若い人の間では、国民年金なんか払っても、どうせ払った分ももらえないんじゃないかとか、老後は生活保護でいいと思っている方もいるようです。
最近、
{非正規雇用の若者はもう国民年金保険料(15,590円)を支払うな!ー老後は生活保護を受けよう!ー}
という記事もありました。
しかし、中身はともかく、このタイトルは、大きな間違いです!
そもそも、減免を受けることを勧めずに支払うな!とは、乱暴すぎます!
この国民年金と生活保護の関係についての間違えを、そもそも論、国全体としての視点&個人の損得のレベルの2回に分けて説明しようと思います。
※ 細かいところは抜きに、ざっくりとわかりやすさ重視で説明します。
前提として、国民年金の満額は、2か月ごとに支給されますが、1か月にならすと約6万5千円の支給です。
「この支給水準では、生活保護もらった方がいいじゃないか」と思う方がいるのも分からないわけではありませんが、よくよく考えるとそうではないのです。
前置きは長くなりましたが、初回の今回は、【そもそも論】です。
公的年金は、老後の生活を社会全体で支えるのが目的です。
現役世代がその時代の老人をさせるため世代間扶養といわれます。
国民年金(正確には基礎年金部分)では、支給原資の半分は国庫(≒税金)からでます。
残りの半分は、その時代の現役世代の保険料が元手になっています。
ちなみに、年金業務の人件費等は、税金から出ています。
民間の保険では人件費も保険料からねん出しなければならないのに比べて、有利になっています。
※ 日本年金機構の運営費(人件費等)は、原則として、運営費交付金という形で、租税収入等(主に税金)を財源としています。民営化になったからと言って、人件費が税金から出なくなって、保険料で運営されているわけではありません!「民間になって、全額保険料で運営されている」などというデマを信じてはいけません!
また、非正規でも、週30時間を超える勤務の場合、原則として厚生年金加入となります。
しかも、改正によって適用範囲は拡大中です(改正法についてはこちら)
非正規は、厚生年金に入れないというデマを信じてもいけません。
そもそも、国民年金は、自営業や農林水産業などのための年金で、定年がなく生涯現役、もしくは、老後の期間が少ない方を対象として、始まりました。
本格稼働は、昭和36年で、その当時二十歳以上の方が加入対象となりました(人生50年の時代です)。
そのため、国民年金は、サラリーマンの年金の厚生年金より少ない額で良かったのです。
今の社会に合わせて、制度の見直しは必要ですね。
しかし、老後の経済的負担を社会全体でみるという大原則は変えるべきではありません。
税金や医療・年金・介護の保険料を負担しながら、親の面倒までみるのは困難になる一方ですし。
公的年金制度がなくなったら、老後の格差も、老後を抱えてる子の格差も、さらに広がると思います。
それに対して、生活保護は、その時の生活に困っている方が受けるものです。
しかし、実際に困っている人のうち、生活保護を受けることができた人の割合は先進国でも少ない方です。
詳しくは、個人の損得で説明します。
【確認】 公的年金は強制保険、払わなくても良いものではない。