望郷の父・・・12 父の背景「生家への恩と家と子育てと」 | 魂の選ぶ声を聴く ~言葉にならない想いをつなぐ~

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無意識のストレス反応を意識的に変化させて
気づきと自然治癒力を高め 自分や周りのひとの存在に光をみる人生を楽しんでいます

望郷の父・・・目次


母が 臨月を迎える頃


父と母の家が 完成する


この家は 父の兄が遠くから通って精を出してくれたことはもちろん


父の家族や親せきも まさに「手」を貸してくれたものだった・・・と想う


2歳になったばかりの私を育てながら 次女ちゃんがお腹にいる母が 力仕事ができたとは想えないし


家を建てているときの そんな様子の写真があったような気がする



母の出産にともなって


私は 数カ月 父の田舎にあずけらたらしい


小さな私を見てくれたのは、父の兄夫婦


叔父と叔母の間にはさまれ


川の字で寝ていた、小さな私



「妙子が 寝なくて、寝なくて


おばちゃんが 負うて 外を歩いてねぇ・・・


やっと寝たぁおもうて 家に連れて帰ったら


また 起きてなくんじゃけぇ(笑)」



叔父夫婦は 自分のふたりの子どもを育てながら


がんぼったれの弟の子どもである私のことを 


わが子のようにかわいがってくれていたらしい



ことあるごとに


小さな私が ぜんそくで眠れなかったことや


「せなかをかいて」と せがんだこと


夜中に泣いて泣いて仕方がないから 母の元まで車をとばしたこと


笑い話で きかせてくれた



私は そんな叔父夫婦にあまえがすぎたのか


小学生の頃には


叔父に あいさつがわりに「あっかんべー」をしたり


叔母に 「おばちゃんの子じゃないんじゃけぇ、たえちゃんのことをおこっちゃいけんのんよ」


なんて・・・にっくったらしい言動をしていた、ばかなガキだった



そんなことをした日にゃ


父から 親戚中の前で おもいっきりビンタされた



・・・ごもっともです




それでも父は


あとから こっそり かげで泣いている私のところへやってきて


静かに なにか話しかけた


なんて言われたかは よく覚えていないけれど


叩かれたことは 父から 突き放されたことだったのではないことだけは


よく伝わってきたことを おぼえている







父と母の家が完成した、ひと月後


次女ちゃんが 生まれた


母と次女ちゃんが入院しているところに


叔父夫婦に連れられて 私は「りんご」をお見舞いに持って行ったそうだ



母は 私とこんなに長く離れたのは初めてだったので


生まれたばかりの次女ちゃんのこともさることながら


私のことが気になって、さびしくて


泣いてばかりいたそうで


お乳が 出にくくなっていたらしい




次女ちゃんが生まれて 2年後


父と母の「計画」どおり、「予定」どおり


三女のあかるいこちゃんが 生まれる



2歳違いの次女ちゃんが生まれときのことは おぼえていないが


4歳違いのあかるいこちゃんが生まれたときのことは おぼろげながら おぼえている


「おおきなあかちゃんだ・・・」



母が出産した病院で 記録的に大きな赤ちゃんだったあかるいこちゃんは


なかなか生まれなかったらしくて


父も 母のおなかをおさえて、出産を手伝ったときいている



・・・あの当時 立ち合い出産なんて あったのかなぁ?