【マフィア企画】とくと御覧あれ、これが、蛇の本質だ【夏電戦】 | あたしの海にさよならを

あたしの海にさよならを

あなたはあたしのすべてだったの。 だからさようなら。 さよなら、あたしの海。

「…うん、ごめん、至急ー。お願いねぇー?」

ぼそぼそと聞こえるアメリカ英語、次にPi、と携帯を切る音。ドアを開ける音が次に聞こえて、コンクリイトに響く高級靴のヒールの音。そうして次の音、

「すみませぇん、あなた達はぁ、軍の方ですかぁ?」

間延びしたイギリス英語で彼等の殺気を一気にぶち壊した。


   ――それはきっと、間抜けな蛇の


たった今BBからAPSの奪取を終え、殺伐とした空気の中にいきなり白髪の爺が割り込んで来たことで、ミュラー隊の面々は面食らっていた。こちらに近づいてくるその爺――否、よく見ると30代か40代といった風貌であるその男を見やり拳銃を構える。ひっ、と引きつった声を上げ、男は硬直し、両手をあげる。恐怖でうまく喋れないのだろうか、どもりながらも自分のことをただの医者だと話した。足下に落ちている銀色の鞄が若干気にはなるが、つくりを見るに簡単に壊れそうな仕組みであったようなのでいざとなれば破壊できるだろう、ミュラーはそう考えていた。付近にある診療所のような建造物から出てきた様子を見るに、彼はほんとうに医者なのだろう、銃口を少し下げた。その男はほっとしたのであろう、少しずつ近づいてきながら、ねっとりゆっくり、そして長々と喋り出した。

「ここの軍の方っていうのはぁ、こぉんな公道のど真ん中で銃乱射するものなんですかぁ?ちょっと控えてほしいんですよねぇ、患者さんの傷口に響きますのでぇ。あとその格好でうろつかれるとぉ、一般人としましてはちょぉーっと怖いんですよねぇ。せめてなんか上に羽織ってくださいよぉ、怖いなぁ。あーあとそれ」

そのUSBメモリはなんですか、とAPSを取ろうとしていたので足下に発砲。ひゃぁと間抜けな声を出して、男は尻餅をつく。別に取ろうとか思ってませんよぅ、と若干涙目で喋る姿からは明らかな小物臭がした。だがミュラーはその男の顔を見、銃口を額へを向ける。目の前で涙を浮かべるこの男は、

「どこの組織の人間か、吐いて頂こうか。」

目だけは一切笑っていなかった。


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はぁ、しょォがねェなァ、と、訛りの強いイタリア語で淡々と話す。途端にD.D.は掌を返したように変貌。演技を「変えようか」。口元はいつもの、蛇のような気味の悪い笑顔だった。くつくつくつ、引きつった笑い声を零し、ぬるりと立ち上がる。脱皮を済ませた蛇のようだ、周囲はそういう印象を持っただろうか。そして今日も「いつものアレ」をやる。

「まァさかこうもあっさりバレるとはねェ?所属だったかなァ?私はアンタ等にもお馴染みの、イタリアンマフィア、Re dei Caniって所さァ。ねぇ、ミュラー氏?」

まァアメリカのケルベロスって部隊の所属ですけどね。

「まァ医者ってのは嘘じゃねェし、怪我人もいるってのは事実さァ。だからこの辺でドンパチされたくねェ訳よ。こんな所をBBに襲われちゃたまったモンじゃねェもんなァ?」

まァ今日休診日らしいし怪我人いませんけどね。別にBBに見つかっても特に害はないんですけどね。

「なァそうだ、こんなのはどうだ?そのUSBメモリをくれたら、お上にちょォっと口添えして、こないだの取引で大損したブツの値段、上げてやってもいいんだぜ?ま、それだけの価値がある男ってことさァ、私は。」

まァお上とかウチにいませんし、いるとしてもちゃらんぽらんな餓鬼大将だけですけどね。どっちにしろRCとは本当に無関係ですけどね。

「そんな私に手ェ出したら…ま、賢いアンタならお分かりでしょうよォ?」

まァ、殺しても全く差し支えのない人間ってことですよね。

いつものアレ、つまり普段通りの大嘘を並べに並べまくったところ、先方は急に殺気立ったらしい、銃口を向けたままこちらを睨む。緊張した空気が辺りを包み、動くことさえ儘ならなかった。まだ主導権は先方にあるが、少なくとも一時的に動きを止める事ができたようである。良かった、事前にS.A.I.Sの最近の仕事を調べておいて。D.D.は自分の用心深さに改めて感謝していた。「これは幼い頃から×××××のお家で学ばされてきた役目であった」ので、そのあたりは抜かりなかったのだ。さてまだか、と周囲の音に注意を払う。元より聴力は良くない方であるD.D.はひとつの音を集中して聞かねばならなかったため、先方の声は全く聞こえていない。周囲の「欲しい音」はまだ来ないか、先方が少々苛立ちを見せていたのは解るが、今の彼にはどうでも良かった。そして遠くからその「欲しい音」が聞こえてきたのを察知し、にやりと蛇の笑みを浮かべる。勝った。

「ごォめんねェ?ちょォーっとお迎えが来たらしくてェ、私行かなきゃなんだよねェ。で、どうすんの?くれるの?」

そちらの利益になるくらいなら破壊してやる、といったところだろうか、ミュラーはUSBメモリを手から離し、コンクリイトに叩き付け、銃弾を浴びせた。あちゃァ、とひとこと漏らし、もはや残骸となったそれを一応拾い、D.D.は踵を返して全力で駆け出した。「あの音のする方へ」。逃がすものかと反射的に男の後を追い、彼が公道の角を曲がった所で銃口を向けるも、時既に遅く、白髪の男性は既に二輪車後部座席に跨がっていた。

「ノーヘルは危険ですのでご注意を!」

ヘルメットのおかげで顔は判別できなかったが、運転手はそれだけ叫び、ぶろろん、というけたたましい轟音を響かせながらその場を後にした。背後からはミュラー隊の悪態と苛立ちの声が聞こえた、ような気がしたが耳の悪いD.D.には全く聞こえていなかったのできっと彼の気分の問題だろう。高笑いをひとつ、そして早々とその場をあとにした。あと数時間は診療所には戻れまい、それまではのんびり観光旅行でもしようじゃないか。


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「で?破壊できたのか?」

そろそろ撒けたであろうと思ったのか、バイクの速度を若干落としながら、運転手――オットマール=アンシュツは後部座席へ向けて叫ぶ。「お願い」という名の死ぬ死ぬ詐欺、もとい脅し着信を受けて何事かと思い、大急ぎでテルシスの赤点:診療所付近に来たはいいが、本当に軍人を相手にしていたのだから驚きである。当の本人は素知らぬ顔で、ぬぅ、と小声で唸りながらハットを取りヘルメットを装着した。D.D.は、手元のそれを見てもう一度唸る。

「修復できるのかァ?これ…」

もはやゴミに近いそれを眺める。木っ端微塵、とまではいかないが、恐らく読み込むのも一苦労だろう。まあいい、偽物の可能性もあるのだ。次に期待するしかあるまいよ。そう諦めて、運転手にYESと返す。他愛のない会話を少し交わし、オットマールは何かに気付いたように、そうだウロボロス、と後部座席を呼ぶ。

「目的地はいかが致しましょうかー?まだ暫くはあそこに帰れないだろう?」

そうだねえ、と、いつもの間延びしたアメリカ英語で話す。ふ、と、やはりアメリカ英語は自分らしくていいと思ってしまった自分に気付き、それがとてもおかしくて、肩を揺らして少しだけ笑った。どうやら自分はケルベロスという組織に…、ふとそんな考えが過り、頭を振る。今はそんな場合ではない。少しだけ頭を掠めた嫌な考えを振りほどくように、大声で叫んだ。

「とりあえずはテルシスの赤点の所に寄ってくれると嬉しいなー!どうせアクティヴに動いてるのなんて【ジキル】と【ベネディクト】だけでしょー?ついでだから簡易的な治療もいるかなぁって思うしー!お願いね、【オットマール】!」

彼が皆を名で呼んだのがとても珍しく動揺したのか、オットマールは若干ハンドルを握る手を緩めたが、すぐに彼の頼み事に了解と返し、ぐ、と力を込める。

そして最後に「まあ死んでたら一緒だけどねぇー」と返した所を聞いて、こいつは相変わらずこいつだったわと思い直すオットマールの後ろで、その蛇は呑気にバイクでのルーマニア観光を楽しんでいた。



    【それはきっと、間抜けな蛇のとりとめのない嘘と】




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さ、さーせんでした…wwwwww
えっと、そんなかんじでミュラー隊から脱走させて頂きましたー^q^wwwwww
こっちからふっかけておいてほんとごめんなさい…wwwwwだって!ハスキーさんがやばそうだったから!助けに行きたかったの!!!←←←←←←←←←←

そして国語力が欲しいところです。支離滅裂です。ごめんなさい^q^wwwww