ようこちゃん、ハリーの事・・・。」

「・・・わからない。」

「え?」

「・・・どうしていいのかわからない。」

「ようこちゃん・・・。」

「夢だったハリーのステージ。その第一歩が今、目の前にある。

一緒に頑張ろうって思ったのに、私が動くことはどんどん空回りして

ハリーに怪我させちゃったり、全然いいことなくて。」

「あ、あれは、ハリーが自分からしたことで、ようこちゃんのせいじゃないよ!」

「だとしても、そんな風にさせちゃったのは私のせい・・・。」

「で、でも怪我っていうかちょっと筋がいたくなっちゃっただけで、問題なかったでしょ?」

「幸いにもそれだけですんだんだけどさ・・・。」

「だったら、別に構わないじゃない? ハリーの事、今まで通り・・・。」

「・・・・・自信ない。」
「え?」

「このまま一緒にいてもハリーの迷惑になるんじゃないかって

 どんどん足をひっぱっていくんじゃないかって思ってきて・・・。」

「そんなことないよ!ハリーはようこちゃんが一緒にいて応援してくれることを望んでるはず!」

「・・・だったらいいんだけど・・・。

 ハリーには西本さんみたいな子があってるんじゃないかなぁって思えてきて。」

「そんな・・・。」

「・・・あの日、ハリーに言われたんだ。オマエなんかどこへでも行っちまえって・・・。」

「え?」

「・・・はは。」

「そ、それはきっといつもみたいな言い争いで、本当にそう思ってるわけじゃないだろうし・・・。」

「・・・だとしても・・・ハリーの気持ちがわからない。」

「え?だってハリーはようこちゃんのこと・・・。」

「・・・西本さんの事 好きになったんじゃないのかなぁ?」

「え?そ、そんなことあるわけないじゃない!」

「クラスの女子が何度か見かけてるしさ・・・。きっと気持ちが動いちゃったんだよ。」

「な、なに言ってんの?そんなことないって!」

「・・・ありがとう。」

「え?」

「大丈夫。心配しなくても。もう私元気だから。」

「・・・(なわけ・・・・ないじゃない。)」

「市民祭りさ・・・。」

「う、うん。」

「真咲先輩と行ってくる。」

「え?な、なんで?どうして?」

「誘われたんだ。 で・え・と!」

「えぇ!!!」

「・・・いいの。決めたから。・・・すぐには無理だろうけど

少しずつ・・・、きっと少しずつ変わっていくと思うんだ。 そう季節が流れるみたいに。」

「ようこちゃん・・・・・。」

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「・・・はぁ。」

瑛くんがちょっと呆れた顔をする。

「ったく、どっちもどっちだな。あいつらは。」

「・・・なんか強く言えなくなっちゃって、そのまま帰ってきちゃった。」

「しょうがねーなー。ま、とりあえず、針谷のステージが終わらないとだな。

針谷がちゃんと小波に伝えられなきゃ始まらないからな。」

「うん・・・。」

学校から続く道を瑛くんとかおちゃんが歩いていく。

空には小さないわし雲がたくさん並んでいた。





市民祭りの前日。

屋上から教室に戻ろうと屋上入口のドアに入ったところで

「「あ!」」

ハリーと思わず会ってしまった。

あの日以来だ

こうして二人きりになるのは。

「ハ、ハリー・・・。」

「オ、オウ!」

しばらく沈黙。
「あ、明日、ステージ頑張ってね。」

「あ、あぁ。まかせろ。」

「「・・・。」」

沈黙が重い・・・。

「じゃ、じゃあな。」

ハリーはそのまま屋上へ出た。

「え?ハリー授業は?」

「さぼり~~ 決まってんだろ?」

そう言って笑うハリーの笑顔。

あぁ、久しぶりに見た 私の大好きな笑顔。

歩いていくハリーの後ろ姿に声をかけた。

「ハリー! 私、どこにいても応援してる!

・・・私は・・・、やっぱり針谷幸之進の一番のファンだから!」

そう言って階段を駆け下りた。

「!!よっようこ・・・。」

言えた。

ハリーのこと応援してるって。

たとえハリーが誰かとつき合ってしまっても。

私はヴォーカルハリーの・・・針谷幸之進の一ファンに変わりないんだから。

ハリーのことはいい想い出としてココロにしまっておこう。

明日、真咲先輩に会ったら

きっと変われるはず。




いよいよ市民祭り当日。

空は晴れ渡り、青く輝く秋晴れだ。

ハリーのステージの日。

私は真咲先輩との待ち合わせ場所に急いでいた。

ハリーのステージ・・・。

頑張ってるハリーを見たかったけど、

今日は行かないって決めたんだ。

どこにいても応援してるから。

がんばれ、ハリー。

本当は・・・まだハリーのこと見て笑えるか自信ないんだ。

西本さんと一緒のハリーを見る勇気がない。

真咲先輩との待ち合わせははばたき駅前だった。

臨海公園の市民祭りに行こうって言われた。

市内の祭りだということで

あちらこちらで色々なイベントをやっている。

臨海公園の広場は

大道芸人が面白い芸をやっていたり

風船王子が風船でお花を作っていたり

市の青年部の模擬店があったりと

色々な出し物で人があふれている。

「お待たせしました。」

人ごみの中、真咲先輩の姿を見つけた。

「お!大丈夫か?」

「え?」

「人が多いから迷子にでもなっちまったかと思って。」

「あはは、大丈夫ですよ。」

「そか、じゃ、行くか。」

真咲先輩がそっと手を出した。

「え?」

「・・・人が多いから・・・ 手つないどけ。」

ちょっと赤い顔の真咲先輩。

か、かわいい。

「・・・はい。」

私はそっとその手に自分の手を重ねた。

模擬店を回ったり、広場のイベントを楽しんでお昼が過ぎた。

「ちょっと休むか?」

「はい。」

私と真咲先輩は海の見渡せるベンチにそっと腰掛けた。

広場の横、大きなスクリーンが用意されている。

「あれ?あんなのありました?」

「今日は祭りだから、特別に設置したんだってさ。

なんでも、イベントホールの中継が映るらしい。」

「イベントホール?」

ってことは・・・・。

ハリーたちバンドの演奏もそこに映し出されるって事?

ハイビジョンスクリーンには市内中学の吹奏楽部の演奏が映っていた。

ハリーたちアマチュアバンドのイベントは午後3時から。

ハリーの出番は一番最後。

予定では午後5時になっている。

あの舞台に立つんだね、ハリー。

私はスクリーンをじっと見つめていた。

「どした?」

「あ、いや何でもありません。」

「疲れたか?」

「ううん。そんなことないです。」

「そっか。じゃ、もうひとまわり行くか!」

「はい!」

私と真咲先輩はまたお祭りの群集に紛れ込んだ。



リハーサル前。

『カタンカタンカタン』
ハリーは座っている椅子をカタカタさせていた。

「ふ・・・。決めた!」

『カタン』

椅子が止まる。

ハリーがおもむろに立ち上がった。

「みんな、聞いてくれ。頼みがある。」

「はいはい。なんでもどうぞ。」

いつものことかと言うように井上くんが返事をする。

「な、曲目変更!ラストソング・・・・。」

「そうくると思った。」

全てを悟ったかのように井上くんが笑った。

・・・。

「わかった。好きなようにやれば?のしんが歌うんだから。」

「井上・・・。」

「演奏はまかせろよ!ばっちりだからさ、針谷!」

「そうだよ。おまえはのびのび歌えー!」

「みんな・・・・ありがとう。」

ハリーは深々と頭を下げた。

「よせよ、のしん。らしくないよ。」

「井上・・・。いや、本当に今回は大事なイベントなのに

オレのわがままで・・・・。」

「いいよ。いつものことだから。その代わり・・・。」

「え?」

「素直になれよ!」

「井上・・・。オ、オウ!」

ハリーと井上くん・・・そしてメンバー全員は拳を合わせた。

「ぜってぇ 成功させような!」



夕暮れが近づいてきた。

もうすぐハリーたちの演奏が始まるんだ。

なんだかドキドキしてきた。

大丈夫かな?

ちゃんと歌えるのかな?ハリー。

そんな私の様子に気付いたのか

真咲先輩が私の手を引き歩き出した。

「え?せ、先輩どこ行くんですか?」

「ん?いや ちょっと疲れたからさ、さっきのベンチに座ろうと思って。」

真咲先輩が連れてきた場所は

イベントホールの映像が見えるさっきのベンチだった。

ちょうどどこかのバンドの演奏が終わったところで

会場がざわざわとしていた。

時計の針をチラッと見る。

もうすぐ午後5時になる。

イベントは予定通りに進んでいるみたいだ。

ってことは、次はハリーたちの・・・・。

そう思った途端

司会者が次のバンドの紹介を始めた。

「おまたせしました~! 次は ReD:Cro’Zの皆さんです!」

ハリーたちだ!

私はその場に立ち尽くした。

真咲先輩は黙って一緒に画面を見入っている。

会場からはファンの声援が鳴り響いている。

ハリー、結構、人気なんだな。

はね学の生徒も沢山参加しているわけだし

それなりの声援はあるはずだとは思ったけど。

演奏が始まる。

ハリーの歌声・・・・。

久しぶりに聞いた。

澄んだその声はいつもと変わらない。

だけどなんかが違う。

私の前で歌っているあのハリーの声じゃない。

どうしたんだろ?

確かに歌は凄くうまい。

だけど・・・。なんだろう、ココロに届いてこない。

弱々しくて、どこか淋しそうで・・・。

前にもこんな歌 聞いたことある。

そう、学校の文化祭だ。

あの時も確かこんな風だった。

あの予選の日に聞いた歌声とは違う。

なんだかはかなげな声。

『ドキドキドキドキ』

心臓の鼓動が早くなる。

大丈夫かな?ハリー。

そのまま何曲かの歌が過ぎていく。

あ・・・。今、歌詞が飛んだ。

ハリー。

思わず目をつぶる。

どうしちゃったんだろう?

だんだん会場の声援が小さくなってきた気がする。

私の心配する中

演奏はどんどん進んでいった。


そして

「次が最後の曲だ。」

ハリーがマイクに向かって話す。

とうとうラストソングになってしまった。

ハリー・・・・。

このまま終わってしまうの?

「えーーーーー。」

観衆達の中のファンが残念そうに叫ぶ。

「オレは・・・このステージが決まって

頑張ってすげぇーいいものを作ってやろーと焦ってた。」

ハリーが話し始めると会場は静かになった。

「色んな事をやるうちに、オレは一番大切なモノを傷つけてしまった。」

『ざわざわ』
会場からどよめきが聞こえる。

「オレの事をずっと見守って支えてきてくれたヤツ。

オレのありのままを受け止めて安らぎを与えてくれる

オレの一番大事な人だ。

オレは自分のことが手一杯でそいつに沢山淋しい想いをさせちまった。

沢山、泣かせちまった。

・・・そして、オレが素直じゃないばっかりにすげー傷つけちまった。」

会場がまた静かになる。

「もしかしたら もうおせーかもしれねー。だけど・・・ちゃんと謝りたい。

ゴメン・・・。酷いこと言ってゴメン。」

ハリーが頭を下げる。

「大丈夫だよー」

「遅くなんかないよー」

ファン達の声があちこちからする。

「こんな、こんな言葉じゃたりねー、口先だけの薄っぺらな言葉みたいで・・・。」

『さわざわ』

「だから・・・・・、ここで歌わせてもらう。」

『おー!』

観衆たちの声が大きくなる。

「本当は・・・・・、オレは有名になるまで有名なアーティストの曲は

ぜってぇ、コピーなんかしねーって思ってた。」

また会場が静かになった。

「人の曲を歌っちまったら、それから先に伸びねーような気がしてたからだ。

それがオレのポリシーだった。

でも・・・。そのポリシーを曲げてまで伝えたいんだ。アイツに。

それだけ本気だってことを。」

『おー!』

「きゃー!かっこいいー!」

「がんばれー!」

ファンの声が響く。

「アイツが言ったんだ。

先に伸びないなんてことねーって。

人の曲でも、オレはオレ色に変えて歌うから、また違う曲になるからって・・・。

だから、オレはあいつに伝えたい。オレ色になったこの歌を。

聞いてくれ。」


息が止まるかと思った。

ハリーの声が頭の中をこだまする。


ハリーはコードレスマイクを抜き取り 一瞬下げて 大きく息を吸い込んだ。

静まり返った会場に ハリーの澄んだ声が響き渡る。








〃 素直にI’m sorry いつも うまく言えないけれど

       I’m sorry Kissを    した~く  てぇ~~~~♪  〃




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素直にI’m sorry  チェッカーズ   歌詞 うたまっぷ



素直にI’m sorry チェッカーズ youtube


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ハリーが歌いだした曲は 有名アーティスト チェッカーズの名曲

「素直に I’m sorry」 だ。

ハリーがポリシーを曲げてまで私に伝えたかったこと。

それがこの曲の中に詰まっている。

・・・ごめん。

ごめん ハリー。

私も素直じゃなかった。

やっぱり 私はハリー以外好きになんかなれない。

ハリーが一番好き。

自分の心にもう嘘なんかつけない。

それに

ハリーのこと信じてなくてごめん。

ずっとずっとハリーは優しかった。

私が倒れた時も一番に飛んできてくれた。

今日のイベントだって私のために・・・

こんなに こんなに一生懸命歌ってくれて・・・。

こんなに こんなに思ってくれてたのに。

なのに 私は・・・・。

スクリーンがだんだんぼやけてくる。

涙が止まらない。

「ようこ・・・。」

真咲先輩の声にわれに返った。

「ま、真咲先輩・・・。わ、わたし・・・・。」

「行けよ。」

「え?」

「待ってるやつがいるんだろ?」

「先輩・・・。」

「早く行けって! 間に合わなくなるぞ!」

真咲先輩は私の背中をそっと押した。

「おまえはおまえの心に素直に生きればいいんだよ。

おまえが笑っていれるなら おれはいつだって応援してるから。」

「真咲先輩・・・・。」

本当は真咲先輩は私の心を全部わかっていたのかも知れない。

だからここに連れてきたんだ。

ここでハリーのことを見せようとしてくれたんだ。

「さ、行けよ!」

真咲先輩は私の肩をぽんとたたいた。

「あ、ありがとうございます。」

私は泣きながら頭を下げた。

そして 駆け出した。

イベントホールに向かって。


イベントホールのカメラが会場を映し出す。

ハイビジョンスクリーンには大勢の観客が映る。

さっきまでの静かな様子は全くない。

全員総立ちで腕を振っている。

ハリーの歌声が変わってきてる。

いつもの調子だ。

伸びる声がイベントホール全体を包み込む。

カメラが会場の外を映し出した。

臨海公園の様子が映る。

人々が行き交う中

一人走る姿が映し出された。

そう イベントホールへ急ぐ私の姿だ。

「あ、あれ・・・。」

瑛くんがハイビジョンのスクリーンを指差した。

「ようこちゃん・・・。」

「あ・・・。」

かおちゃんと志波くんが声を合わす。

「ったく・・・。世話が焼けるな。んじゃ、行くか、志波。」

「だな。」

瑛くんと志波くんは席を立ち上がった。



〃 素直にI’m sorry いつも 意地を張ってしまうけど

       I’m sorry そばにいたくて~~~~♪  〃




ハリーの心の声がシンクロして聞こえてくる。

そばにいたい・・・。

意地張ってごめんね・・・。

ごめんね、ハリー。

早くハリーに会いたい。

ハリーがハイビジョンスクリーンに目を移す。

「!(・・・見つけた。 バーカ。そんなに慌てて走るんじゃねーつーの。)」


私はイベントホールの入り口にたどり着いた。

ハリーたちの演奏が聞こえてくる。



〃 気まづいままで 別れた日は寂しすぎるね  そう 君と同じ想いしてるよ♪ 〃



ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリー歌うクリスマス

ハリーがまっすぐイベントホールの入り口の一点を見つめたまま歌う。

うす暗い入口の私の姿がはっきりとわかっているかのように。

(・・・オレだって オマエと同じ気持ちだったんだ・・・。だから伝えたい・・・。)


さっきまでの弱々しさも淋しさも全くない。

力強く 澄んで 心に響いてくるその歌声に会場の観客達は大盛り上がりだ。


                            


〃 素直にI’m sorry いつも うまく言えないけれど

       I’m sorry Kissを    したくてぇ~~~~♪  〃




〃 素直にI’m sorry  I’m sorry Oh~ Oh~ Oh~♪

                kissをしたくてぇ~~~~♪      〃




ハリーが歌い上げる。

次の瞬間、ハリーはマイクを握り締めたまま舞台から飛び降りた。

『ざわざわざわ』
「きゃーきゃー」

「わーわー」

観衆達の声が響く。

すると

『バチン』
いきなり観客席の照明が真っ暗になった。

え?

ステージを照らすスポットライトは青に変わり

まるで宇宙に浮かぶ地球みたいにぼんやりと青く綺麗なステージが映し出された。

井上くんたちメンバーはまだエンディングのメロディを繰り返している。

な、何が起こったの?

イベントホールの入り口近くで私は真っ暗な会場を見つめた。


「よし、準備完了。」

「こっちもばっちりだ。」

会場の照明を切って

スポットライトの支持を出した瑛くんと志波くんが目を合わせて笑う。


演奏の音だけが鳴り響く会場の中を見つめていると

突然 その真っ暗な人ごみの中から

ハリーが飛び出してきた。

ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリー夕暮れ時

「ようこ!」

「ハ、ハリー!」

『ガシッ』

思い切り抱きしめられた。

「おっせーよ・・・。」

「・・・ハ、ハリー・・・ごめん・・・。ごめんね。わ、わたし・・・。」

涙がまたあふれてくる。

「オマエのこと待ってた。」

「ハリー・・・。」

「オレの方こそ ごめん。 すっげーひでぇこと言っちまって。

どっかに行っちまえだなんて・・・。そんなこと全然思ってねーのに。」

「・・・ううん・・・。」

ハリーの腕の中

私は首を横に振った。

「オレにはオマエしかいないのに・・・。」

「ハリー・・・。」

「もうオマエを離したくねぇ。」

「・・・私も・・・離れたくない。」

「・・・あぁ・・・。よし、じゃ、誓ってやる。離さねぇよ。 何があっても ぜってぇに。」
「ハリー・・・。私も・・・離さない。」

『ギュッ!』

私を抱きしめるハリーの腕に力が入る。

「ようこ・・・。好きだ。オマエのことすっげぇ 好きだ。」

「私も・・・ハリーが・・・ハリーの事が大好き。」

ハリーの腕の中でつぶやく。

「これからもずっと オレのそばにいて欲しい。」

「うん。」

私はうなづいた。

「うん・・・。二人でいようぜ ずっと。」

「うん。」

「これから先 何があってもこの気持ち忘れない。」

ハリーの声が私の耳元で優しく響く。

イベントホールの向こう臨海公園の煉瓦道が続いてる。

夕日が海に傾き 辺りがオレンジ色に染まる。
ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-羽ヶ崎夕日
きれい・・・・。

ハリーの腕の中そっと顔をあげた。

優しいハリーの笑顔がそこにある。

「泣き虫・・・。」

「ひどい!だれのせい?」

「・・・ごめん。」

「今日は素直だね。」

「ば~か。」

『クスッ』

二人して笑う。

「好きだ。ようこ。」

「私も・・・多分、初めて会ったあの日からずっと・・・。」

「・・・やけに遠回りしてたんだな。オレら。」

「うん。」

「な、目閉じてみろ。」

「なんで?」

「次に目を開けたとき、きっと世界が変わってるから・・・。

オレもオマエも・・・。」

ハリーの澄んだ瞳が私の目をじっと見つめた。
ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-キス2
そっと目を閉じる。
ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-キス1

『チュッ』

二人の想いが重なり合った。

羽ヶ崎の夕日がそっと私とハリーを包んでいく。


会場の中の演奏が止まり

また観客のざわめきが聞こえてくる。

それがいつしか拍手へと変わりだした。

そして

どこからか「アンコール」の掛け声が聞こえてきた。

「アンコール アンコール アンコール アンコール」

その声はだんだん大きくなる。


目を開けてハリーを見つめる。

「・・・すごい アンコールだよ?」

「はは、だな。」

「ねぇ、どうしてほかの人の曲なんて出来たの?やらないのがポリシーだって…」
「ほんとはよ、練習の時によくやってんだ!ほら、練習にはなるだろ?プロの曲って。

それにみんな結構好きなんだ、色んな曲。」
「ふふ。そうだったんだ。」
「あの歌はいつも井上に

オマエの前で歌えって言われてた。オレが素直じゃねーからって…。」
「さすが井上くん!」
「うっせー!それに…井上がいつも言ってる

ぜってぇ、オマエに歌ってやれって曲があと1曲…。」
ハリーが言いかけたその時

『ジャジャジャーン』
井上くんのギターの音が鳴った。

「キャーキャー!」

会場の「アンコール」の声が歓声に変わる。

「のしん!聞こえるか? 歌えよ!」

マイクを通して井上くんの声が聞こえてくると

会場が一瞬静かになった。

「井上・・・・。 フッ・・・。」

ハリーはニヤッと笑うと持っていたコードレスマイクのスイッチをオンにした。

そして

私の目をまっすぐに見つめると もう一度そっとくちびるにキスをしてから大きく息を吸った。

アカペラでハリーの澄んだ声が響いていく。



〃 百年先も 愛を誓うよ  君は僕の全てさ~♪ 〃



「きゃ~~~~~~。」

会場中から歓声が沸き起こった。

ハ、ハリー・・・。

ゆっくりとした曲調で ハリーの声が響き渡る。



〃 愛している ただ愛・し・て・るぅ~      同じ 明日・・・・♪ 〃




一瞬 静まり返った中

ハリーがニコリと笑う。

ハリーの左手がそっと私の頬を包んだ。




〃 や・く・そ・く・・・・・      しよう~~~~~ぅ♪ 〃




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「One Love」 嵐    歌詞   うたまっぷ




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次の瞬間

『ジャンジャジャジャジャジャジャ』

井上くんのギターをはじめ、バンドメンバーの演奏が始まった。
その曲は、有名グループ嵐の名曲「One Love」

涙が止まったはずだったのに・・・・。

ひどいなぁ ハリー。

「はは、泣き虫め! さ、行こう!」

ハリーは私の頬の涙をそっとぬぐうと

私の手を握り締めた。

「ハリー・・・。またコピー曲・・・いいの?」

「あぁ。今日だけ特別だかんな!それに…オレ色の歌に変えてやっから!」

「ハリーってば!」
ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリー学年演劇

「このオレを誰だと思ってる?世界を取る男 ハリーだ!」

優しく笑うとハリーは私を連れて走り出した。

ステージへ向けて!


真っ暗な人混みをそっとかき分けてステージへ急ぐ。

時々振り向くハリーが笑ってる。

私の大好きなあの笑顔で。

舞台そでの一番前の席

そこで待っていたのはいつもの優しい仲間の笑顔。

「ようこちゃん!」

「遅いぞ!小波」

「針谷 ニガコク・・・か?」

かおちゃん

瑛くん

志波くん

みんなが笑う。

「一番前で見てろ!今日の歌はオマエのもんだ!」

ハリーは私の髪をくしゃっと撫でた。

「こいつを頼む。」

ハリーはかおちゃんに私を押しつけた。

「まかせといて。」

かおちゃんが私に抱きついた。

「良かった・・・来ないんじゃないかと思ったから。」

「ごめんね。かおちゃん。」

『コツン』

『コツン』

「「遅い!」」

瑛くんと志波くんが私の頭をつつく。

「ごめん!・・・ありがとう。」

瑛くんと志波くんは二コリと笑った。


ハリーがステージに駆け上がる。

「おまえら・・・ サンキュー!」

バンドのメンバーに声をかける。

メンバーたちの笑顔 輝いてる。

ハリーがマイクに向かって叫んだ。


「みんなーーーーー ありがとうーーーーー!」
ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリー屋上ピック投げ3
「わ~~~~~~~~!」

大歓声が湧き上がる中 ハリーは歌い始めた。




〃 伝えたくて 伝わらなくて 時には素直になれずに♪  〃

〃 泣いた季節を 超えた僕らは 今とても輝いてるよ♪  〃



私たちは

いつもいつも伝えたかった〃好き〃と言う たった二文字が

なかなか伝えられなくて

意地を張ってすれ違って時にはケンカしたりしてた。

悲しくて辛くて泣いてた日々

それを今やっと乗り越えられた。

ステージで歌うハリー。

本当だ。輝いてる。

ハリーの放つ言葉が私の心にシンクロしていく。



〃 君がいれば 何もいらない  きっと 幸せにするから♪  〃



ハリーが私の方を見てそっとウインクした。

『『『コツン!』』』

かおちゃん

瑛くん

志波くん

みんなにつつかれた。

「幸せ者め!」

瑛くんがチョップする。

「痛っ!もう~ 瑛くん!」

みんなが笑う。




〃 すれ違いに傷ついた夜 それでもここまできたんだ♪  〃




このステージを成功させようと 焦って焦って空回りして

誤解してすれ違った日々。

いろんな昨日を乗り越えて私とハリーは今日 ここまでやってきた。



〃 かけがえのない 出会いは奇跡を繋いでいく♪    〃




あの日

音楽室でハリーに出会わなかったら

きっと今日という日はなかったかも知れない。

神様が二人の出会いを導いてくれたんだね。

悲しいことも辛いこともいっぱいあったけど

ハリーと出逢えたこの奇跡は 私の宝物だ。


ステージ上のハリーがバンドメンバーの方へ振り返った。



〃 どんなときも 支えてくれた  笑い泣いた仲間へ♪  〃



ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリーバンド仲間

メンバーの顔から笑みがこぼれる

そして ハリーは私たちの方へ目線を移した。




〃 心込めて  ただひとつだけ  贈る言葉は ありがとう♪  〃




ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリー屋上ピック投げ2

瑛くん 志波くん かおちゃんに

ハリーがそっと手をあげた。

「針谷・・・ばか。」

「くくっ!」

「ハリーってば!」

三人が笑う。

「ふふ。みんな 本当にありがとう。」

私もつぶやいた。

ハリーはまたバンドメンバーの方へ振り返ると

ありがとうと 頭を下げた。

「きゃ~~~~~~~~~~~~~」

観客の声援が大きく響く。


メロディが静かになる。




〃 百年先も 愛を誓うよ  君は僕の全てさ~♪ 〃



「一緒に!」  

ハリーの声が会場に響いた。

会場のみんなが一緒に声をそろえて続きを歌い始める。



〃 愛している ただ愛してる 同じ明日 約束しよう♪  〃



ハリーの視線が私を捕える。
ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリー屋上ピック投げ1


〃 世界中に ただ一人だけ僕は君を選んだ♪ 〃

〃 君といれば どんな未来も ずっと輝いているから♪ 〃



会場中から声が聞こえる。


〃 ラララ・・・・・♪  〃



すると前列にいたはね学の数人の男子たちがステージに上がりだした。

ハリーに並んで肩を組み 一緒に歌いだす。

「お、おまえら・・・・。」

ぞろぞろと10人くらいがステージで歌いだす。


『ヒョイ』

「え?」

瑛くんと志波くんに両腕を掴まれ持ち上げられた。

「ちょ、ちょっとちょっと・・・。」

足をバタバタさせてると私はそのままステージに持ち上げられた。

「え?」

「針谷!」

瑛くんが叫ぶ。

ステージ上の男子が私をひっぱりハリーの隣へと押し出した。

「も、もう!」


ハリーが照れて笑ってる。

そしてマイクに向かい そっと歌を続けた。



〃 世界中に ただ一人だけ僕は君を選んだ♪ 〃

〃 君といれば どんな未来も ずっと輝いているから♪ 〃



ハリーがまっすぐに私を見つめてた。

『バン!』

演奏ラストにステージわきから 紙吹雪が飛び出した。

ステージを照らす照明が真っ暗に落ちた。

「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

『パチパチパチパチ』

大歓声と拍手がずっと続いてる。

ステージ上では暗がりの中 はね学の男子たちがバンザイを繰り返してる。

その陰で

ハリーはそっと私を抱きしめていた。



「・・・愛してる ハリー。」

「・・・オレも。 ・・・・・・・・・・・ 愛してる。」



<【すれ違い完結編】告白!オマエのことスッゲー好きだ!想いが通じた日(ハリー編) 完>



このラストは 当初 「素直にI’m sorry」だけで作ろうとずっと思っていたんですが

最近、 「OneLove」の歌詞を 最初からまじまじと見てしまって

もうどっか~んと シンクロしてしました。

ハッピーエンドのハリーと主人公に付き合って下さいましてありがとうございました☆


次回からは 「両想い」の二人をまだまだ書いていこうかと思います。