前回のお話は、こちら
診察室に戻り、クール女医はダーリンに超音波写真を見せた。
「これが赤ちゃんですね。」

「おお!」
「それでは、2週間後、また検診に来てください。そのときに赤ちゃんの成長を見て、予定日等をお話できると思います。」
「はい。」

「何か質問はありますか?」

「あの・・・妊娠がわかる前に、市販薬の酔い止め(センパア)と、頭痛薬(イブファイン)を飲んでしまったんですが、大丈夫でしょうか・・・。」


「はい、まず問題ありません。」
「あと、エビオス錠を胃がもたれた時に飲んだりしているんですが、それは今後飲んでも大丈夫でしょうか・・・。」

「エビオス錠って、サプリメントのようなものですよね。」
「はい、天然ビール酵母の・・・。」
「飲んでいただいてかまいませんよ。」
「わかりました。」
「では、妊娠生活に関しての注意事項がございますので、向かいの部屋に移動してください。」
クール女医は、最後までクール女医の何者でもなく、彼女の前に行くと、体感温度が1・2度下がるような気がした。

◇
注意事項を説明してくれたのは、感じの良い、暖かみのある看護士さんだった。

体感温度が1・2度上がったような気がした。
「今、大体赤ちゃんは、7週くらいですね。」
6週とちょっとだと思っていたので、思っていたよりも成長しているようだ。

「つわりがない人、ある人と、とても個人差はあるけれど、もしあっても、食べられるものだけ食べて、大らかな気持ちでいてくださいね。十分な栄養がと摂れていなくても、今の時期は赤ちゃんにそれほど影響はありませんから。ただし、くれぐれも水分補給だけは、怠らないようにしてください。」

「はい。」

「もし、うずくまってしまうほどお腹が痛くなったり、大量の出血や血のかたまりのようなものが出たりしたら、すぐに受診してくださいね。」
「わかりました。」
「あと、風邪を引いたり、頭痛があったりした場合、病院で薬を処方してもらってください。」

「ふむふむ。」
「それでは2週間後、またお待ちしていますね。」

ダーリンは、部屋から出たあと、目頭をあつくしていた。

そして、心臓の動きを、自分だけ確認できなかったことを、嘆いていた。

これから皆で、南国的にがんばろう!
超音波写真を見つめながら、そう決意した。
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