3、動脈硬化性疾患はコレステロール値を目安に管理します


コレステロールの量と他の条件(危険因子)とのかかわりを数えて、どのくらい動脈硬化が進んでいるか予測します。


(1)心臓病をおこしたことがない人(一次予防) 

一人ひとりの状態に合わせて、悪玉コレステロールの目標値が違います。 


○低リスク 

  LDLコレステロール160mg/dl未満

(危険因子なし) 

○中リスク 

  LDLコレステロール140mg/dl未満

(危険因子12 

○高リスク 

  LDLコレステロール120mg/dl未満

(危険因子3以上、糖尿病と耐糖能異常、脳梗塞か閉塞性動脈硬化症をおこしたことがある人) 


※コレステロール以外の6つの危険因子

○高血圧 

○タバコ 

○糖尿病とその予備軍(耐糖能異常) 

○男性45歳以上または女性55歳以上 

○心臓病を起こした家族がいる 

○善玉コレステロールが少ない 


(2)心臓病の発作をおこしたことがある人(二次予防) 

より厳しく管理して再発を防ぎます。 


悪玉コレステロール100mg/dlを超えない

悪玉コレステロール(HDLコレステロール)の値は40mg/dl以上、中性脂肪(TG)の値は150mg/dlを越えないこと、というのはどの段階でも共通です。 


4、治療の基本は生活習慣の改善です


コレステロールの量と他の条件(危険因子)とのかかわりを数えて、どのくらい動脈硬化が進んでいるか予測します。


(1)生活習慣を改善する治療 

○禁煙 

○食事を見直す 

○運動する 

○若い頃の体重を維持する 

タバコを吸っている人は禁煙が必須です。

心筋梗塞を起こしても禁煙しないと、再発の危険が、吸わない人の3倍です。


これまでの食事内容を見直して総摂取エネルギー量や飽和脂肪酸摂取量を抑え、運動量を増やして太りにくいからだを作り、メタボリックシンドロームにならないようウエストに気をつけて適正体重を維持することが生活指導の基本です。 


(2)薬が出る場合 

食事・運動療法に取組んでから3カ月から6カ月たっても脂肪異常症が改善されないと、医師が薬を出すことがありますが、食事・運動をやめてしまってはいけません。 


●日本人の死因の2位と3位が動脈硬化性疾患 

平成17年の日本人の死因の統計を見ると、1 悪性新生物(がん)30.1%、2 心疾患(心臓病)16.0%、3 脳血管疾患(脳卒中)12.3%となっています。

前年一年間で、がんとほぼ同じ数の人が動脈硬化のために亡くなっているのです。

後遺症も強く、長期臥床を強いられる方の約半数が動脈硬化性疾患によるものです。 


【主な死因別死亡数の割合】

心筋梗塞→虚血性心疾患の死亡数は173026人。

 前年の調査より約8%増加

脳卒中→脳血管疾患の総患者数は132789人。

 前年の調査より約3%増加

※厚生労働省「平成17年人口動態調査」より 


●内臓脂肪も悪玉!メタボリックシンドロームも危険

これが「メタボリックシンドローム」の正体だったのです。)

「ウエスト太め(男性85cm以上、女性90cm以上)」で高血圧・糖尿病・脂質異常症の検査値が「2つ以上、ちょっと悪い」が重なっている人は、メタボリックシンドロームです。


動脈硬化をひどくするのは、悪玉コレステロールだけではありません。最近、悪玉コレステロールだけでなく、内臓脂肪も、たまりすぎてしまうと「悪玉」になることがわかってきました。

「ただのアブラ」と思われていた内臓脂肪が増えすぎると、糖尿病や高血圧をひきおこす物質を作りだしたり、中性脂肪を増やしたり悪玉コレステロールを減らしたりしているのです。

その悪玉内臓脂肪と高血圧、糖尿病、脂質異常症が、血管と血液の両方から攻撃し続けるから、あっという間に動脈が決壊……これが「死の四重奏」の正体だったのです。


でも、きちんと治療すれば、大丈夫。

内臓についた中性脂肪は、食事・運動療法で減らしやすいので、長年、食べ過ぎや運動不足を続けて内臓脂肪の増えすぎたこれまでの生活習慣さえ変えられれば、治療効果も高いです。