水の正しい飲み方 


1、「ゆっくり味わう」が水のみの第一原則


のどが渇いたときに、一気に飲む水のなんと美味しいことか。けれど、このようなガブ飲みは身体にはよくありません。大量の水をいっぺんに体内に入れると、腸が吸収しきれずに、消化不良や下痢などを起こすためです。

そこで、身体に無理のない水の飲み方として、コップ1杯の水を最低でも3分かけて、休み休み飲むことを提唱しています。

「口の中で、水を舌で丸めるようにして、味わいながら、ゆっくり飲むのです。」

3分を目安に飲めば、胃を刺激しすぎることなく、じっくり吸収されるというわけです。

また、冷たすぎる水も禁物です。おなかが冷えて、血流が悪くなって、やはり消化不良や下痢の原因になります。「適温は、10~14度の間です。口の中で温めながらゆっくり飲めば、美味しく飲めて、しかも胃腸に負担をかけずにすみます。コップに氷を2~3かけら浮かべたぐらいが、この温度です。」


2、朝とおやつどき、寝る前の3回は必ず飲む


1日に最低でもコップ3杯の水を3回に分けて飲むことをお奨めします。朝の目覚めに1杯、午後3時のおやつどきに1杯、寝る前の30分から1時間前に1杯の計3杯です。

「朝、清新な水を飲んで、目覚めをスッキリさせます。仕事に疲れ、眠気をもよおす午後3時ころにも、

水を飲んで心身ともリフレッシュ。また、水には鎮静効果もあり、寝る前に飲んでおけば神経が和らいで、快眠がもたらされます。」

 このように、1日に最低でも3杯の水を3回に分けて、1回につき3分かけて飲むこの「1日3杯・1日3回・1回3分」の「3・3・3水飲み健康法」を実践されることをお勧めします。


3、食事前に飲んで消化器のウォーミングアップ


けれど、1日3杯、3回は、あくまでも最低の目安です。他にもぜひ飲みたいのが食事の30分前「食事の前に飲むのは、消化器全体のいわばウォーミングアップのためです。」

胃腸が適度に刺激され、食欲増進につながりますし、消化もよくなります。

この場合、コップ半分ほどが適量でしょう。

よく食事中に水をガブガブ飲む人も見かけますが、これは良くありません。急激にたくさんの水を飲むと胃液が薄まって、食べたものの消化が悪くなるためです。


また、入浴中は体内の水分が奪われがちです。そこで、入浴の30分前に、やはりコップ半分ほど水を飲んでおくといいでしょう。


もちろん、暑さや運動で汗を多くかいたときは、多めに飲みます。でも、水を飲みすぎると顔がむくむのではないか、と心配するむきもあります。確かに腎臓機能の落ちている方や心臓に問題のある方では、水分や塩分の摂取が制限されます。ただし、健康な人なら水をいくら飲んでも、余分の水分は尿で出て行きますので、むくみません。

また、渇きに対して多少とも鈍感になっているのがお年寄りです。のどが渇く前に、意識的に水を飲むようにしたいものです。


4、スポーツ中は30分ごとに100ml飲む


昔は、「スポーツ中に水を飲んではいけない」と言われていましたが、これは大変な間違いです。特に、炎天下で水を飲まずに運動を続けていると、体内の温度が上昇し、熱中症で死にかねません。

「のどが渇いたときに自由に飲むというのでは、汗で失った水分を十分に補えません。そこで、炎天下の運動では30分ごとに100mlの水を飲むようにすべきです」と言われています。

その水は、ふだんとは違い、冷たいほどいいとのこと。なぜなら「水が吸収されるのは小腸。この小腸へ少しでも早く水を行かせるには、胃の蠕動運動をさかんにすることが肝心で、そのためには冷たい水がいいわけです」

また、その意味では、真水が理想的と言われています。水に栄養分が含まれていると、胃での滞留時間が長くなってしまうからです。ただし、エネルギー補給のためには、栄養分を含んだスポーツドリンクが有効でしょう。この分野では、スポーツ医学として、ますます研究が盛んに行われています。


5、寝る前の水は脳血栓予防の「宝水」


就寝前に水を飲むことは、快眠のためだけでなく、実は、脳血栓や狭心症、心筋梗塞などの予防につながります。

「眠っている間も汗や呼気で水分が失われています。にもかかわらず、睡眠中はずっと水を飲まないから血液が濃くなって、特にお年寄りや高血圧の人は、脳血栓などを起こしやすくなるのです」

そこで、「コップ1杯程度の水を飲んでから寝れば、血液が濃くなるのを防げ、その結果、脳梗塞や狭心症などの予防になるわけです」寝る前の1杯の水が「宝水」といわれるゆえんです。


6、食間、夕食後にも飲んで、ガンコな便秘を解消


女性の悩みといえば、便秘。この便秘に水が抜群の効果を発揮することは、前にも述べたとおりです。

では、実際にどのように水を飲めばいいのでしょう。


「朝起き抜けに、冷たい水を2杯、食間に2杯、夕食後にもまた2杯飲みます。これを続けていれば、慢性の便秘に悩んでいる人も、たいてい治るはずです。」下痢なしではどうしようもなかったほどの頑固な便秘が、この方法で見事に根治した人もいます。ただし、どちらかと言うとがっちりタイプの便秘症の人に有効な場合が多いでしょう。胃腸機能の落ちている便秘症の人には、時として、2杯の水は返って、胃腸機能を低下させる場合もありますから…。


また、ダイエット中の空腹感を抑える一番の「妙薬」がノンカロリーの水です。「朝食と昼食の間で1、2杯飲みます。さらに昼食の30分前にも1杯ほど。夕食までの間に、空腹ががまんできないようなら、もう1杯飲みます。」


最後に、つらい二日酔いを治すのにも水は大変良い方法です。

「症状がおさまるまで何杯も水を飲みます。この時、ゆっくりと飲むことが肝心です。肝臓でアルコールを分解するには、ビールで飲んだ量の2倍、日本酒なら3倍の水が必要です。」