安倍晋三首相のみごとな外交戦略 | 真面目に脱線話@リンガランド英語塾

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英語や芸能など、思いついたことを適当に書いていくという、そういうブログです。

安倍晋三内閣では、党三役に女性が2人入ったことが話題になったが、それ以外ではとくにサプライズもなく、手堅い組閣になった。



感想はいろいろあるだろうが、私が意外だったのは防衛大臣に小野寺五典氏が指名されたことだった。意外だったのは私だけでなかったらしく、多くの新聞が予想をはずし、朝日新聞は組閣のニュースで小野寺氏の防衛大臣就任を1面で大きく伝えた。



小野寺氏は元外務副大臣で外交のプロであるが、一般には東日本震災では地元宮城県の自宅も実家も全壊し、そのドタバタの中で必死に救済活動にあたったことのほうが知られているかもしれない。実直で地味な印象がある政治家だ。



小野寺氏はGoogle Mapに尖閣諸島の魚釣島が中国側表記の「釣魚島」と併記されていたことを、わざわざGoogleの日本オフィスまで直接抗議に行ったことがある。ただし、右翼的なところはほとんどなく、どちらかというとハト派であると言ってよい。



外交と防衛は似たところもあるが、違う部分もある。防衛は軍事力で国を守ることで、外交は駆け引きで国の利益を守ることである。たとえ戦争に負けても外交は必要で、「敗戦後の交渉の中で、いかに国の利益を守るか」を考えなければならない。



そういう意味では、防衛は重要な外交手段の1つであるとも言える。



外交のプロを防衛大臣に置く意味を考えあぐねていたのだが、その後の安倍内閣の動きを見てなんとなく浮かび上がってきたことがある。それは中国包囲網だ。



首相就任前の安倍氏はさかんに尖閣諸島の防衛と竹島の問題化を強く主張していた。ところが、首相になったとたん、竹島問題の最初のハードルである竹島の日の政府主催式典を見送り、国際裁判所単独提訴を見送り、靖国神社参拝を見送る。



安倍首相による日本の右傾化をさんざん警告してきた韓国に対して、あえて融和路線をとったのである。


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これには目的が2つある。



1つは韓国新大統領へのサポートだ。親日派の朴大統領に有利な政策をとることで、韓国国内の反日感情を抑える目的である。



念のために言っておくとこれは心変わりでも路線変更でもない。外交とは冷徹な駆け引きのうえに成り立つ。外交を有利に進めるには、自分の手にどれだけ有利な外交カードを有しているかがポイントだ。



最初に韓国に対して強硬なことを主張していたからこそ、融和路線の政策が外交カードとして効果的なのである。最初から融和的なことを言えばカードにならない。「安倍政権は右翼的だ」と報道されること自体が大事な外交カードなのである。



もう1つの目的は、接近してきた中韓関係の分断である。中韓は同じ対日領土問題を抱えていたことから徐々に接近していたのだが、そこに親韓政策を打つことで両者の関係にくさびを打つことができる。



韓国にとって日本の技術供与と投資は中国の巨大マーケットと同様に重要である。日本との経済連携は韓国の発展にとって生命線であり、これが断たれれば韓国に明るい未来はない。


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すると、小野寺氏を防衛大臣に置いた理由も見えてくる。ハト派で軍事に明るいわけではない小野寺氏を防衛のトップに置くことで、日本の右傾化を懸念する中韓に領土問題においてこれ以上の軍備の拡大はおこなわないというメッセージを送るためである。



ただし、小野寺氏は尖閣問題に関しては強硬派だ。だから、中国に対しては尖閣は絶対に譲らないというメッセージを同時に伝えられる。



また、安倍首相は対米関係の強化を第一目標にすると同時に、最初の外遊先として東南アジアを選び、ASEANとの関係強化に乗り出している。これに合わせて、日米関係が強固になり、日韓関係が修復できれば、中国は徐々に孤立していくことになる。



実際、中国航空機の度重なる尖閣の領空侵犯に対して民主党政権はほとんどほったらかしだったが、安倍首相は中国大使を呼び出し直々に抗議するという強硬姿勢でのぞんだ。



なぜこのようなことをしているかというと、最終的には中国との関係を修復し、日本経済の立て直しをはかるためである。その方法として、中国を孤立させ、強硬姿勢を貫き、外交カードにしているわけである。


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融和路線を明言して、融和を試みても相手にあなどられるだけである。とくに相手はしたたかな中国だ。



また、いま現在、融和路線をとっている韓国に対しても、竹島の日や国際司法裁判所提訴、靖国参拝は今後の外交カードとして使える。外交カードを持っている場合、妥協は「負け」ではなく、カードの温存である



ただし、これを実現するのには高いハードルが残っている。それは、対米関係を真の意味で立て直すために、TPP・沖縄基地・原子力政策の3点をアメリカとすりあわせなければならないことだ。



これは外交というより国内問題だ。もっと言えば、国内問題と言うより党内問題・対公明党問題である。このハードルを越えられれば、対米関係を強化して中国を孤立させ、日本主導で日中関係を立て直することが可能になる。



いずれにしても、素人同然だった民主党の外交とはレベルが違うとでも言うべきだろう。以前の失敗を乗り越え、安倍首相がさらに実力を磨いているのは間違いない。ただし、これからが真の正念場である。



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