アフター・ウェディング -その2- | むすめの右フック

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アフター・ウェディング (2006)
原題:EFTER BRYLLUPPET
時間:119分
製作国:デンマーク/スウェーデン
ジャンル:ドラマ

【監督】スザンネ・ビア
【出演】マッツ・ミケルセン / ロルフ・ラッセゴード / シセ・バベット・クヌッセン / スティーネ・フィッシャー・クリステンセン / クリスチャン・タフドルップ / フレデリック・グリッツ・アーンスト / クリスチャン・グリッツ・アーンスト / イーダ・ドゥインガー


前回、アフター・ウェディング記事を上げたんだけど
どうも腑に落ちない。モヤモヤする。ってコトで、
気になるトコロを再度、観直しての感想。あははっ


この映画、世間の評価を見れば分かるとおり
感動ドラマとしても十分、良作なんですね。

で、私みたいな ちょとひねくれた人間には
少々、引っかかる部分があるんです。けど
それすら織り込み済みだった気がする。

そういう冷めた見方をする人にも
楽しめるように巧みに作られてるように見える。


同じような感じで言えば「アバター」なんかもそうかな。
一見、娯楽映画と見せかけて、実は痛烈な皮肉が仕込んである。

地球の資源が枯渇したからと他の惑星から奪う様は
アジアを次々と植民地にしていった西洋諸国と重なる。
とりわけインディアンを追い払ったアメリカの歴史みたいな。

あのカッコーの巣の上ででも、インディアンのチーフに
そういう含みを持たせてあったように思う。

で、この映画も一見、普通の感動作に見せかけて
実は、痛烈な皮肉が隠されていたんじゃないかな。





ここからネタバレ注意!
未見の方は、読んじゃダメ!あははっ


これ、ただの感動ドラマじゃないなと
私が感じたのは、冒頭からなんですよ。

インドの孤児院で働く男。誰よりも孤児院の必要性を知ってるのに
その存続に関わる資金援助の話を 生まれ故郷のデンマークに
帰りたくないって理由だけで断ろうとする。

で、その理由らしきものも
あとでなんとなく語られるんですけど

自分の好き勝手な行動に愛想を尽かして出て行った彼女を
逆恨みしてると言うか、こう 意地を張ってるだけのようでした。
ボランティアって仕事をすることによって自己満に浸る。みたいな。

で、一方、金持ちの男は、何不自由ない生活をしてる家族に
インドの子供たち6万5千人も救えるほどの金を使って
その男を迎え入れようとしている。

で、奥さんの連れ子である長女は
欲しいものは何でも手に入れちゃう子らしい。
婚約者も友達から奪ったっぽい。

で、その婚約者は新婚早々、浮気をしてる。
で、お母さんは、痴呆気味の姑を毛嫌いしてる。

で、冒頭にインドの子たちの大変な生活を見せることによって
それらが自分勝手で、贅沢な悩みに見えるように仕向けてる。


で、それまで強く振舞ってた この金持ちの男が
死の恐怖から、なりふり構わず怯えるシーンが出てきますが、
ここは、まあ、誰もが心打たれるシーンではあるんですが

それすら、インドの子供たちとの対比に使われてるように思える。
インドの子たちは、幼い時から死と隣り合わせの生活をしてるんですね。


で、ラストの父親の葬式もそうですね。
涙を誘うシーンではあるんですけど、ここで
息子が「上着のジッパーを上げて」と甘えるんですよ。
これから強くならなきゃいけないのに…

で、そのラストから インドの孤児院のシーンになるんですが
インドの少年は、ある選択を迫られるですね。

これ、面白いなと思ったのは、主人公の男も
大きな選択を迫られてたんですよね。寄付する代わりに
インドを去るという。でも、その少年の選択に比べたら
なんてことない選択だったんですよ。

少年があっさりと選択する答えを聞いて
男は、一瞬、ためらうんだけど笑みを浮かべちゃう。
男が思うほど、彼らは弱くない。むしろたくましかった。

そしてエンディングに流れるスラムで暮らす人たちの映像。


こうして観ると、そのラスト、すべてが腑に落ちる。
多くの人の心打つ映画って言うのは、やっぱり何かしら
理由があるんだなぁと再確認できましたねぇ。

これは、ただの感動ドラマってだけじゃなく
ちょとシニカルで、なかなか凝ったお話だったんじゃないかと
獅子王、感想を改めました。うん、うん。あははっ


気づいた事、追記

今、私のお気に入りブロガーのちぶ~さんのブログ読んで
あ、そういうことか!と合点がいきました。

今日、生き抜くのも精一杯なインドの貧困層と
世界最高水準の社会福祉国家との対比になってんすね。

明日のことなんか考える余裕もない人たちがいるかと思えば
老後のことまで考える。この映画の金持ちに至っては
自分が死んだ後のことまで心配してる。

これ、面白いね。



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